2017年8月26日土曜日

ベイビー・ドライバー



<あらすじ>
天才的なドラインビングテクニックで
犯罪者の逃走を手助けする「
逃がし屋」をしているベイビーは、
子どもの頃の事故の後遺症で耳鳴りに悩まされているが、
音楽によって外界から遮断さえることで耳鳴りが消え、
驚くべき運転能力を発揮することができる。
そのため、こだわりのプレイリストが揃った
iPodが仕事の必需品だった。
ある日、運命の女性デボラと出会ったベイビーは、
逃がし屋から足を洗うことを決めるが、
ベイビーの才能を惜しむ犯罪組織のボスに脅され、
無謀な強盗に手を貸すことになる。
映画.comより)

エドガー・ライト監督最新作。
監督に関わらず、彼の関わった映画は
どれもオモシロいので、いつも見ているんですが、
今回はぶっちぎりに素晴らしかった…
最近、NETFLIX中毒で映画館行かなくてもいいじゃーん、
とダラダラしていた自分に喝を入れるかのごとし。
2010年代を代表する傑作なのは間違いない!

※ここから盛大にネタバレして書きます。

ド派手なカーチェイスから映画が幕を開け、
それだけでもテンションMAXになるのですが、
本作を比類なき作品へと高めている、
音楽と映像の融合が本当に最高最高!
主人公のベイビーは耳鳴りを抑えるために
常に音楽を聴いているという設定。
しかし、それは単に抑えるというだけでなく、
彼が発揮する天才的ドライビングテクニックと
不可分であることがこの冒頭のカーチェイスで示されます。
さらに音楽のチェイスが最高に素晴らしくて、
ソウル、ファンク、ロックといった生音を中心に、
映画内で無音の部分がほとんどない状態ぐらい、
大量の音楽が映画内にぶち込まれていて、
まるでエドガー・ライトのDJを聞いているかのよう。
僕がうおーっ!と思ったのはアバンタイトル。
任務終了後のベイビーの日課として、
皆の分のコーヒーを買いにいくシーンなんですが、
ワンカットというだけではなく、
歌詞のリリックが壁に書いてあったり、
トランペットが鳴る部分で
楽器店のショーケースに飾られたトランペットを
吹く真似をしたり、ストリートミュージシャンが
曲のフレーズを吹いたり。
1つ1つ触れていると本当にキリがないくらい
映像と音楽の素敵なマリアージュは
全編に渡って展開されるんですが、
最高の映画の始まり方だと思いました。
それぞれのキャラ立ちも抜群で、
主人公のベイビーを演じたアンセル・エルゴートは
きっと、星のせいじゃないも素晴らしかったですが、
チャーミングでコメディセンス抜群の側面が
全面に出ていてこれからが楽しみになりましたし、
ジェイミー・フォックスがすげー悪役なのも
久々に見て胸がすっとしました。
(ウィル・スミスとは違うぜ!ということが伝わってきた)
ケビン・スペイシーも悪役で登場。
もともと彼に脅されてベイビーは
逃がし屋の仕事を辞めれなくなるんですが、
彼が終盤に見せる漢気はまさかの展開で
完全にサムアップしていました。
この作品が特別なのは音楽愛に溢れた設定の数々が
単なるギミックではなく物語と有機的に結びついているから。
街中で録音した人の声を素材にアナログ機材で
音楽を自作していることとか。しかもテープ!
あと音楽のボリュームもオモシロくて、
ベイビーのイヤホンと同期している部分が多く、
彼がイヤホンを外せばボリュームは落ちるし、
イヤホンを付けると再びボリュームは戻る。
また、劇中で流れる音楽との同期でいえば、
金を数える音がスネアと同期していたりだとか、
細かい演出がこれでもかと詰め込まれている。
僕が一番好きだったのはバリー・ホワイトの曲を使った演出。
劇中で登場人物に歌詞も言及されていたけど、
声の低さまでバリー仕様なのが
最高にくだらなくて好きでした。
ウォークマンによって
人はどこでも音楽を聞けるようになり、
そのウォークマンを発明したのはSONYで、
本作はSONYの映画という粋さ。
(実際に聞いているのはiPodだけど。笑)
ベイビーが恋に落ちるのはダイナーのウエイトレスで、
2人の甘酸な関係も見逃せないところ。
甘酸×ボニー&クライドの掛け合わせが
こんなにオモシロいことになるだなんて、
誰が予想したことでしょう!
逃走劇の途中でベイビーの亡くなった
母親の曲を車で聞くシーンの儚さ。
その母親を演じるのが
スカイ・フェレイラという飛び道具も驚きだし、
しかも、彼女がカバーしたコモドアーズのEasyが
また沁みるんですなぁ。
ザ・アメリカなラストショットから、
エンディングで流れるのは
サイモン・ガーファンクルのベイビードライバー!完璧!
すべての音楽好きに捧ぐ最高のアクション映画でした。

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