2017年3月25日土曜日

パッセンジャー


<あらすじ>
20XX年、乗客5000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、
新たなる居住地を目指して地球を旅立ち、
目的地の惑星に到着するまでの120年の間、
乗客たちは冬眠装置で眠り続けていた。
しかし、エンジニアのジムと作家のオーロラだけが
予定よりも90年近く早く目覚めてしまう。
絶望的で孤独な状況下で生き残る方法を模索するうちに、
2人は惹かれ合っていくのだが…
映画.comより) 

クリス・プラット×ジェニファー・ローレンスという組み合わせで、
宇宙SFということで楽しみにしていた作品。
(監督はイミテーション・ゲームのモルテン・ティルドゥム)
ゼロ・グラビティ、オデッセイ、アルマゲドンなど
様々な宇宙SFの要素が含まれているんですが、
ヒューマンスケールの人生の話に昇華されていてオモシロかったです。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

宇宙船が舞台になっていて、
冒頭で映画内の設定、時代、
すべての原因となる隕石群との衝突を描いていきます。
設定、時代はセリフで説明されていくんですが、
冬眠から覚めるという設定があるため、
抵抗感なく世界に入っていける仕掛けになっていました。
この宇宙船はすべてが過密化した社会からエスケープする、
いわばノアの箱舟のようなもの。
あらすじにもあるように、
ずっと遠いところにあるスペースコロニーへの移動の際に
起こった事故が原因で冬眠から予定より早く目覚めてしまう。
1人、船内で皆が冬眠から目を覚ますより前に年を取って
死んでいく運命とストラグルするお話です。
前半は宇宙船での孤独との向き合い方を描いています。
仕事も家事もしなくてよくて、
映画見たりゲームしたりできるなんて、
マジで最高の生活じゃん!と思っていたんですが、
人は1人では生きていけないのか…ということを
まざまざと見せつけられた気がします…虚無感よ!
とくに僕が心に刺さったのは空き瓶の演出。
自暴自棄になったジムが床に投げるんだけど割れない上に、
そのビンを踏みつけて、まるでバナナの皮ですべって転んでしまう。
1人で暮らしていて誰にも言えないハプニングというか、
恥ずかしいことに対する感情って最もむくわれないことだと思っていて、
それがモロにスクリーンで展開されていたので居たたまれなかったです。
(今はSNSがあるので、ある程度成仏されていると思うんですが)
宇宙空間に出ることができる!と感動する部分も
1人だとより孤独が際立つ仕掛けになっているし、
後半に向けたフリとしても機能しているので良かったと思います。
後半はジムが最高で最悪の決断を行い、
オーロラが冬眠から目を覚ますところから始まります。
(この決断に関しては自分ならどうするということを考えさせられる)
彼女は自分が目を覚ましてしまい、死ぬまでにスペースコロニーに
到着できないことを知り動揺するものの、
ジムと生活していく中で彼に惹かれていき蜜月の関係に。
ハンガーゲームシリーズ見ていないので、
個人的に久々のジェニファー・ローレンス出演作だったんですが、
フィジカルの強さがやっぱり最高でした。
それはセクシーさとバイオレンスな訳で、
とりわけ後者のバイオレンスが最高最高!
彼女が冬眠から目覚めた原因を知り、
ジムにぶち切れるわけですが、ベッドルームの夜間襲撃のダイレクトっぷりは
彼女にしかできないよなーと思いました。
宇宙空間での話なのでSFではあるんですが、
男女関係に大きくフォーカスされているのが、
いわゆる宇宙SFと異なる点でしょう。
ジムとオーロラ以外に第三者が終盤まで登場しないので、
出会い→蜜月→喧嘩による倦怠期→成熟という
過程をまざまざと見せつけられる。
さらに宇宙船が自動修復機能を持っているものの、
それが機能せずに危機的事態を迎えること、
ジムの職業が機械エンジニアリングで修理することを得意としていること。
悪くなった関係が自然に良くなるということは難しく、
それは能動的に自ら修復すべきという風に見えて、そこもオモシロいなーと。
終盤、宇宙船の故障によるトラブルが加速していくわけですが、
無重力×プールのシーンは見たことないシーンで圧巻!本当に息が苦しくなる。
ただ、トラブルが加速していくに従ってご都合主義な部分が
少し目につくようになってラストのリアクター放熱処理は、
ちょっと無理あるくね?と思ってしまいました。
アルマゲドン meets ゼロ・グラビティな感じのは楽しくて、
ギリギリまでバッドエンドを思わせるのは良かったかな?
人生という名の宇宙船における愛の在り方。

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