2015年9月26日土曜日

わたしに会うまでの1600キロ



ダラス・バイヤーズ・クラブ
ジャン=マルク・バレ監督最新作ということで見てきました。
原題はWildで自叙伝をベースにした映画となります。
邦題が丁寧に説明してくれている通り、
女性の自分探しな内容なんですが、
そこはジャン=マルク・バレってことで
一筋縄ではいかない感じで映画の後味が最高!
見てる間よりも見終わったあとに、
考えさせられること山の如しでした。
主人公はリース・ウェザースプーンが演じるシェリル。
彼女は結婚し旦那と幸せな生活を送っていたが、
母の死をきっかけにドラッグ(ヘロイン)、
男に溺れていき、人生をダメにしてしまう。
そこで裸一貫でスタートし更生するため、
PTCと呼ばれるトレッキングコースに挑み、
母が誇りに思っていたシェリルを取り戻そうという話。
崖の上で靴擦れを起こし、挙句靴をなくすという、
クライマックス感溢れるシーンから始まります。
トレッキングと聞くとハイキングを
イメージする方もいるかもしれませんが、
距離1600キロで基本砂漠という過酷さ。
見てて思ったのは四国のお遍路が
めっちゃハードになったら、こんな感じかなと。笑
装備を準備して歩き始めるところから描いていて
アウトドア素人全開なまま旅が始まるのがオモシロい!
(リュックに持っていかれるシェリルの姿は超cute!!)
そんな素人の彼女が旅を通じて
タフネスを獲得していく姿はカッコよくもあります。
ここまで読むと「女性なのに凄い!」と言いたくなるんですが、
そのありそうな意見に対するカウンターも
映画内に組み込んでいるのも興味深かったですね。
もろにフェミニスト!と言っちゃうシーンもあるし、
3人組との遭遇シーンは 画で分からせてくれる。
旅の合間に過去の彼女の回想が差し込まれ、
旅に至った経緯が断片的に分かっていく構造になっています。
この構造は非常に共感できて、
日々生活していて全然関係ないときに、
ふと嫌だったことや恥ずかしかったことを思い出し、
死にたくなる瞬間ありますよね?まさにあれ。
僕は「自分探し」とか「本当の自分」って
恥ずかしげもなく言っているのを聞くとむず痒くなります。
(探している人と探している対象が同じなんだから、
一生見つかるわけないというのはジェーン・スー氏の金言)
しかし、本作で突き詰めているのは
環境の変化や他人との関係変化に伴う
「相対的」な自分探しも去ることながら、
「絶対的」な自分探し、つまり己との対話に
フォーカスしているのが本当に好きな部分でした!
道中で様々な人に出会うけれど基本は1人だし、
旅後の自分がどうあるべきかを考え続ける姿は、
陳腐な言い方になってしまいますが、
人生そのものだな〜と思いました。
また彼女がたどり着いた先で、
「本当の自分」を見つけたかどうかは人によって、
意見が分かれるとは思いますが、
Changeしたのは間違いないかと思います。
自分探しの旅をする前に本作を見るのも良いかも!

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