2015年3月28日土曜日

HUNGER/ハンガー



シェイムそれでも夜はあけるの監督である
スティーブ・マックイーンのデビュー作。
これがデビュー作なのか…と衝撃を受けました。
僕は本作が一番好きでした。
1980年代の北アイルランドで
サッチャー政権に対してハンガーストライキで
政治犯としてのプライドを取り戻そうとした、
抗議活動を生々しい映像でえぐり出す。
とにかく映像がストイックで、
めちゃくちゃカッコイイ!!
前半はほとんどセリフがなく、
刑務官と受刑者の様子を淡々と見せていく。
「淡々」と書きましたが、
それはあくまで物語の進め方であり、
画面内で展開される内容に呆然…
刑務官の日常茶飯事の暴力、
それに対抗して受刑者は
糞尿を撒き散らしたり、囚人服を拒否し
毛布一丁で刑務所で過ごしたり。
歴史的な背景を知らないし、
説明もないからグイグイ引き込まれていきます。
「見る」ことを観客に要求するスタイル。
そして、神父と受刑者のボブ・サンズのあいだで
行われる20分近くのワンショットによる対話。
それまで大胆な省略話法でテンポよく進んだ分、
ここのワンショットの強烈さが際立つ。
2人の話の内容も哲学的で本作のテーマとなる部分。
ハンガーストライキっていう手法は、
自傷行為で情を誘う方法であり、
そんなことは意味がないと主張する神父と、
己のプライドと次世代のために
自らの命を賭してまでもストライキを決行するボブ。
この受刑者を演じるのが、マイケル・ファスベンダー
終盤はみるみる痩せていくわけですが、その迫力たるや!
静かにゆっくりと着実に死へ向かう姿は、
見てて本当に息が詰まりました。
映像の迫力に圧倒されたので、
文芸座とかで再映されないかなーと思う次第。
あと特典の監督インタビューは必見で、
現在に通じる首尾一貫性と
映画に対する真摯な姿勢が素晴らしいので、
見る方はdon't miss it.

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