2016年10月1日土曜日

硫黄島からの手紙と父親たちの星条旗

映画頭脳破壊で取り上げられていたし、
イーストウッド監督最新作見る前に …ということで。
両作とも過去に1回DVDで見ていて、
その頃はドンパチが派手な硫黄島の方が
好きだったなーという印象でしたが、
今改めて見ると星条旗のメッセージの重さがグッときました。
歳を取ったこともあるし、当時から変わった
日本の情勢、空気が影響しているかもしれません。
この2作品をみれば、ハード/ソフトの両面から
戦争がいかにくだらなくて嫌なことか分かると思います。

硫黄島からの手紙




渡辺謙が栗林中将を演じ負け戦になることを覚悟しつつ、
硫黄島を死守しようとした日本兵たちの話。
硫黄島の戦いの壮絶さが克明に描かれているし、
今回見て思ったのはバランスの良さ。
アメリカ人からしてみれば、Remember Pearl Harborな訳で、
当時の人にとって日本兵は憎むべき存在。
それにも関わらず、日本も戦争に巻き込まれた被害者である、
という姿勢がビシビシと伝わってきました。
ハード(身体的)な戦争の残酷さを担うのが本作で、
ゴア描写が結構攻めているんですが、
手榴弾による自決シーンはかなり辛かったです。
暗闇で 坂の上から撃たれる構図は野火にもありましたが、
棒切れのように人が倒れる様子も辛かったなー
袋小路の中でも己が正しいと思う方向に進むしかない、
その大切さも知ることができました。

父親たちの星条旗



硫黄島の擂鉢山にアメリカ国旗を立て、
その様子を収めた写真が熱狂を巻き起こして、
若い兵士が政争の具とされていく話。
ソフト(精神的)な戦争の残酷さを担うのが本作で、
戦争に英雄なんていないことを示していました。
分かりやすい物語を求めて大衆が裸の王様を生み出す、
その過程を丁寧に描いていくことで、
英雄扱いされた側の苦悩が伝わってきました。
戦争従軍者の息子が、父親や周辺の話を聞いて、
戦時中のことを浮き彫りにするというストーリーラインは
永遠のゼロと同じですが中身は正反対。
最近アメリカン・スナイパーでも戦争による
PTSDを描いていましたが、本作の方がより濃厚で、
回想のタイミングを含めて全体の構成がPTSDそのもの。
身体だけではなく心も蝕まれるのが戦争。

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