2016年5月21日土曜日

64 ロクヨン 前編


<あらすじ>
わずか1週間の昭和64年に発生した
少女誘拐殺人事件・通称「ロクヨン」。
事件は未解決のまま14年の時が流れ、
平成14年、時効が目前に迫っていた。
かつて刑事部の刑事としてロクヨンの
捜査にもあたった三上義信は、
現在は警務部の広報官として働き、
記者クラブとの確執や、刑事部と警務部の対立などに
神経をすり減らす日々を送っていた。
そんなある日、ロクヨンを模したかのような新たな誘拐事件が発生する。

数年前に友人から原作を猛プッシュされて、
そのまま放置したままドラマ化され、
そして 現状日本最高峰の俳優を集結させて、
前後編でついに映画化ということで見てきました。
原作未読ということもありますし。
ミステリーですから後編も見なければ、
なんとも言えないということもありますが、
相当キツかったです…
豪華俳優共演!な見所もあるにはあるんですが、
それでリカバーできないほどに
お話、演出に問題があると感じました。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

冒頭で本作の中心となる、
昭和64年に起こった少女誘拐事件の
シークエンスから始まります。
この時点で主演級の俳優が
つるべ打ちで出てくるので期待は高まりまくり。
とくに佐藤浩市×三浦友和の刑事コンビは
出てきた瞬間にウォー!と興奮。
あとは何といっても永瀬正敏。
本作で彼が一番好きでした。
誘拐された女の子の父親役なんですが、
橋に向かって車で折り返すときの顔が
とにかく最高最高!マッドネス!
この事件は身代金が犯人に取られて、
娘は殺されるという最悪の結果に終わり、
タイトルが出て物語が本格的にスタート。
前編でひたすら語られるのは
1. 記者クラブとの対話を通じた犯罪報道の倫理と
2. 64回りで起こる警察内部のいざこざ。
事件の核心に迫るサスペンス要素は
ほとんど言っていいほどありません。
上記に述べた内容が後編の伏線だと信じているんですが、
それにしても超ツマんないんですよねぇ。。
まず、こんだけ豪華な俳優を用意しといて、
俳優配置のバランスが悪過ぎると思います。
メインとなるのは坂口健太と瑛太で、
2人とも超嫌〜な感じの記者で素晴らしかったです。
しかし、人数集めというかルックとして
記者クラブという集団を担保するための
あくまで書き割りであって然るべき残りの俳優が
結構前に出てきて物語を進めていく役割を担う。
演出が下手くそなのか、彼らが話し始めると
「TVドラマの再現ドラマかよ!」
って言いたくなってしまうですね。
だって他が超豪華だから。
しかも、この記者クラブ絡みの話は
全体の半分くらいを占めているわけだからキツい。
またここで議論されている容疑者の実名報道のあり方ですが、
僕は不勉強でその背景や実状について知らないから
必ず実名報道であるべきだ!という記者クラブ側の主張も
警察広報部が示す譲歩に対しても賛成も反対もできず、
非常に感情移入しにくいことになっていました。
これは終盤に明らかにされるんですが、
64事件は昭和天皇崩御のニュースによって、
事件自体がほとんど報道されなかったという
報道と事件の因果関係が存在します。
せめて、それを最初に提示しておけば、
少しは乗っていけたかなーと思います。
演技という話でいえば、
豪華な男性俳優の中で紅一点の女性が榮倉奈々。
本作の監督である瀬々敬久監督が、
過去に撮ったアントキノイノチを彷彿とさせる地獄。
あくまで個人的な感想なんですが、
綺麗事野郎としての言動が逐一イライラさせられました。
もう1つの要素である警察内部のいざこざは
パワーゲームとしてオモシロかったです。
奥田瑛二、三浦友和の風格がたまらなかったし、
とにかく主演の佐藤浩市があまりにも不憫過ぎる!
こんなに追い込まれている中で、
自分のためではなく他人のために生きようとする、
その心意気や良しなんですが、少し演技が冗長過ぎたかな。。
後編の予告編が最後に流れたんですが、
どこまで期待できるのか、、、と不安を覚えましたが、
とりあえず先に原作を読んでしまってから
後編を見ようと思っているところです。

0 件のコメント: