2017年9月17日日曜日

精神病とモザイク タブーの世界にカメラを向ける

精神病とモザイク タブーの世界にカメラを向ける (シリーズCura)

映画監督の想田さんの精神という
素晴らしいドキュメンタリーがあるんですが、
それについて深掘りした著書です。
結構前に見たんですけど、
記憶が蘇ってもう1回見たくなった。。。
想田監督の作品は観察映画というスタイルで、
ナレーション、テロップ、音楽がない中で、
見る側が主体的に映画を観察することで、
能動的な映画体験が得られるもの。
こちら側が読み取ったものと
実際どうだったのか?を確認するのも楽しいし、
こんな裏側が…という話も興味深かったです。
精神という映画では岡山にある精神診療科での日常を
撮影したドキュメンタリーなんですが、
何が画期的なのかといえば
被写体となる患者にモザイクをかけていない点。
本来は患者のプライバシーを守るはずのモザイクが
作り手側のセーフティーになってしまい、
精神病が「危ない」というイメージの
一方的な押しつけになってしまっている。
あとは精神病と非精神病の境目についての
論考もとても興味深かったです。
自分とは全く異なる人と見切ってしまうのではなく、
自分がいつ罹患するか分からないし、
正しく思考できないというレッテルを
一方的に貼ってしまうのは違うんじゃないか?
社会から排除することで見えなくするのではなく、
何がどの程度問題なのかを可視化していく作業が
必要だなーと感じました。
いきなり何かが劇的に変わることはないのかもしれないけど、
こういった映画が広まることで
社会が変わっていけばいいなぁという
うすぼんやりした希望を持ったりしました。

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