2016年12月18日日曜日

パルプ

パルプ (ちくま文庫)

初めてのチャールズ・ブコウスキー。
田我流がブログでオススメしてましたし、
友人のツイートの後押しもあって読んでみました。
自意識突き詰め系の文学ばっかり読んでいたので、
久々の荒唐無稽な作品で楽しかったです。
小説って自由ということを思い出させてくれる。
探偵ものなんだけどまともに捜査もしない、
腑抜けの探偵ニック・ビレーンが主人公。
事務所の家賃もろくに払えない彼に、
ある人物の紹介によって依頼がいくつか舞い込み、
それをのらりくらり解決(?)していくお話。
本作を読んで思い出したのは、
トマス・ピンチョンのLAヴァイス。
主人公は私立探偵でダラダラしているし、
世界観としてはかなり近いものがあるなぁと。
ただ、LAヴァイスはふざけたところもありながら、
引き締めるところはきっちり引き締めて、
シリアスなシーンも多かったのに対して
本作はリアリティラインを
軽々と越えてくるところがオモシロかったです。
亡くなったフランスの作家が出てきたり、
宇宙人が出てくる、依頼者が死神などなど。
ハードボイルドかと思いきやの裏切りが
そこかしこで見られました。
あと主人公の厭世観も見所だと思います。
クソだな、こんな世の中!的な姿勢と、
オレの人生こんなもんだろ、いつか死ぬだけだし
という姿勢のバランスが好きでした。
訳者である柴田元幸さんのあとがきでの、
パウルプフィクションとの対比に膝を打ちました。
他の作品がどんな感じなのか気になります。

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