2016年8月17日水曜日

芸能人寛容論 テレビの中のわだかまり

芸能人寛容論: テレビの中のわだかまり


2016年は一連の不倫騒動から始まり、
清原選手がシャブでパクられたり、
挙句の果てはSMAP解散。
2016年が芸能史において激動の年の1つであることは
皆様が認識している通りでございます。
TV、ネット等で日々芸能ニュース及び芸能人について、
様々なものを見たり読んだりしますが、
右から左へ受け流す(©ムーディー勝山)ことが大半でしょう。
本作はそこにメスを入れて
真剣かつユーモアを交えて論考しているコラム集です。
著者の名前は武田砂鉄さん。
昨年読んだ本で僕がベストだった紋切型社会の著者です。
紋切型社会では社会に蔓延する言葉の用法、意味について、
2億%の皮肉と徹底した理論武装で、
「現代社会を解きほぐし」ていたんですが、
本作はその対象が芸能人となっています。
芸能人自身を深く考察したり、
相対的な立ち位置について考察してみたり。
前作が社会問題にタッチする内容が多く
どうしてもシニカルな視点となっていたのに対して、
本作では完全にそこがオモシロに転化していました。
なんせタイトルからしてパンチラインのつるべ打ち。
僕が好きなタイトルをいくつかピックアップします。

・ファシズム化する石原さとみの唇
・ファンキー加藤とニッポンの労働
・高橋ジョージのリーゼントハラスメント
・吹石一恵をブラトップだけで語るな

どうですか?あなたの胸がざわついているのが目に浮かびます。

ネット上では芸能ニュースを見ては、
上手いこと言ったろう!という気概に満ちた人を
多く散見しますが、本作を読むと
そんなチンケで浅い了見で語ることの恥ずかしさが
身に沁みて分かると思います。
アクロバティックながらも明確な論理がビシッとあることで、
なるほど!と納得したり、クスリと笑ったり。
僕が爆笑したのは言葉のリフレイン。
EXILEとAKB48の話で使われる、
「エアロバイクを漕いでいる」
「坊主にして地方へ飛ばしたくなる」は最高最高!
また普段あまりフォーカスされにくい芸能人について、
僕たちが知らず知らずにアップデートしているはず、
という見立てもオモシロかったです。
同じ現象、事態を目にしたときに、
何を考えるかということが個性になるんだなーと思えたし、
悪口には愛という名のウィットがなければ。。
と自戒の念を込めて楽しく読了いたしました!

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