2014年1月1日水曜日

バックコーラスの歌姫たち




2014年の映画初めとして、見てきました。
去年もそうでしたが、昨年分の取りこぼしを
この時期に見ておくというのが習わしです。
予告編は見てなかったですが、
タイトルが気になって見てみました。
ドキュメンタリーで、バックコーラスの女性と、
著名人のインタビューで構成されており、
そこからバックコーラスの歴史を紐解く映画でした。
著名人が豪華メンツで、
スティービー・ワンダー、ミック・ジャガー、
スティング、パティ・オースティンなど。
彼らのコーラスを担当していた女性が主な語り部です。
冒頭、ルー・リードの「Walk In The Wildside」が流れます。
その歌詞の中に「And the colored girls say」
というフレーズがあって、それキッカケで映画が始まります。
この曲大好きで、なんべんも聞いてますが、
あるコーラスの方が語る視点がFRESHで一気に心を掴まれました。
原題は20 Feet from Stardom。
バックコーラスと主役の歌手との距離は物理的には近いけれど、
そこには愕然とした差があることを痛感させられます。
つまり、単純に歌が上手いだけではなく、
自分がなにをしたいのかという目的意識、
そして時代の流れ、運を味方につけなければスターになれない。
おばさんから若い人まで、色んな時代の歌い手が出てきて、
それぞれのヒストリーを語る訳ですが、無類に面白い!
とくにローリングストーンズにコーラスで参加したことのある、
リサ・フィッシャーとメリー・クレイトンの2人は
エピソード、語り口も含めて最高。
イギリスのロックバンドとコーラスの関係性について、
初めて知ることが余りにも多過ぎて、目から鱗でした。
(David BowieとLuther Vandrosの関係は
心底ビックリしました)
今、バンドライブでコーラス隊がいる場合は
大抵黒人女性が多いかと思いますが、初めは白人女性のほうが
時代の趨勢的にも多かった。
そこへ黒人女性が教会で身に付けたゴスペルの力で参入してから、
今の流れがあるんですね。
白人のコーラスと何が違うかったかといえば、
楽譜通りにただこなすだけではなく、自分のソウルを込めるんだと。
その彼女達の気高さは超かっこいい!
教会のゴスペル出身の人達が、
コーラスにフィットできたことへの考察も興味深くて。
単純に歌が上手いだけではなく、
教会で歌うという行為は多くの人と空間を共有し、
音楽を楽しむことに長けていたのが最大の理由な訳です。

そして当然のことながら、
劇中では色んなコーラスの人の歌声を存分に味わうことができます。
テクノロジーが発展する最近ですが、
素晴らしい歌声を聞いて鳥肌が立つ感覚は
何物にも代え難いことだなーとも思いました。
原題からも分かるとおり、
コーラスやってる人独自の悩みが本作で一番面白いポイントです。
大勢の観客がいるステージでうたうことはできるけど、
あくまで脇役というアンビバレントさ。
その点で常に葛藤しながら、みんな仕事をしている。
そして、本作に出演している多くのコーラスの方は
有名なミュージシャンの作品やライブに参加したのちに
デビューしているんですが、ほとんどが鳴かず飛ばず。
単に歌が上手いだけではスターにはなれないってことが
著名人や本人へのインタビューで明らかになっていきます。
つまり、夢をあきらめた後の話。
リアルな「ばしゃ馬さんとビッグマウス」の話とも言えるでしょう。
そして、コーラスからスターになる難しさは
現在でも存在していることが、
ジュディス・ヒルというシンガーの話から分かる。
(彼女はマイケルのTHIS IS ITツアーのコーラス担当)
中盤から後半にかけてはこれらの葛藤について、
描かれていますが、最後はそういったものを経てからの
雑味成分ゼロの最高のセッションが聞けます!
そっから、ダーレン・ラブというシンガーに起こる出来事で
終わるエンディングは救われる形でした。
ソウル好きはもちろん、音楽好きにはたまらない作品ですので、
興味ある方は是非に!

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