2017年9月16日土曜日

ダンケルク



<あらすじ>
ポーランドを侵攻し、そこから北フランスまで
勢力を広げたドイツ軍は、
戦車や航空機といった新兵器を用いた電撃的な戦いで
英仏連合軍をフランス北部のダンケルクへと追い詰めていく。
この事態に危機感を抱いたイギリス首相のチャーチルは、
ダンケルクに取り残された兵士40万人の救出を命じ、
1940年5月26日、軍艦はもとより、
民間の船舶も総動員したダイナモ作戦が発動。
戦局は奇跡的な展開を迎えることとなる。
映画.comより)

クリストファー・ノーラン最新作。
あのノーランが実話に挑戦!というふれこみで、
10回くらい予告を劇場で見ていて、
どうなんだろうと思いながら
金曜日のIMAXという
孤独なおじさんだらけの環境で見ました。
お話がどやねん!問題もあるけれど、
IMAXカメラで取られていることもあって、
息を呑むショット、音の数々に魅了されました。

※ここから盛大にネタバレして書きます。

初め10分くらいほとんどセリフがない中、
戦場の緊迫感を伝えるショットの数々が展開されます。
あらすじにあるような詳細な戦況は
物語内で語られることはないんだけど、
陸づての退路はありえないことが分かるような
オープニングの戦闘シーンの迫力が抜群。
さらに浜辺にいる大量の兵士に対して、
ドイツ軍が空爆してくるシーンも圧巻。
何にも遮るものがない中で、
皆がひれ伏し頭を隠す姿の虚無感と、
それを打ち砕く迫ってくる爆弾の爆音。
このまま油断できない瞬間が
映画終わるまでひたすら続いていく。
お話の構造としては3つの話で語られる形式になっています。
単に3つがバラバラにという訳ではなく、
それぞれの話の時間軸が異なり、
1時間、1週間、1日となっていました。
ここはノーランっぽいというか、
映画は時間をコントロールする芸術なのである、
という過剰な自意識が見え隠れするので、
うるせーなと思う人も多いかもしれないですけど、
僕は楽しければそれでいいかなと思います。
今回この時間軸設定があることで、
何か効果的なことがあったのか?と言われると
それは疑問なんだけど、1つの謎解きとして
物語を推進する力はあると思います。
(結局、時間感覚おかしくね?という問題は
ここで議論されていたので参考まで→リンク
あと時間という点でいえば、
ずーっとチクタクという時計の音が映画内で
鳴り続けているんですよね。
最後の列車のシーンで時計の音がなくなった瞬間の
あの全部終わった感は最高に素晴らしかったです。
(しかも時計はノーランの私物らしい→リンク
前半はそれぞれがバラバラに進行する中で、
少年兵がなんとか船に乗って
エスケープしようとするシーンが一番オモシロい。
とにかく乗る船、乗る船が破壊されていくし、
その混乱の描写が圧巻。。。
とくに水攻めは映画全体でずっと続くんだけど、
見てるこっちが溺れているような感覚にさえなりました。
あとは音がとにかく最高で低音ブンブン効きまくり!
ハンズ・ジマーのスコアも素晴らしかったです。
この少年のエスケープシーンの数々の迫力が
ぶっちぎりで凄過ぎて、
残り2つの話が退屈に思えてしまうですよねぇ前半は。
後半にかけて、この3つの話が繋がっていくので、
楽しめるようになっているんですけど。
とくにトム・ハーディーがパイロットを演じている、
空中戦のシーンが見にくい印象を持ちました。
コックピットでのシーンが多く、
臨場感は十分にあるんだけど、
引きで飛行機を撮っているシーンが少ないため、
実際にどんな状況なのかを想像しにくかったです。
ただ、トムハーディーは安定のかっこ良さであり、
終盤にかけての燃料少ない中、
行くのか、行かないのか?で見せる漢気は燃える!
あと燃料ない状態での飛行シーンと
着陸ショットの圧倒的な美しさ…
ここに限らず、海岸のシーンの抜けのよさが
僕は本作のかなり好きな部分です。IMAXとの相性抜群。
残り1つのダンケルク撤退からのキーとなる
海軍ではない一般人による救出の一連のシークエンス。
ここが何とも乗り切れなかった。。。
前半から丁寧に描く意味をあまり感じなくて、
交錯していくところを描きたい気持ちは分かるけど、
お話は停滞してるし、途中1人が頭打って
亡くなってしまうシーンとラストの回収も、
あまり納得できませんでした。
当然ダンケルクの特別なところは、
この一般人による救出という点が大きいのは
見終わったあとに十分理解できたんですけど、
もうちょっとバランス考えても良かったかも。
あとフランスの扱いも納得し辛く、
実話ベースなのでイギリス兵だけ逃げれました〜
という話なのである。と言われれば
そうなんですね、としか言いようがない。
最後に言い訳のような回収も一応用意されてたんだけど、
それが取って付けた様にしか見えなくもない、、
(結局何が言いたいねん!って話ですけど。笑)
色々うだうだ言ってきましたが、
VFX当たり前のこの時代にリアルにこだわって
戦争映画を作ろうとするその心意気や良しな訳で、
しかも、その迫力は間違いなく唯一無二なので、
絶対IMAXで見て欲しい作品です。

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