2016年6月18日土曜日

64 後編



<あらすじ>
昭和64年に発生し、犯人が捕まらないまま
迷宮入りした少女誘拐殺人事件・通称「ロクヨン」。
事件から14年が過ぎた平成14年、新たな誘拐事件が発生。
犯人は「サトウ」と名乗り、身代金2000万円を用意して
スーツケースに入れ、父親に車で運ばせるなど、
事件は「ロクヨン」をなぞっていたが……。

後編始まるのが待てずに原作を一気読みして、
結末まで分かった状態で見てきました。
前編よりもサスペンス性が高くなっていたので、
オモシロくなっていたと思います。
映画オリジナルの部分が色々あるんですが、
好きなところもあれば、
蛇足かなーと思うところもあったり。
役者の演技の迫力は鬼気迫るものばかりなので、
スクリーンいっぱいで見ると楽しかったです。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

前編のダイジェスト内容から始まり、
前編の最後に起こったロクヨン事件の模倣犯と
思われる誘拐事件から物語はスタートします。
ぐーっと佐藤浩市の顔にズームして、
タイトル出るところが抜群に良くて期待が高まりました。
前編でしこたま議論し倒した匿名/実名報道の問題が、
この誘拐事件でも浮上。
刑事部によって誘拐事件の被害者を匿名としてしまい、
再びメディアとバトルすることになってしまいます。
さらに誘拐事件ということもあり、
東京の記者たちも記者会見に登場し、
会見場は荒れに荒れまくる。
ここで見えてくるのは地方vs東京という構造。
県警の刑事部長が警察庁マターとなることは
前編で描かれていた話ですが、
その構造は警察に限らずメディアにも存在することを示し、
より普遍的な話であることが伝わってきます。
記者会見でスケープゴートとなるのは、
柄本佑演じる刑事部の二課長。
本来であれば部長もしくは一課長が会見に臨むべきところを、
二課長を持ってきたことで記者たちがボコボコにする。
この柄本佑にアップになったときの
耳のピアス跡がすげー気になりました。
キャリア職という設定なので、
あそこまでボコボコ穴あいてると現実味がなくて、
細かい話ですけど冷めてしまいました。。
その冷めた気持ちを取り戻させてくれるのは、
永瀬正敏、佐藤浩市、三浦友和の演技でした。
永瀬正敏は被害者の雨宮を演じていて、
原作以上に登場頻度が高く、
映画オリジナルの展開でも迫真の演技を披露。
とくに誘拐未遂のシーンでのエズキ泣きは
健気な子どもとの対比でたまんないものがありました。
(鼻水たら〜も最高最高!)
そして何と言っても三浦友和!!
彼は誘拐事件の陣頭指揮をとる一課長なんですが、
原作のキャラクターがそのまま現れたかのよう。
安定感と目力の強さ。
模倣誘拐の被害者宅で初めて被害者と会った時の目は
結末を知った上で見ると抑えられたクールな怒りが
伝わってきて超グッときました!
佐藤浩市は上記2人とのシーンで輝きを放っていました。
広報部の仕事は泥臭いものとして描かれているんですけど、
それと佐藤浩市の相性の悪さはあるのかなと。
年を重ねた男たちが奏でるアンサンブルは
間違いなくオモシロい部分だし、
映画館で見ると顔に刻まれた皺が見えて、
その説得力も大きいように感じました。
模倣誘拐のネタばらしが原作よりも早いし、
解決に至るまではあっという間でした。
(吉岡正隆演じる幸田がヘリウムガス切れて取る、
代替案はちょっと笑ってしまった)
犯人の目崎を演じるのは緒形直人。
僕が原作で一番好きだったシーンを
見事にやり切ってくれて嬉しかったです。
絶望から救われ、事の経緯を理解した途端の顔よ!
この後に映画オリジナル展開がある訳ですが、
賛否両論ありそうな内容でした。
僕も原作読んだときに、
「あーこいつは結局野放しになるのか。。」
とは思ったんですが、そこに踏み込んでいます。
佐藤浩市が取る行動は青臭い刑事ごっこに
初めは見えるんだけど、結果的に起こる事態が
子どもの心に傷をつけるという鬼畜の所業。
その後の佐藤浩市の表情が最高だったなー
結局自分で全部説明しちゃんですけど、
自らも子を失った状態にも関わらず、
矛盾した行動を取るというのが
人間の性というべき部分と思えて好きでした。
終盤に全部回収していくシーンは
本当に蛇足でどうでもいいと思いました。
キレ味悪いと見た後のあと味悪いので、
その辺は考えて欲しいところです。
とにかく小説を読んで欲しいと思います。

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