2016年1月31日日曜日

ブラック・スキャンダル



1970年代、サウス・ボストン。

FBI捜査官コナリーはアイルランド系マフィアの
ボスであるホワイティ(バルジャー)に、共通の敵である
イタリア系マフィアを協力して排除しようと持ちかける。
しかし歯止めのきかなくなったホワイティは
法の網をかいくぐって絶大な権力を握るようになり、
ボストンで最も危険なギャングへとのし上がっていく。
映画.comより)

ジョニー・デップの衝撃的なヴィジュアルに
惹かれて見てきました。
実際にあった事件とは思えない、
悪人と警察の癒着っぷりが愉快で楽しい映画でした。
見方を変えれば何歳になっても昔の関係性、掟に従順となり、
ロイヤリティを示す美しい物語と言えるかもしれません。
一方的に断罪されるべき所業の数々が行われるんですが、
悪党にも悪党なりの背景がある訳で。。。
といった内容なのも好きなバランスでした。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

冒頭、警官に尋問される若者のシーンから始まり、
司法取引を行っていて、
彼はあるボスに仕えていたことが明らかにされます。
それがジョニー・デップ演じるバルジャー。
はっきり言ってしまえば、本作は彼を見るためにだけ
存在していると言っても過言じゃないと思います。
見た目、中身のどれを取っても強烈でした。。
登場シーンは仲間とバーで酒を飲んでいるシーンで、
酒のつまみを食べるたびに指を舐めて、
その指でつまみを触りまくる仲間を叱責します。
この時点で「こいつはキレさせたらヤバイ」
ということがビシビシ伝わってきます。
目を含めた表情のMadnessとでも言いましょうか。
前半の段階では本当の悪人になるゴロツキの段階なので、
いい人の側面も残っているんですが、
身内の不幸という分かりやすい形で、
悪者としてのギアが徐々に上がっていきます。
このバルジャーの兄が
ベネディクト・カンバーバッジ演じるビルで
彼は上院議員を務めています。
2人は互いの立場を考慮して深入りしないんですが、
幼馴染のFBI捜査官であるコナリーが入り、
3人の新たな関係が構築されていきます。
3人の立場が善悪入り乱れている感じは、
ミスティックリバーに近いものがありますが、
本作は主にコナリーとバルジャーの物語になっています。
2人はイタリアンマフィアを壊滅するという
共通の目的を持つことで結託し、
FBIがバルジャーに手を出さない代わりに、
イタリアンマフィアの情報を提供するという密約を交わします。
天下のFBIが街のゴロツキに頼りきっていたなんて、
滑稽な話ではありますが、
実話なんだから恐ろしい話です。
バルジャーはとにかく自分のことを裏切ったやつ、
裏切りそうなやつを片っ端から
容赦なく殺していくのが怖いところ。
子どもに教訓として、
「周りに人がいるときに暴力を振るったらダメだ」
と説いているのを見て笑ってたんですが、
その後、徹頭徹尾その教訓を貫くんだから一切笑えません。
一方でFBI側のコナリーは情報提供により、
マフィアを逮捕しウハウハ状態で
バルジャーとの蜜月関係を深めていきます。
僕が本作で一番好きだったのは、
コナリー家での食事シーンです。
ステーキの味の秘密のくだりは
完全にフォックス・キャッチャー
デュポンを思い出さずにはいられなかったし、
コナリーの奥さんとのやり取りの
ネトーっとした気持ち悪さが最悪で最高でした。
悪事も未来永劫続く訳はなく、
マフィアが壊滅したあとに幅を利かせた
バルジャーの一味がFBIの目の敵となります。
コナリーも守りきれなくなり、
ビルに助けを求めに行くシーンがあるんですが、
「法律とかの前に大事な関係ってあるやん?」
とほざくコナリーを一蹴するビルがカッコ良かったです。
実話系ってエンドロールに、
登場人物のその後が文字で示されることが多いと思います。
前情報なしで見に行ったのもあるんですが、
バルジャーに関する衝撃的なその後の話が…!
ルポが角川文庫から出ているようなので、
時間ができたときに読みたいところです。

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