2017年7月19日水曜日

監獄ラッパー

監獄ラッパー (新潮文庫)

ラッパーの書籍は出たらなるべく読むようにしていて、
なぜならどう転んでもオモシロいから。
(ANARCHYの痛みの作文も祝文庫化!)
そんな中で取りこぼしていたのが本作で、
やっと読むことができました。
ラッパー=悪いというイメージは
長い時間かけて醸成されたもので、
ここ日本においても例外ではなく、
悪そうなやつは大体友達な訳ですが、
本作の著者のB.I.G. JOEは別格なのです。
なぜならヘロイン密輸の罪で
オーストラリアの刑務所に6年間服役していたから。
本作では、その経緯と刑務所で体験したことが
赤裸々に語られていてめちゃくちゃ興味深かったです。
密輸、逮捕、裁判、刑務所での生活、
ここまで書いて大丈夫なのか?と思えるくらいで、
圧倒的孤独と絶望の中から這い上がっていく
彼の姿を読んでいると、
ダラダラ生きている自分に喝が入りました。
あとは人生に音楽があることの意味をひしひしと。
嫌なことや辛いことがあっても、
音楽が好きだと救われる瞬間がある。
単純にオーストラリアのジェイルの
内輪事情のルポとしてもオモシロくて、
心温まるようなエピソードもありつつ、
当然スリリングな瞬間も多くて、
このギャップにやられて読み終わるのがあっと言う間。
当事者である彼なりの犯罪学も
興味深くて現状の刑務所システムの
不完全さについてはなるほどなーと感じるところも。
(更生施設としての機能を果たしているのか?という意見)
彼が獄中にいるときにリリースした、
Come Cleanを読んだあとに改めて聞くと
歌では絶対表現できない世界観を
ラップという豊かな歌唱法が掬い取っている瞬間が
たくさんあってやっぱりラップが好きだなと思いました。

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