2014年7月15日火曜日

Book (2014 June)



人間は料理をする・上: 火と水

料理本というか、もっと原点に立ち返り、
「料理」とは何ぞやというところを
火、水、空気、土の観点で語られている本です。
1人暮らしを始めてから、
自炊しまくってる僕にとっては興味深い話の連続。
筆者は料理ライターで、
その道のプロのところで修行→自分で実践
というのが基本的な流れになっていて、
体験記と各料理の歴史や化学的、物理的な解説まで。
料理法を縦軸、横軸で分析して、
丸裸にする感じがたまらなく好きでした。
料理をすることは人間の定義にもなりうる訳で、
外食ばっかしてる人は少し裕福な家畜ですよ!
なんて極論も言いたくなる名著。


遊びつかれた朝に──10年代インディ・ミュージックをめぐる対話

音楽ライターの磯辺涼×九龍ジョーの対談本。
タイトルにもあるように、
2000年以降のインディ・ミュージックに対する、
それぞれの見立てやスイングしまくりの議論が超楽しいです。
インディロック、ヒップホップ、シティポップなどなど、
2人が注目してるシーンの話は勉強になるし、
前から気になってたCEROの音源をこの本読んで買ったりしましたね。
特に銀杏ボーイズ好きな人は必読だと思います!


神様のケーキを頬ばるまで

現在、女性作家で一番好きかもくらいな彩瀬まる最新作。
前作の「骨を彩る」があまりに素晴らしかったので、
本作もハードで押さえときました。
今回も前作と同様の短編集で、
それぞれが少しずつ関連してる構成。
帯コメにもあるんですが、登場人物は皆一生懸命なんですけど、
それが他人にとって、どれほどの価値があるのかという
社会人必読な仕上がりになっています。
抜群の描写力は健在でプロットばかり追いがちな僕でも
ハッ!とする感覚を皆さんにも楽しんでほしいところです。


松尾潔のメロウな日々
Chemistryや平井堅、EXILEなど、
日本におけるR&Bを定義付けた松尾潔の初著書。
bmrで連載していたライター時代のエピソードを
まとめたものが本作となります。
帯コメもそうですが、
巻頭で山下達郎御大のまえがきを読んでる段階で身震い。
その後は、松尾氏の独特の文体と、
彼が体験してきた数々の奇跡とでも言いたくなる
様々な海外アーティストとの邂逅について描かれています。
奇跡と書きましたが、
この人の場合は必然にする力を持ってる気さえするというか。
映画ライターの高橋ヨシキ氏と同じ匂いがして、
知識が完全に身体化してるなーと思います。
大好きなMazeのエピソードが入ってたのが
個人的にはアガるポイントでした。ブラックミュージック好きは必読!


私の男

映画を見たので、後追いで読んでみました。
映画が相当好きだったので、
本はどうかなーと思ってたんですが、
全体の構成も違うし、
映画に無い設定とかもあったりで、十分に楽しめました。
映画化されちゃうと、小説のほうが良いなと思うケースが多いんですが、
この作品に関しては、映画も本もそれぞれの面白さがあると思います。



こちらも映画見たので、後追いで読みました。
私の男と対照的で、
こっちはほとんど映画と同じ構成、設定で
あんまり楽しめなかったんですよね…
ミステリーという観点で考えると、
すでに結末を知ってるので、
オモシロ成分を味わえなかったからなのか。
そもそも、本作をミステリーにカテゴライズしていいのか?
という根本的な疑問が浮かんだり。
映画のレビューで話運びが良くないと書きましたが、
監督のせいではなく、原作に忠実なだけでした。
深町氏は他の作品のほうがオモシロそうだったので、
別の作品を読んでみようと思います。

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