2016年5月14日土曜日

徘徊タクシー

徘徊タクシー


1年くらい積読していたんですが、
やっと読むことができました。
そのぶっ飛んだラジカルな思想について、
賛否両論あるとは思いますが、
僕はとても好きで著書を結構読んでいます。
本作は坂口恭平イズムというべきか、
今見ている世界がすべてではないという考えを
認知症の老人にあてはめてみようという話。
読み進めると主人公が坂口恭平にしか思えない
という点でいえば私小説になるのかな?
私小説と聞くとイメージで内省的な感情に溢れたものを
イメージされる人もいるかもしれませんが、
それよりも彼の思考をトレースしていく感じ。
彼の唱えるところのレイヤーという考えは
生きていく上で重要なことだと思っていて、
不都合だったり、好きではないもの、
興味のないものも別の見方をすれば、
豊かな世界が広がっていることに
気づくことができるからです。
本作の対象となっているのは認知症の老人ですが、
不可解と思われている彼らの行動にも
しっかりと理由があって、
それに対して認知症ではない人が
歩み寄ろうとしないから、
もっと面倒なことになってしまうのかなと思いました。
現実と正面から向き合って生きていければいいけど、
ときにエスケープしないと息が詰まっちゃう人もいる。
そういうときに坂口恭平の著作を読むといいかもしれません。

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