2017年3月9日木曜日

クヒオ大佐



こないだ舞台を見に行ったときにもらった、
フライヤーの中でひときわ目を引かれたのがこれ。


宮沢りえ×吉田大八という紙の月コンビで、
実在したクヒオ大佐を題材に舞台が始まるんですが、
本作はその吉田大八監督が
同じ題材で2009年に撮った映画です。
超トリッキーな作りながら、
嘘を巡る物語がとてもオモシロかったです。
実際の事件をベースにするとリアリティを
どれだけ高められるか、という方向に向かいがちだけど、
本作は真逆で現実から拡張していく
フィクションのオモシロさが炸裂していました。
主人公のクヒオ大佐は結婚詐欺師で、
アメリカ人パイロットになりきって
女性からお金を騙し取って生きています。
詐欺師が主人公の映画は、
詐欺師のテクニック自体は隙が無く、
自分以外の外的要因から立場が危うくなって、
嘘を突き通して逃げ切れるか?というところが
見所になっていることが多いと思います。
しかし本作では最初は彼の嘘の巧みさに
なるほどなーと感心するんですが、
途中から「あれ、こいつ…?」という綻びが
ボロボロと出てきて自滅していく。
その姿がめちゃくちゃオモシロいんですよねぇ。
本人は本気なんだけど、少し客観的に見れば、
バレバレやん!っていう。
クヒオ大佐を演じるのは堺雅人。
映画よりもドラマが主戦場というイメージが強いんですが、
僕が見た彼の出演した映画は、
南国料理人その夜の侍と好きな作品が多いので、
他の出演作も見てみたくなりました。
(新井博文との掛け合い最高!)
嘘も思い込むと真実に…という
世界が歪んでしまう切なさが
ラストに用意されていて、
ヘラヘラ見てたこちらがドキッとしてしまった。
さらに嘘と建前への話から日本とアメリカの関係性を
クヒオ大佐と女性で見せるというアクロバティックさ。
吉田監督は桐島〜以前の作品は見ていないので、
これからチェックしていきたいなー

0 件のコメント: