2016年11月12日土曜日

ミュージアム



<あらすじ>
雨の日だけに起こる猟奇殺人事件を追う刑事の沢村久志。
犯行現場に残された謎のメモや、見つけられることを
前提としたかのような死体から、
カエルのマスクを被った犯人像が浮かび上がる。
通称・カエル男と呼ばれるようになった犯人を
追い詰めていく沢村だったが、
カエル男の仕組んだ残酷な罠にはまり、
絶望的な状況に追い込まれてしまう。
映画.comより)

セブンを思わせる予告編を見て気になったので見てきました。

過去のシリアルキラー映画を彷彿とさせる要素が
たくさん詰め込まれていて楽しかったです。
ただ、説明過多っぷりが目について
残念な気持ちにもなりました …
ネタバレするとアレな映画なので、
これから見る人はそっと閉じてください。。。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

過去の回想を思わせる夢から始まり、
家族がいたと思わせる部屋が荒れ放題の状態の中、
その夢から目覚めた男が本作の主人公である沢村。
彼は刑事で呼び出しに応じて事件現場へ向かうところで
監視カメラのようなショットともにタイトルが出る。
こんな意味深な前振りがありつつ、
しかも最初の事件からして女性が犬に食い殺されたいう、
なかなかのハードっぷりで期待が高まっていく。
これがシリアルキラーの一連の犯行の始まりとなり、
事件自体のギミックが手がこんでいるのオモシロい点なんですが、
それに加えて死体の造形の作り込みがかなり攻めてる!
素晴らしい美術の仕事だと思いますし、
その死体を逃げずにしっかりと画面に収めているのが最高。
なぜなら本作は「殺人現場」というものを1つのアートと捉えて、
犯行を繰り返すタイプのシリアルキラーだから。
メジャーな邦画でここを手抜かずにやり切ることって、
おそらく大変なんだろうけど最後まで徹底していました。
(「大変」というのは観客側の勝手な妄想で余計なお世話かもですが)
くだらなくて最高だなぁと思ったのは2つめの犯行。
お母さんの痛みを知りましょうの刑。
アニメ好き、実家暮らしの引きこもり、デブ。
という極度にデフォルメされたオタク像に辟易するかもしれませんが、
カエルの犯人が侵入してくるところが好きでした。
ドアがガチャガチャなって必死に「いますよ~」と大声で叫ぶのが、
とても気持ちがわかるというか。。
子どもの頃、幽霊怖くて似たようなことをやってたのを思い出しました。
ただし、前述したとおり僕が本作でとても残念な気持ちになった、
説明過多な感じがこの辺りから気になり始めてしまった …
「まさかドア裏なんて…」っていうことは、
観客の多くが思っているから言わなくていいですよと。
被害者のあいだに共通点が見つかり、
それがある事件の裁判官もしくは裁判員を務めたというもの。
そこに沢村の奥さんも参加していたことで、
彼が取り乱し始めて事件が良からぬ方向へと進んでいきます。
この取り乱し方がまた叫びまくりの暴れまくりの
紋切型な邦画でよく見るタイプのやつでテンションが下がる。
直情型の人間であることが前フリであれば、
あの感じも飲み込みやすいんですけど、
いきなり「ウォー!なんだよ!」できたのでビックリしました。
あと沢村の心情を説明するナレーションが
合間合間に挟まれるのも本当にノイズ。
本作の小栗旬は相当気合入っているのがスクリーンから伝わってくるし、
彼の所作を見て感情の機微は伝わってくるはず。
観客をバカと思っているか、俳優のことを信じてないか、
どちらかとしか思えなかったです。
小栗旬の演技も見所ですが何よりも最高だったのは
妻夫木聡が演じる霧島というシリアルキラーでした。
今まで見た中で一番MADな妻夫木くん。
しかも、そのマッドネスが相当ぶっ飛んでいて、
見た目の特殊メイクの作り込み、illnessを感じる話し方、
どれを取っても素晴らしかったです。
最初に予告で名前を見たときに「えー?」と思う人もいるかもですが、
その想像を遥かに超えてくるので安心してください。
個人的に感じた一番の見所はカーチェイスのシーンですかね。
細い路地で競り合うのがカッコよく撮られていたし、
衝撃のカークラッシュは迫力ありまくり。
トラックによるカーサンドイッチ攻撃もオモシロかった!
前半はセブン的な展開だとすれば、
後半はソウを思わせる密室スリラー。
ただのモノマネやん!と言ってしまえばそれまでなんだけど、
その心意気を買いたいし、マネキンの気持ち悪さ、
さらにスウィーニー・トッドを思わせる、
人肉ハンバーガー展開もオモシロかったです。
後輩にドヤ顔で語っていたことが
自分の身に振りかかってくるんだからたまんない。
終盤のカレー味のウンコか、ウンコ味のカレーか?という、
究極の選択のところは俳優陣の迫力が炸裂してて、
全員のうめき声が爆音でコダマするのは圧巻。
結果的に家族全員が助かったー、良かったねとなって、
「あーずいぶん丸まったなー」とか思っていたら、
想像を超える悪夢の展開が …
個人的には沢村が病院で訪れたときに
光線過敏症の特性について説明されていた方が、
さらにゾッとするような気持ちになったかも。
大友監督は日本アクション映画を担う人だと思っているので、
次の作品も楽しみにしたいです。
(先日公開された脳の映画は見ていないけど。。。)

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