2017年10月15日日曜日

ホームシック 生活 (2〜3人分)

ホームシック: 生活(2~3人分) (ちくま文庫)

ECDが癌を患い闘病している中、
過去のエッセイ集が文庫で
リリースされたので読みました。
近年はECDの奥さんの植本さんの著作から
彼の生活を見てきた訳ですが、
本作は植本さんと結婚、
1人目の娘を出産するまでをECDが書いています。
以前に読んだ半自伝的小説でも感じた、
淡々とした独特のリズムの文章と
日常を語るエッセイのバランスが素晴らし過ぎました。
劇場型とまでは言いませんが、
植本さんは感情で生きている印象を
本を読んでいる限りでは受けるのですが、
ECDはそれを達観しているような視点がオモシロかったです。
確かに年齢が上だから、
ということが理由の1つなのかもしれないけれど、
それだけじゃない2人のコンビネーションが
2人の著作を読むことで立体的に浮き彫りになる。
しかも2人ともすべて明け透けに語っているだなんて、
こんな夫婦はそうそういないでしょう。
この2人を見ていて感じるのは
必ずしも夫婦が似た者同士である必要はないということ。
お互いが他人であるということを理解して
初めて生活が回っていくのかもしれないなーと。
(結婚もしてないテメーが語んなという意見は
胸にそっとしまってください、今すぐに。)
あいまに挟まれている植本さんの写真も
生活の瞬間が切り取られていて、
エッセイを補完する材料として見事に機能していました。
僕が一番好きなのは「一日」という話。
ここ数年、一番オモシロいのは日記という
持論をことあるごとに感じるのですが、
それを体現するかのようなエッセイ。
ただただ起こったことの記録でしかないんだけど、
静謐で無駄のない文章が醸し出す、
生活することの豊かさがたまりませんでした。
とか思ってたら友人のレビューでも
「一日」が引用されていて
シンクロニシティ感じました→リンク
ECDの著作の最新作も合わせて早く読みます。

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