2016年10月22日土曜日

日本の黒い夏 冤罪

日本の黒い夏 [冤enzai罪] [DVD]

遠藤周作の沈黙がスコセッシによって
映画化されるというニュースがありました。
しかも窪塚洋介、浅野忠信が出演しているとのことで、
とても楽しみにしています。
過去に遠藤周作の作品を映画化している人はいないのか?
ふと疑問に思って探してみたら熊井啓という人が、
海と毒薬、深い河を映画化していることを知りました。
Huluで見れる監督の作品がないかと思って調べたら、
本作が出てきたので見てみました。
(遠藤周作はとくに関係ありません。)
オウム真理教が引き起こした松本サリン事件について、
高校生がマスコミに検証取材を行うという設定で、
事件の真相を探っていく作品です。
地下鉄サリン事件は内容のショッキングさゆえ、
当然知っていましたが松本サリン事件の詳細は
全く知らなくて勉強になりました。
サリンによってヒドい被害が出たわけですが、
本作がフォーカスしているのは
マスコミ・警察による報道被害です。
初動捜査とマスコミのミスリードにより、
全く関係のない神部さんという人が容疑にかけられます。
彼への容疑は本当に正しいのか?と疑問に思った、
TV 局が当時を回想して真相を語っていくんですが、
教養としてのマスコミ論入門編として非常に分かりやすい。
本作で語られていることがどこまで真実なのか、
それは分かりませんがニュースは斜め読みして
ちょうどいいくらいなんだなーと思いました。
中井貴一が主人公でTV局の部長。
自分たちが他社に抜かれたとしても、
あくまでファクト、取材内容に基づいて報道する
という姿勢を守っているのがカッコ良かったです。
ギリギリのところで踏みとどまるジャーナリズム。
僕が一番好きだったのは刑事の石橋蓮司と、
中井貴一が取調室でサシで向かい合うシーン。
倫理観について問いつめてくる中井貴一に対して、
「てめぇ、どの口が言ってんだよ?」という、
石橋蓮司のカウンターの決め方よ…!
そしてラストに冤罪が証明されたのち、
神部さん宅付近で出会う2人の距離感が
なんとも言えない塩梅でナイスでした。
フィクションだからこそ、デフォルメすることができて、
この事件の問題部分が浮かび上がってくる、
構成・演出も良かったと思います。
海と毒薬、深い河も見てみます。

0 件のコメント: