2010年に文庫化されているんですが、
買い逃していてやっと読むことができました。
倫理的にかなり突っ込んだ内容なので
万人におすすめできないけれど、
僕はとても好きな作品でした。
普段から本を読むことでしか味わえないことが、
必ずあると思っているんですが、
その1つに普段深く考えないことに
否が応でも直面させられる点があると思います。
本作では幼い頃に知的障害を持つ女性に対する、
集団強姦という恐ろしい場面に遭遇した、
2人の主人公がそれぞれ別の道を辿りながら、
「生」と「性」についてどのように向き合うのか?
というテーマでサスペンスを交えて描いています。
脊髄反射で酷いもの、汚いものを拒否する人は
世の中に一定数いると思うんですけど、
嫌だ!と思考停止するのではなく、
「悪めいたもの」の存在理由を考えることが
大事だと思うんですよね。
読んでると辛くなるというか、
性犯罪は当然許されるような行為じゃないですし、
「男の衝動だから …」みたいなくだらない言い訳でもない。
外的要因と内的要因の狭間から生まれる、
アンコントロールな負の感情とでもいいましょうか。
安易な二元論に逃げない中村さんが、
物語にかける祈りにも似た強い思いを感じました。
「何もかも憂鬱な夜に」が好きな人は好きだと思います。
映画化されているそうなので、そっちもチェックせねば。
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