2017年1月7日土曜日

アヘン王国潜入記

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)


今年もたくさん本を読んでいこう!
ということで大阪帰省の際に大量購入したんですが、
とりあえず積んでいるものから読んでます。
昨年読んだアジア未知動物紀行がオモシロかった、
高野秀行さんの作品を読みました。
数多くの作品がリリースされているんですが、
このタイトルの強さに惹かれて思わず購入。
ゴールデントライアングルと呼ばれる、
世界最大の麻薬製造地帯のうち、
ミャンマーにあるワ州というエリアにオフィシャル潜入。
アヘンの原料であるケシの実栽培に
村人に混じって参加したルポタージュです。
この時点でオモシロい気配しかしないわけですが、
読んでみると想定を超える事態の連続で最高最高でした!
単純に麻薬ビジネスの背景や勢力図を書いたものも
オモシロいし好きなんですが、
高野さんの作品が特別な点は生活者の話だからです。
本作でも村に暮らす人々にまつわる、
ときにハードで、ときにキュートな
エピソードの数々がたまらない!
アヘンの原料を作っていると危険な匂いを
勝手に感じてしまうんですが、
想像ではなく高野さんが自分の目で見た事実の
1つ1つが読者の抱くイメージを氷解させていく。
終盤に村を出て行く場面は思わず泣いてしまいました…
とはいえ、アヘンはアヘンであることに変わりない。
アヘンと聞いてすぐに思い浮かべるのはアヘン戦争。
なかでもアヘン窟の絵は今でも覚えています。
著者も例外なくアヘンの虜になっていく姿は
とてもスリリングでした。。。
一方でアヘンはモルヒネの原料でもあるため、
死の苦痛を和らげていたのだという、
アヘン吸いのおじいさんが亡くなるエピソードは、
死との向き合い方について考えされられました。
アメリカでは医療大麻の合法化が進んでいますが、
日本ではドラッグ=危険!という
非常に硬直した考え方になっているなーと思います。
(酒というドラッグは肯定しているのに)
もっと大局的に見たミャンマー内の、
民族間の違いに関する記述は現在進行形の問題で、
少数民族を抑圧する政府という立場は
アウンサンスーチーが国の中枢に入った今も変わらない。
こういった世界に横たわる現実知るか/知らないか問題は、
自分が当事者ではなく日本でのうのうと生きているという、
矛盾がつきまとうんですが、僕は好きなので
これからもノンフィクションを読んでいきたいです。
高野さんはミャンマー系でもう1冊、
ミャンマーの柳生一族という著書があるので、
そちらも読んでみようと思います。

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