2016年9月9日金曜日

あなたが消えた夜に

あなたが消えた夜に

中村文則作品。
私の消滅がかなりオモシロかったんですが、
そのあとがきに本作と教団Xがあったから、
書くことができましたという話があり、
それは読まねば!ということで読みました。
刑事バディもののサスペンスかと思いきや、
通り魔殺人事件を捜査していく過程で、
徐々に悪が広がっていき途中から中村節が炸裂してました。
テーマとして教団Xで描かれた信仰と、
私の消滅で描かれた意識(洗脳)の両方が入っているので、
2作をつなぐブリッジのような内容になっています。
突き詰めまくった2作を読んだ後に読むと、
少し物足りなく感じますが、
3作の中で一番エンターティメントとして仕上がっているので、
普段中村文則作品を読まない人でも楽しめると思います。
横山秀夫の64を彷彿とさせる警察内部のいざこざや、
シリアスな中に挟まれるコメディ要素など。
3部構成になっているんですが、
事件がかなり複雑で読み進めるにつれて、
インフレしまくりで回収できるのかと不安に思うくらい。
そして2部までは全貌がほとんど見えない中で、
僕が一番好きだったのは第3部でした。
もろに遠藤周作の沈黙を彷彿とさせる、
信仰に関する1人の人間の苦悩がとてもオモシロかったです。
その部分だけ読むと何言うてまんねんと、
納得できない部分があるかもしれないですが、
それまでに散りばめた悪の要素が
溜まりに溜まって3 部で炸裂するという構成もナイスでした。
タイトル&装丁の物語との親和性も抜群。
最近、中村作品の読みすぎで、
悪夢見る頻度が異常に高くなっていますが
次に読む本も中村作品。悪夢よ止まれ!

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