2016年6月29日水曜日

数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち

数学者たちの楽園: 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち


サイモン・シンの最新作がシンプソンズ?!
という混乱と興奮の中で読みました。
超オモシロかったです!
もともとシンプソンズが好きで結構見てたんですが、
まさかそんな数学の要素が盛り込まれているだなんて
思いもしませんでした。
フェルマーの最終定理、暗号解読といった彼の著作では、
テクノロジー、数学力の大河ドラマのような、
オモシロさを携えていましたが、本作は少なめになっています。
その分、シンプソンズで取り上げられた数学の題材を
丁寧に解説してくれているし、
数学のレベルも安易になっているので、
サイモン・シン入門としてはオススメです。
数学好きはシンプソンズ見たくなるだろうし、
シンプソンズ好きは数学が学びたくなる、
まさしくwin-winな関係だと思います。
なぜシンプソンズに数学の要素が入っているかといえば、
数学、物理学の修士号、博士号を持った
脚本家が多く在籍しているからです。
ハーバード・ランプーンと呼ばれる、
ハーバード大学内の雑誌があって、
シンプソンズの脚本家の多くがここで育ったそうです。
シンプソンズといえば、
ポップカルチャー、ブラック・ジョーク、
有名スターのカメオ出演といった要素が
パブリックイメージにある中で、
それらと数学という組み合わせが真逆で良いなーと思います。
オモシロかったのは、
脚本家であるジーンが語る数学とアニメの相性の良さです。
役者やセットなど物理的な制約がある
実写ドラマは実験科学である一方、
徹底的にコントロール可能なアニメーションは、
数学の宇宙であると言っていて心底納得しました。
また、リサとバートの考え方の違いを
ファインマンの言葉を引用して説明するところが
かっこいいし、その文言もカッコイイ!
背景を多く知っていればいるほど、
世界はさらに豊かに広がるという、
直感・感情至上主義に対する
華麗なカウンターが決まっています。
サイモンが過去作で描いてきた、
フェルマーの最終定理、暗号解読の要素にも
フォーカスしていて、概論レベルで
把握する分には十分だと思います。
フェルマーの最終定理の近似解が出てくるんですが、
そこに数学の厳密さの深淵を見ました。
コマ止めギャグの中でサブリミナル的に
数学ネタを放り込んでいるので、
込み入った話は少なく数字ネタが多いです。
とくに素数の魅力はたまらないものがありました。
何それ?!っていう知らない数字がたくさんあって、
グイグイ楽しく読み進めることができました。
僕は統計学にまつわる仕事をしていて、
「シンプソンのパラドックス」を説明する機会がありました。
その現象に名前が付いていて、
しかも「シンプソン」っていうところに
勝手に運命を感じてしまいましたとさ。D'Oh!!

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