2016年12月7日水曜日

アジア未知動物紀行

アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン (講談社文庫)

僕の周りにファンが多い高野秀行さん。
しかし僕はワセダ三畳青春記しか読んでおらず、
彼の本業の部分に触れてきませんでした。
その本業とは探検家であり、
様々な土地を訪れて訪問先での内容を
オモシロおかしく紹介するノンフィクションライター
そろそろ読んでみるかーと、
手を出しやすい文庫本から読んでみました。
当然のことながらオモシロかったです!
未知動物とはUMAのことであり、
本作では3匹のUMAを追いかけています。
1匹目はベトナムの類人猿「フンハイ」
2匹目は奄美の妖怪「ケンムン」
3匹目はアフガニスタンの凶獣「ペシャクパラング」
どうですか?名前見ただけでワクワクしますよね。
とくにペシャクパラングって言葉の響きはカワイイのに、
凶暴で人を襲うというギャップがたまらない。
本当にいるのか/いないのか、
0/1で議論したい人にはオススメできないかもしれません。
なぜなら、その狭間で揺れ動く雲のような存在について、
あれこれ夢想するところが楽しいから。
あとがきでも触れられていますが、
この調査ではほとんど準備せず、
勢いでUMAを探しにいくいきあたりばったりな旅。
ゆえにやきもきする場面もありますが、
偶然がもたらす情報のフレッシュさがグッとくる。
何でも調べられるし、個人の嗜好を踏まえて
提案されるのが当たり前になる時代に、
「偶然」の大切さ、オモシロさを感じました。
UMAの捜索がメインにあるんですが、
それに伴い各国の人の生活が垣間見える、
文化人類学的な内容もあり滞在記としてもオモシロかったです。
その最たるものがソマリア関連作なのかなと。
この3匹は一見すると何のつながりも見えないんですが、
アメリカという軸を1つ入れることで見えてくる
推論がなるほどなぁと納得しました。
物事をシンプルに考えたがる結果として
アメリカの権威の強さが陰謀論とUMAに
「らしさ」をもたらすだなんて…
他の作品もどんどん読んでみたいと思います。

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