何気なく棚を見たらチャック・パラニュークの作品が!
ということで借りて読みました。
本作は絶版になっているので正規では買えません。
彼の代表作はもちろんファイトクラブでしょう。
昨年、新訳版がリリースされて読んだのですが、
超オモシロかったです。
その一方で、他の作品は読めない状況が続いています。
サバイバーは単行本を持っているんですが、
やっぱりKindleで洋書コースかなぁと考える今日この頃。
前置きが長くなりましたが、本作もオモシロかったです。
ララバイは子守唄という意味ですが、
作品内でメインとなるのは間引きの歌と呼ばれるもので、
それを特定の人物に向かって唱えると、
その人間が死んでしまう呪文。
歌を対象者に聞かせなくても唱えるだけで殺すことができる。
ここまで聞いて勘のいい人なら分かるでしょうが、
そうです、デスノートカジュアル版です。
あとがきにも書かれていましたが、
デスノートシリーズでは、ギミックの勝負といいますか、
ある設定を使ってどっちが裏をかいて
勝つことができるかというゲーム性がフォーカスされています。
本作にも後半はその要素は含まれるものの、
メインとなるのは人を殺すことに関する議論と
ひたすら展開される陰謀論。
現実社会で陰謀論をドヤ顔で語られることほど、
辛いことはないわけですが、
チャック・パラニュークが語る世界の仕組みの話、
資本主義に対する懐疑的な姿勢はいつも興味深い。
中盤から擬似家族状態でアメリカを巡る、
ロードムービーのような展開の中で、
家族間の会話として論考が繰り広げられるんですが、
僕はここが一番好きでした。
とくにオイスターというキャラクターが展開する、
自然でさえも元々アメリカ大陸にはなかったものが、
蹂躙しているこんな世の中、ポイズン。
という論考がなるほどなーと思いました。
(ファイトクラブでのタイラー・ダーデン的な役割)
あとチャック・パラニュークは文を忍ばせるのが巧み。
前半に出てきた同じ文章が後半にそのまま出てきても
物語を読み進めた上で読むと感じ方が変わっていて、
自分の変化を文章から感じるという不思議な体験でした。
後半からはラストにかけて「ハリーポッターか!」と
ツッコミを入れたくなるほど様々な呪文が登場して、
しっちゃかめっちゃか。
ラストはぶっ飛び過ぎて笑ってしまいました。
ビッグブラザーへの言及がとても多かったので、
1984をいい加減に読まねばと思います。
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