2016年1月26日火曜日

炎上する君

炎上する君 (角川文庫)



西加奈子作品。
昨年、食わず嫌いからの「サラバ!」で
完全にノックアウトされてしまい、
著作を色々読んでいくことにしています。
今となっては本作は中身よりも
文庫版に寄せた又吉直樹の解説が有名かと思います。
帯コメの「絶望するな。僕たちには西加奈子がいる」は
どこかで聞いた方も多いかと思います。
彼の解説はどこの文学評論家やねん!
というくらい小説を深く理解し、
さらに読んだ感情を伝える文章が
本当に巧みだなーと感じました。
それはさておき、肝心の中身はというと、
とてもオモシロかったです!
想像力のロイター板のバネの部分がたくましいと言いましょうか。
SFとまではいかないけれど、
設定のオモシロさが勝負になっているので、
そこに乗ることができれば楽しめると思います、
本作は8つの短編で構成されており、
僕が好きだったのは「甘い果実」、「炎上する君」、
「ある風船の落下」です。
「甘い果実」では実在する作家の
山崎ナオコーラに憧れる作家ワナビーの話なんですが、
この「ナオコーラ」という名前の
イイ意味でのバカバカしさが心地良かったです。
タイトルにもなっている「炎上する君」は、
足が燃えている男という突飛なところから、
燃えているのはお前だー!という飛躍が
かっこよいなーと思いましたね。
一番好きだったのは「ある風船の落下」
風船病という感染病の流行から、
人との距離感の話へと転換していく鮮やかさは
本当に素晴らしかったです。
友人から勧められる西加奈子作品は
本作以降の作品が多いので、これから読む作品も楽しみです。

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