著者である春日太一最新作ということで読みました。
あかんやつらでもフィーチャーされていた五社英雄監督。
本作は彼にフォーカスし、作品および人物像が深堀りされていて、
めちゃくちゃオモシロかったです。
春日太一さんの本の何がオモシロいかって、
監督のキャリアを時間の縦軸と、
同時代の状況を描いた横軸で整理している点は勿論のこと、
映画の場面や裏話をドラマティックなタッチで書いているところ。
本のイントロからブチ上がらざるを得ないんですが、
それはすでに五社英雄監督の術中にはまっているという、
仕掛けからしてニクい構成でニヤリとさせられる。
今でこそTV主導で邦画作品が多いですが、
当時は映画が娯楽の王道でTVが下に見られていた中、
フジテレビのプロデューサーだった五社監督は亜流扱い。
そこから映画スタッフの信頼を獲得して、
己の映画を作り上げていく姿が超かっこいい!
丹波哲郎、夏八木勲、仲代達矢、夏目雅子といった、
日本を代表する俳優陣とのエピソードもオモシロくて、
当然知らないことだらけだし作品が見たくなります。
また監督の作風の変化も興味深く、
時期によって作り方が異なる点を丁寧に解説してくれています。
その中で五社監督が貫いた姿勢が、
どこか1つでもいいから出色のシーンを作ること。
たとえ物語の流れが破綻したとしても、
観客の心に残る場面を作り上げるんだ!という心意気は、
ツッコミ過多な批評が多い中だと、
少なくなっているかもしれません。
本作の中には写真が多く掲載されているんですが、
それも超かっこよくてウットリしてしまう。
とくに五社監督の背中のモンモンの迫力たるや …
カタギではなくなるその覚悟を見ました。
本当に死ぬ寸前まで映画を作り続けた、
映画への愛が滾りまくった人生に最大限の敬意を。
Huluに松竹配給の作品がたくさんあるので、
時間かけて見ていきたい所存です。
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