2017年2月28日火曜日

家族最後の日

家族最後の日

昨年かなわないを読んで、
「生活する」ことがいかに大変で豊かなのか、
改めて痛感した訳ですが、新刊が出たので読みました。
帯に書かれているとおり、
母との絶縁、義弟の自殺、夫の癌の
大きく3つの内容に別れているんですが、
他人の家族の話でここまで込み入ったことを
知ることは日常生活ではほとんどありえないので、
とても興味深く読みました。
母、義弟の件も壮絶で自分の家族について、
考えさせられるんですが、
なんといっても夫であるECDが食道がんで
闘病中の日記が本作のハイライトでしょう。
入院から癌発覚から治療までを
奥さんである植本さんが日記で書いたもの。
ECD本人が書いていないので、
当事者の心境はそこまで分からないのですが、
奥さんの立場から見た癌と闘病する人の姿が
どういう風に映るかが克明に記録されていて、
語弊があるかもしれませんが、どうしたってオモシロい。
いつか人間は死ぬ。これは自明の真理であり、
毎日そんなこと考えてたら、
身が持たないから本能的に考えないようにしてると思うんですが、
自分の身内の死が間近になると、
途端にそれが差し迫ったものになると思っていて。
本作を読むと身内ではないけれど、
死、家族という言葉が頭の中をぐるぐる回り始める。
半分野次馬の気持ちで読み始めたのに、
まるで自分もこの家族の一員のように
思えてくるのだから不思議です。
それは単に癌との向き合い方云々だけではなく、
「かなわない」と同様、
生活することが丁寧に書かれているからだと思います。
しかも、誰かに見られるから行儀良くしなきゃ、
というブレーキの形跡が見受けられなくて、
癌で闘病するECDへの労りも勿論あるんですが、
本作が特別なのはむかつくこと、嫌なことも
正直に書かれているところ。
読んでいて「自分勝手だなー」と思う
側面もなくはないけれど、
自分の中にも彼女と共感する側面が
全くないかといえば、そんなことない訳で。
もっといえば、自分の弱い部分をさらけ出せる人は
かっこいいなーと思いました。
あと改めて日記を書き留めておくこと大切だなと思って、
ちょっとずつだけど書き留めるようになりました。
ECDの闘病の様子がYoutubeにアップロードされているので、
これを見て少しでも興味持った人は、
本作を読んでみるといいと思います。


最近退院されたようです。
回復を祈念しているし、ベストアルバム買う!
がんばれECD!

追記
無事に退院された模様!

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