私の消滅がかなりオモシロかったんですが、
そのあとがきに本作と教団Xがあったから、
書くことができましたという話があり、
それは読まねば!ということで読みました。
刑事バディもののサスペンスかと思いきや、
通り魔殺人事件を捜査していく過程で、
徐々に悪が広がっていき途中から中村節が炸裂してました。
テーマとして教団Xで描かれた信仰と、
私の消滅で描かれた意識(洗脳)の両方が入っているので、
2作をつなぐブリッジのような内容になっています。
突き詰めまくった2作を読んだ後に読むと、
少し物足りなく感じますが、
3作の中で一番エンターティメントとして仕上がっているので、
普段中村文則作品を読まない人でも楽しめると思います。
横山秀夫の64を彷彿とさせる警察内部のいざこざや、
シリアスな中に挟まれるコメディ要素など。
3部構成になっているんですが、
事件がかなり複雑で読み進めるにつれて、
インフレしまくりで回収できるのかと不安に思うくらい。
そして2部までは全貌がほとんど見えない中で、
僕が一番好きだったのは第3部でした。
もろに遠藤周作の沈黙を彷彿とさせる、
信仰に関する1人の人間の苦悩がとてもオモシロかったです。
その部分だけ読むと何言うてまんねんと、
納得できない部分があるかもしれないですが、
それまでに散りばめた悪の要素が
溜まりに溜まって3 部で炸裂するという構成もナイスでした。
タイトル&装丁の物語との親和性も抜群。
最近、中村作品の読みすぎで、
悪夢見る頻度が異常に高くなっていますが
次に読む本も中村作品。悪夢よ止まれ!
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