2017年2月11日土曜日

ニュートン・ナイト



<あらすじ>
南北戦争で戦死した甥の遺体を
故郷のミシシッピ州ジョーンズ郡に届けようと、
南部軍を脱走したニュートン・ナイトは、
故郷で農民から食糧を奪う軍と衝突し追われる身となる。
身を隠した湿原で黒人の逃亡奴隷たちと出会い、
友情を築いたナイトは、白人と黒人がひとつになった
反乱軍を結成し、自由のために立ち上がる。
映画.comより)

マシュー・マコノヒー主演!
そこの一点突破で見てきました。
行くぜHIPHOPER!©Zeebra
すみません、言いたかっただけです。
最近観たマコノヒーといえば、
Huluで配信されている
TVドラマシリーズのTrue Detective。
このブログでも紹介しましたが、
個人的マコノヒーランキングのTOP3に
入ってくる傑作なので未見の方は是非。
それはともかく本作は実話ベースの
本格歴史もので最近のアメリカの激動ぶりを踏まえると
趣き深い作品になっていました。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

本作は南北戦争を描いた作品なんですが、
南軍の愚かさを象徴するかのような
冒頭のショットがとても印象的。
死屍累々の丘を南軍が歌いながら行進、
そこへ待ち伏せしていた北軍が集中砲火。
本作のスタンスを画で分からせる。
ドラマだからといって逃げることなく、
戦争シーンのバイオレンス描写が
攻めの姿勢を貫いているのもナイスだと思いました。
あらすじにもあるように脱走兵となった、
ニュートンは南軍が一般家庭から物資を
巻き上げてるところに遭遇し追われる身になります。
その最初の南軍とのバトルシーンで、
年端もいかない女の子たちが
銃をかまえて南軍の脅しに屈しない姿勢を見せる。
不謹慎かもしれないけどキュートでした。
彼は自分の権利ひいては市民の権利のために
終始戦い続ける人なんですが、
このシーンがあるからこそ、
白人である彼が当時奴隷扱いされていた黒人たちに
寄り添うことへの理由付けになっていると思います。
彼は南軍から逃れるため黒人のコミュニティへと流れつき、
不当な南軍の脅しに苦しむ白人を巻き込みながら、
どんどん勢力を拡大して反撃の狼煙を上げていきます。
本作が変わった作りになっているのは、
約80年後のニュートンの子孫の姿も描いている点。
彼は裁判所で被告人として立っていて、
その罪状が黒人の血を1/8引いているにも関わらず、
白人の女性と結婚したこと。
こんなことがあったのか!と驚かざるを得ないんですが、
すべてが地続きに存在していて、
現在を生きる人間はその過去に縛り続けられる
というメッセージが重くのしかかってきます。
自ら主体的に変わろうとしなければ、
過去が常に踏襲されてしまうことの怖さ。
その時代に生きる人たちが理想を掲げて、
自分たちが生きやすい世界を作り上げていく
必要があるんだなーと思いました。
アメリカではその原理が悪い方向に流れて、
時代に逆行する、悪夢みたいなことが起こっていますが…
民主主義の選択の結果と言われれば、
それまでですが己の自由は主体的に獲得せねば!
と思わされる映画でした。

0 件のコメント: