2015年4月14日火曜日

ソロモンの偽証 後篇・裁判



前篇見たので当然後篇もということで見てきました。
前篇では謎解きを完全に超越する映像、俳優陣の演技が
最高に素晴らしかったです。
本作は粛々と裁判が進んでいく中で、
隠されていた真実や裁判に対する思いが
明らかになるのもオモシロイんですが、
ラストのドライブのかかり方が本当に圧巻で
涙なしに見ることができない。
今年は邦画をそんなにたくさん見ていませんが、
邦画のぶっちぎりNo.1!と言っていいと思います。
松竹映画でスポンサー入りまくっているけど、
作り手の気持ち次第だなーと改めて思ったし、
こんな邦画をたくさん見れれば、
そんな幸せなことはないでしょう。
物語のあらすじは前篇を参考にしてもらえればと思いますが、
学内裁判およびその前後を描いた話となります。
前篇のタイトルバックはダサかったんですが、
本作は渋めの仕上がりで冒頭からツカミはOK
永作博美が自らの娘を守ろうとするところから始まり、
はじめにフォーカスされるテーマは親子関係です。
主人公の家族と永作家を対照的に置くことで、
大人の子どもへのスタンスの違いを描いていきます。
主人公の家族は娘を1人の大人として扱い、
彼女の悩みを聞き入れてきちんと向き合おうとする。
一方の永作家は子どもを守りたいという気持ちは
主人公の家族と同じなんですが、
子どもを圧倒的な弱者として扱い、
「私がいなければこの子は!」と過保護に扱う。
本題の裁判が始まる前ですが、ここに本作のテーマが
凝縮されているように思いました。
要するに「子どもだからってなめんなよ!」ってこと。
子どもってときに残酷なまでの正論を叩きつける
瞬間が往々にあると思います。
相手の気持ちを考えないで、それを突きつけるだけなのは
良いことではないと思うけれど、
じゃあ大人のように本音をひた隠し、
欺瞞の関係を構築していくことでいいのか?
その欺瞞を押し付けてくるんじゃねーよ!
という子どもたちの叫びが本作に凝縮されている。
ゆえに裁判という嘘偽りが許されない舞台を設定する訳です。
そして裁判へと突入するんですが、
息を呑む攻防戦の数々が繰り広げられ目が離せない。
上映時間は160分で長いんですが、
前篇で蒔いた種の回収なので飽きない作りになっています。
裁判内の見所としては校長と永作博美の娘の尋問シーン。
結果的に学校に混乱もたらしたけど、
精一杯子どものことを考えてくれた校長に対する、
生徒たちのスタンスの真摯さに号泣メーン!
一方の娘のくだりは「ぶっとばすぞテメー!」
と思わず言いたくなる展開があるんですが、
後半でこれがボディブローのように効いてきます。
基本シリアスなんですが笑っちゃう場面も結構あって、
黒木華がどつかれるシーンでの異常な血液量とか、
永作博美の娘のニキビフラグが回収されてたりが好きでした。
そして裁判の最終段階で思わぬ展開へ。
ここがちょっと嘘くさい感じというか、
キャラを考えると分からんでもないけど、
飲み込み辛いな〜と思いました。
しかし!そのすべてを吹き飛ばす
藤野涼子さんのセリフ、演技がマジで最高最高だと思うよ!
彼女が主人公を担ったことで
前篇も含め本作はそれだけで見る価値がある、
否、見なければならないと言っていいと思います。
しかも彼女は本作のオーディションで選ばれた子で、
これがデビュー作っていう…末恐ろしいで!
あまちゃんで能年玲奈を見たときに感じた圧倒的な無垢さとは、
ベクトルが別なんですが同じくらいの衝撃がありました。
あんなに雄弁な涙はこれまで見たことがない。
大人になると面倒なことや嫌なことから逃げがちですが、
それに伴う責任を自ら背負わなければならない。
「それでも生きていく」っていうセリフは
人生の肯定でもありながら贖罪の意識でもある。
話だけ聞くと「中学生がそんなこと…」みたいに思うかもですが、
前後篇で長い時間かけたことで圧倒的な説得力があります。
邦画はオモシロくないと嘆くあなたに大推薦の1本!

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