2017年8月21日月曜日

キングス・オブ・サマー



<あらすじ>
高校生のジョーとパトリックは、
それぞれ親に対する不満から家出を計画し、
一風変わった少年ビアジオとともに
森に隠れ家を作って自立した生活を始める。
しかしそこへ、ジョーが思いを寄せるクラスメイトの
少女ケリーがやってきたことから、
少年たちの友情に亀裂が生じ……。
映画.comより)

アメリカでの公開は2013年で
当時オモシロそーと思っていたものが
時を経てやっと劇場公開されたので見ました。
監督のジョーダン・ヴォート=ロバーツは
キングコングのリブートも監督していて、
そちらが先に有名になってますが、
まだキングコングは未見…涙
それはともかく、本作はアメリカ青春映画史に
名を刻むだろう素晴らしい作品でうっとりしました。
大人になるということは
孤独と苦みを噛み締めることだということが
よく伝わってくるところが好きでした。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

冒頭のシーンが物語のキーとなる、
イニシエーションの象徴のような、
トライバルなリズムサウンドで非常に印象的。
本作のテーマは過干渉な親からの自立。
親からの解放を宣言するかの如く、
森の中の配管を木で叩きまくってるのが
とても微笑ましいんですよねー
前半はきっかけとなる各少年の親との確執、
そして家出して森で自給自足するまでを描きます。
同じ過干渉でも色合いが異なっている点がオモシロくて、
主人公ジョーは母親を早くに亡くし、
父親と2人の生活に辟易している。
シャワーの奪い合いとか実家あるあるだなーと
懐かしい気持ちで見ていました。
父親は1人でジョーを育てる責任を感じるあまりに、
彼を子どもとして縛り付けようと管理して、
そこで決定的な仲違いが発生してしまう。
一方で、パトリックの方は1人っ子で、
親が子どものことを信じきって甘やかしまくり。
その過干渉に辟易としているんですが、
彼が親はストリートファイターのブランカ並みに
何を言っているのか分からないという
パンチラインが最高にオモシロかったです。
親からの解放ということであれば、
2人のロードムービーになりそうなものですが、
本作では2人+ビアジオという少年の3人で
森の秘密のスポットに自分たちで
家を建てるということを計画します。
ここが本作の「自立」というテーマをより
強固にしている設定だと感じました。
自分のことを自分でやる、
という大人もできているかどうか分からない、
人として必要なことをやり切ろうとする
DIY精神がなんとも尊い訳です。
(チキン買うチートもありましたが…)
後半はあらすじにもあるように
ケリーがやってくることで友情に亀裂が入る。
彼女は学校で決してイケてる側ではないジョーに対して、
かなり好意的な態度で、しかもケリーは彼氏と別れたときた!
そうなると僕とうまくいくのでは…
むふふ。的なジョーの煩悩を打ち砕く展開が待っている。
要するにケリーはパトリックが好きなんですねぇ。
それが決定的に発覚するシーンの破壊力よ!
ジョーの辛さがビシビシ伝わってきました。
ここからは地獄で最悪の気分となったジョーは
全員を秘密基地から追い出し
1人で自給自足の生活を始めて行く訳ですが、
ここのシークエンスの孤独感が素晴らしくて…
3人でやっていたことを1人でやらなきゃなので、
当然大変だしうまくいかないことも多い。
けれど、孤独を受け入れてこそ真の大人なのである。
というメッセージが言葉で言わずとも伝わってきました。
あと思春期の友情の在り方の描き方もフレッシュ。
ビアジオの堅い友情とパトリックの少しドライな友情によって、
友情の多様性を描いているようにも感じました。
喧嘩したあと河川敷で寝転がりながら仲良くなる
という日本の漫画的展開と距離を置いた部分が興味深かったです。
スパイダーマンとセットで
2017年夏を彩る素晴らしい青春映画!

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