2017年1月28日土曜日

増補版 ドキュメント死刑囚

増補版 ドキュメント死刑囚 (ちくま文庫)

大阪帰省時にブックオフでサルベージした1冊。

ここ半年くらいノンフィクションの強度、
味の濃さにヤラれてしまっていて、
自然とたくさん読んでいます。
実録犯罪系は久々だったんですが、
やっぱりこの系統は言葉が悪いかもしれませんが、
いかんせん無類にオモシロい!
死刑囚への取材から浮かび上がってくる、
死刑制度の是非に関する議論。
何が正解か分からないけれど、
死刑はダメ!と頭ごなしに言われるよりも、
実例交えて死刑の意味を問うてくるんだから、
読んでる側も考えざるを得ません。
本書で取り上げられている死刑囚は
すでに死刑が執行されている人が多く、
なおかつ彼らは自ら死刑となることを希望し、
控訴を取り下げるた人が取り上げられています。
死刑に至るような犯罪の中身とその公判内容は、
正直読むに耐えない場面も多々ありました。
ここまで人が残酷になれるのかと。
ただ、極悪非道な犯罪をおかした人を
死刑でこの世から抹消して
事件に蓋をしてしまえばそれで良いのか?
ということを著者はひたすら問い続けています。
被害者の立場を考えれば、
極刑でしか昇華されない感情もあるでしょう。
けれど、そこに乗っかかって事件の
原因究明をおろそかにしてしまうのは、
同じようなことが再び起こってしまう可能性を
秘めているなーと感じました。
あといずれの死刑囚も家庭背景が
犯行の原因の1つになっているという考察があり、
単純に親憎しというだけではないところが複雑だなーと。
そして一番怖かったのは和歌山カレー事件。
明確な物証はなく動機は不明のまま死刑が確定しています。
限りなく黒に近いグレーだけど、
グレーで死刑になるのかと怖さを感じました。
こういう本を読んでいると、
それだけで嫌な顔してくる人がたまにいるけど、
自分の身にふりかからないと決め付けてるあなたの方が、
よっぽど危ないよと言いたいですYO!

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