2015年4月2日木曜日

ジュピター



ウォシャウスキー姉弟監督最新作。
こんなもんDVDで見るほど意味ないことはないので、
IMAX3Dという100点の環境で見ました。
前作のクラウドアトラスが好きだったので、
割と楽しみにしてたんですが、
良い意味でも悪い意味でも普通…
大筋は既視感のあるスペースオペラで、
特にオモシロくもないんだけど、
アクションは素晴らしいし、ポイントポイントで、
ブラックユーモアとも言うべき部分があり、
そこは楽しむことができました。

主人公はミラ・クニス演じるジュピターという女子。
ロシアとイギリスのハーフとして生を受けるも、
生前に父を亡くし、母親とシカゴで暮らしている。
毎日家政婦として働く退屈な毎日を送る中、
彼女を3つの宇宙人の勢力が争奪戦を繰り広げます。
なぜなら彼女は宇宙の大きな勢力を持つ一族の
死んだ母親の生まれ変わりで地球の所有者だから。
この女王ジュピターを巡る、
壮大なスペースオペラとなります。
ジュピターの生誕の経緯と彼女の背景から、
物語が始まるんですが、
この時点でウォシャウスキー作品っぽくないというか。
全編に渡ってライトでポジティブな印象です。
前作でも描かれていた、
広義の生まれ変わりの話なんですが、
クラウドアトラスで見られたディトピア要素は
限りなく押さえられています。
僕は映画でディトピアを見たい派なので、
正直もの足りなかったです。。
ただ消費社会への道を邁進する地球自体が、
実は消費対象でしかないっていう流れや、
未来世紀ブラジルオマージュの、
官僚ペーパーワークのシーンなどは好きでしたねー
(テリー・ギリアム監督御大のカメオ出演!)
常にジュピターの見方であるヒーロー役を演じるのは、
チャニング・テイタム。
彼が出てる映画はオモシロいという法則も成立しつつある、
間違いなく今一番ホットな俳優でしょう。
彼は狼と人のハーフで贖罪のため、
ジュピターを宇宙へ連れて行くミッションを担う。
彼の持つ空を飛ぶためのガジェットがかっこいい!
スケートのような形で、空を滑空していく姿が燃えました。
とくに前半のシカゴの街中でのチェイスシーンは、
IMAXで見たこともあり迫力グンバツで最高!
(このシーンだけで撮影に6ヶ月…)
武器や宇宙船を含めたガジェット類が
スタイリッシュでかっこいいのとは対照的に、
一族の趣味の悪さがバカっぽくて好きでした。
とくに三男のルネッサンス趣味がアホっぽくて、
自身の住む宇宙基地にミロのヴィーナスを
彷彿させる超巨大像がアホでテンション上がった!
実は地球の支配者でしたというシンデレラストーリー、
身分の違いを越えた恋という美女と野獣ストーリーを
ドッキングしたような話なんですが、
なんかつまらないんですよね〜
話のベクトルが一体どこに向いているのか、
掴みにくいので全体に散漫な印象を抱かせる。
あと宇宙人が出てくるSFで
「地球人の下等さワロタ」っていう話が苦手です。
終盤も分かりやすい勧善懲悪物語で、
「ふーん」という印象しか持てなかったです。
特筆すべきとすればラストシーンですね。
敵を倒してそこで終わりかと思いきや、
ジュピターは地球に戻り、家政婦として再度働き始める。
しかし、その姿は以前と異なり、
非常に活き活きしている。
「じぶん、宇宙レベルの女王やのになんで働いてんの?!」
と言いたくなるんだけど、
彼女が大切にしているのは自分だけではなく、
周りの人のことを思いやる優しい女子なのです。
ヒューマンドラマなら分かるけど、
それまであんだけスケール大きかったのに、
急にスケールダウンして身近な話へ
フォーカスするのが興味深かったなー
テイタムとのデートはクロニクルを彷彿。
見る気がある人は是非映画館で。

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