2017年7月29日土曜日

インスタント・ジャーニー

インスタント・ジャーニー

前から気になっていた田丸雅智さんを
初めて読んでみました。
星新一に代表されるショートショート
という小説形式の若手作家で
東大工学部卒という異例の肩書きの持ち主。
(しかも同い年だった!)
本作はジャーニーというタイトルのとおり、
世界各国を舞台としたお話ばかりで
インスタントに旅行気分を味わえて楽しかったです。
とくにオモシロいなーと思ったのは
慣用表現をダイレクトに文字通り描いている点。
つまり「火の地」では火種という種子のある世界を、
「理屈をこねる」では理屈を物理的にこねる世界を。
日常のちょっとした表現に
少しのウィットを足すだけで想像の世界が広がり、
こんなにオモシロくなるんだなーと感じました。
中でも駄洒落的側面の強い「虚無缶」と「帰省瓶」が最高。
ショートショートはオチが割と肝だと思うんですが、
きっちり落とすものもあれば、
何とも言えない余韻を残したものまで。
僕は落ちがはっきりしているものよりも、
読み手にその先を想像させてくれる、
ショートショートが好きです。
この点では「東京」が特に素晴らしかったです。
通勤中に立て続けに読んでしまいましたが、
寝る前に1つ読んで世界を夢見ながら
眠りにつくのが良いのかもしれません。

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