正直4時間という上映時間に尻込みしてたんですが、
見終わったあとの虚無感を考えると必要な時間だったのかも…
と思ったりもしました。
何というか単純にオモシロいと言い切りにくい作品で、
興味深いけど、現実とは信じたくないみたいな。
それが想田監督が提唱するところの
観察タイプのドキュメンタリーの形を取り、
なおかつ、長い上映時間とあってカラダに結構キマシタね。。
どんな映画かと言いますと、中国にある精神病院に監督が潜入し、
様々な患者の様子を昼夜問わず、延々と撮影した作品です。
それ以上でも以下でもなく、ナレーションも無いし、
説明といえば被写体の人の名前と収容年数のテロップのみ。
これだけ聞くと何がオモロいねんって話ですが、
舞台となる精神病院が半刑務所ってところがポイント。
各部屋はロックされてる訳ではなくて、
回廊型となっているフロアとしてロックダウンされています。
ゆえに結構自由で、形式上の門限はあるけど、
そのフロアでの行動は制限されてなくて、部屋の出入りも自由。
TVルームもあるし、差し入れの食い物、タバコいつでもOK。
放牧型の刑務所とでも言いましょうか。
ただ刑務所と違うのは薬が処方されるのと、
この入院には明確な終わりが存在しないということ。
この人達がなんで入院させられているかという背景は、
後半の人物描写、および映画終了後のテロップで明らかになります。
後半の人物描写、および映画終了後のテロップで明らかになります。
その背景は述べませんが、退院条件は非常に曖昧なもの。
しかも、この病院にいることで病気が治るとは
到底思えなくて、ホントに家畜のような扱いなんすね。
劇中に登場する患者たちの背景は様々です。
時間のスパンでいうと、
もう20年近く収容されてる人から、1ヶ月前に収容された人まで。
家族が面会に来る人/来ない人。それぞれにドラマがある。
さらには病気の程度も異なっていて、
言語障害の人から少しのコミュニケーション不足の人まで。
こんなに幅のある人たちが1つの場所に軟禁状態でいます。
正直、収容年数が長い人たちの言動は、
理解に苦しむところがあり、
ここで生活してることに何の疑問も持たず、
緩やかに死ぬことを受け入れてるかのように見えました。
上記の人達を見ている間は客観視できるんですが、
収容1ヶ月の人、これから入所する人など、
観客に近い立場にある人のシークエンスは
主観的な目線で見ることになり、非常に怖い。
少し騒いでドア蹴ったことで手錠をかけられるんですが、
反省した旨を先生に伝え、外して欲しいと訴えても
「知らねえょ!反省しろや!」と切り捨てる。
入所したての人は夜中に「オレは正常だ〜出してくれ〜」と
ひたすら訴えてて。昼間に家族が差し入れにきたことで
事態がいろいろと明らかになっていくんですが、
病院側が「はいはい。注射して寝ましょね〜」と。
あぁ、こうやって考えることを制御していくのか…と
恐れおののきました。。。
家族がわりと頻繁に面会にくる収容者がいるんですが、
その家族のカメラを意識してなのか、
あの心ない感じは好きじゃなかったです。
一方で出所する人も描いているんですが、
やっと出れて喜ぶんかな〜と思いきや、
シャバも酷くてムショの方がいいんじゃないかと思える。
まるで亡霊のごとく、延々と車道の脇道を歩く姿は切ない。
非常にイビツなバランスのものですが、
映画館で見ないと途中で止めちゃうかもなので、
劇場で見ることを推奨します。
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