2017年2月18日土曜日

グリーンルーム



<あらすじ>
パットがボーカルを務めるバンドは、
車のガソリン代にも事欠く、売れないパンクバンド。
彼らが極貧ツアーの中、
ようやく出演することができたライブハウスは、
なんとネオナチの根城だった。
パットとバンドメンバーは、
そこで殺人の現場を目撃してしまい、
ネオナチ軍団から命を狙われる事態となってしまう。
圧倒的に不利な状況で、
グリーンルーム(楽屋)に閉じこもったパットたちは、
アイデアと反骨精神を武器に
極悪非道なネオナチ軍団に立ち向かう。

去年のしたまちコメディ映画祭で
先行上映された際に諸々騒動が巻き起こっていて、
どんな映画なのかなーと思って見てきました。
パンクスvsネオナチという構図がオモシロかったし、
久々に超スプラッター!な感じで楽しみました。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

映画冒頭、草むらに突っ込んだ
車のショットから始まり、
その車に乗っている若者たちが何者なのか、
というのが前半に展開されます。
パンクスという言葉にどういうイメージを
持つのかは人それぞれだと思いますが、
僕はアゲアゲなイメージを勝手に持っていて。
一方で本作で描かれる彼らの姿は限りなくダウナー
それは自分たちの音楽活動が
上手くいっていないことに起因するんでしょうけど、
スクリーン全体から伝わってくる倦怠感が好きでした。
この倦怠感があるからこそ、
中盤から後半にかけての非日常な事態が際立っていました。
ライブがしたい彼らは地元FM局の人の仲介で、
とあるライブハウスへと向かいます。
そこは坊主の男だらけの危険な匂いがプンプンする空間。
彼らが演奏する曲に首をふる男たちの姿が不気味に見える。
(僕の好きなヒップホップの
パーティーも同じようなものなんですけどね。)
ライブが終わっていざ帰ろうとしたときに、
メンバーの1人が携帯を楽屋に忘れて、
それを取りに戻ったら、屈強な男たちと女の子の死体が!
目撃してしまったが最後バンドメンバーたちは
楽屋に軟禁されてしまいます。ここからが地獄の始まり。
殺人現場を目撃した彼らを生きて帰す訳にはいかないネオナチと、
何としても脱出したいパンクスの壮絶な戦いの
幕が切って落とされます。
本作の特徴は暴力の唐突さとシンプルさ。
超スプラッターと書きましたが、そこに仰々しさはなく、
単純に刺す、撃つ、噛まれる→血が出る
「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか」
えなりかずき©ばりのスタンス。
(犬のところはそれなりにハードだったけど)
ダメージを受ける、死んでいく順番もフレッシュで、
いきなり主人公から手首いかれるというねー
(からのダクトテープによる補強!)
基本ライブハウス内の密室での殺し合いなので、
空間の見せ方、使い方が大事なんだけどそこも見事。
終盤のショットガンの弾数を使った演出が
とてもハラハラして楽しかったです。
主人公たちの逆襲が始まる決定的瞬間があるんですが、
マッドマックスのウォーボーイズを思い出させる
あの出で立ちがとにかく最高最高!戦士!
あと敵側のネオナチがとんでもない悪党だけではなく、
末端の兵士たちはヤワい若者という描写もオモシロい。
敵側をとても悪いやつに仕立て上げればあげるほど、
物語が持つカタルシスは増しますが、
そこに逃げずに1人1人のキャラクターを
丁寧に描いているなーと感じました。
ちなみに僕のDesert Island bandはStevie Wonderです。

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