2014年7月6日日曜日

収容病棟



予告編を1回だけ見て、コレは!と思い見てきました。
正直4時間という上映時間に尻込みしてたんですが、
見終わったあとの虚無感を考えると必要な時間だったのかも…
と思ったりもしました。
何というか単純にオモシロいと言い切りにくい作品で、
興味深いけど、現実とは信じたくないみたいな。
それが想田監督が提唱するところの
観察タイプのドキュメンタリーの形を取り、
なおかつ、長い上映時間とあってカラダに結構キマシタね。。
どんな映画かと言いますと、中国にある精神病院に監督が潜入し、
様々な患者の様子を昼夜問わず、延々と撮影した作品です。
それ以上でも以下でもなく、ナレーションも無いし、
説明といえば被写体の人の名前と収容年数のテロップのみ。
これだけ聞くと何がオモロいねんって話ですが、
舞台となる精神病院が半刑務所ってところがポイント。
各部屋はロックされてる訳ではなくて、
回廊型となっているフロアとしてロックダウンされています。
ゆえに結構自由で、形式上の門限はあるけど、
そのフロアでの行動は制限されてなくて、部屋の出入りも自由。
TVルームもあるし、差し入れの食い物、タバコいつでもOK。
放牧型の刑務所とでも言いましょうか。
ただ刑務所と違うのは薬が処方されるのと、
この入院には明確な終わりが存在しないということ。
この人達がなんで入院させられているかという背景は、
後半の人物描写、および映画終了後のテロップで明らかになります。
その背景は述べませんが、退院条件は非常に曖昧なもの。
しかも、この病院にいることで病気が治るとは
到底思えなくて、ホントに家畜のような扱いなんすね。
劇中に登場する患者たちの背景は様々です。
時間のスパンでいうと、
もう20年近く収容されてる人から、1ヶ月前に収容された人まで。
家族が面会に来る人/来ない人。それぞれにドラマがある。
さらには病気の程度も異なっていて、
言語障害の人から少しのコミュニケーション不足の人まで。
こんなに幅のある人たちが1つの場所に軟禁状態でいます。
正直、収容年数が長い人たちの言動は、
理解に苦しむところがあり、
ここで生活してることに何の疑問も持たず、
緩やかに死ぬことを受け入れてるかのように見えました。
上記の人達を見ている間は客観視できるんですが、
収容1ヶ月の人、これから入所する人など、
観客に近い立場にある人のシークエンスは
主観的な目線で見ることになり、非常に怖い。
少し騒いでドア蹴ったことで手錠をかけられるんですが、
反省した旨を先生に伝え、外して欲しいと訴えても
「知らねえょ!反省しろや!」と切り捨てる。
入所したての人は夜中に「オレは正常だ〜出してくれ〜」と
ひたすら訴えてて。昼間に家族が差し入れにきたことで
事態がいろいろと明らかになっていくんですが、
病院側が「はいはい。注射して寝ましょね〜」と。
あぁ、こうやって考えることを制御していくのか…と
恐れおののきました。。。
家族がわりと頻繁に面会にくる収容者がいるんですが、
その家族のカメラを意識してなのか、
あの心ない感じは好きじゃなかったです。
一方で出所する人も描いているんですが、
やっと出れて喜ぶんかな〜と思いきや、
シャバも酷くてムショの方がいいんじゃないかと思える。
まるで亡霊のごとく、延々と車道の脇道を歩く姿は切ない。
非常にイビツなバランスのものですが、
映画館で見ないと途中で止めちゃうかもなので、
劇場で見ることを推奨します。

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