2017年10月14日土曜日

世にも奇妙なマラソン大会

世にも奇妙なマラソン大会 (集英社文庫)

こちらもブックオフでサルベージ。
(特大ボリュームの謎の独立国家ソマリランドが
ついに文庫化されたとの報を聞き、それも早く読みたい!)
マラソン素人の高野さんが
アフリカの砂漠でのマラソン大会に
参加する過程を描いた作品です。
もはや、このレベルの話を聞いても
「へーそうなんだー」となり、
そこまで驚かなくなっている自分に驚きつつ、
毎度のことながらオモシロかったです。
初めてのことに何の抵抗もなく、
とりあえず突っ込んでいて乗り切っていく姿は人間力の塊。
舞台となる西サハラも行くまではよく知らないし、
マラソンも今まで走ったことがない。
多くの読者と同じフラットな目線から突入して、
そこで起こっている事態を理解していく、
究極の体感型ドキュメンタリーだなぁと感じました。
しかも、単純なレポートに陥ることなく、
その国の背景を解説してくれるからとても勉強になります。
本作では西サハラという難民キャンプエリアと
モロッコの関係を図らずも知ることができました。
(イスラエルとパレスチナ的な関係ね)
スポーツとナショナリズムの結びつきが
あまり好きになれないんですけど、
本作のエンディングで悪くないかも?と少し思いました。
あとマラソン大会以外に入っている短編群もかなり好きでした。
とくに「ブルガリアの岩と薔薇」がオモシロくて、
ブルガリアで親切なおじさんに付いていったら、
その人がバイセクシャルでひたすら言い寄られるのを
逃げ切るというハラハラする話。
おじさんにちやほやされる中で
高野さんが女性の気持ちを良い意味でも悪い意味でも
悟るところが最高でした。
膨大な量の著作があるので、
少しずつ読み進めていきたいです。

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