2015年9月9日水曜日

ロマンス



タナダユキ監督最新作ということで見てきました。
過去3作の四十九日のレシピふがいない僕は空を見た
百万円と苦虫女が好きで、
今回は久々のオリジナル脚本ということに加え、
主演が元AKB48の大島優子で、
どんなケミストリーが起こるのか?!
と非常に楽しみにしておりました。
同じく元AKB48の前田敦子とは異なる魅力を放つ、
大島優子という女優を楽しめる作品になっていたと思います。
大島優子演じる鉢子は小田急のロマンスカーの添乗員で、
コーヒーなどの車内販売をこなすOL。
ヒモのような彼氏が居る中で先行き不安定の中、
絶縁状態の母親から手紙があり、
母が鉢子と昔に旅行した箱根を訪れることが書かれていた。
ひょんなキッカケで箱根で出会った大倉孝之演じる桜庭と
鉢子の母親を探すため箱根を徘徊するものの…という話。
華麗に販売をこなす鉢子のショットから映画は始まり、
「電車はいい、なぜなら往く先、帰る先が決まっているから」
とモノローグで語る。
そこから彼女の安定とは言いがたいけど、
不安定とも言いがたい微妙な様子が描かれていく。
鉢子が添乗員としては素晴らしい仕事する一方で、
仕事の相棒の久保さんはてんでダメ。
この久保さんのコメディリリーフっぷりが最高で、
彼女は真剣なんだけど笑けてくる。
あとキャメオ出演で杉作J太郎が出てきて、
イイ感じのしょーもないオジさんを好演してました。
箱根の駅で桜庭と万引きを巡って出会い、
そこから母親を箱根の街から探す旅が始まる。
この旅の始まりの部分なんですが、
ちょっと動機として弱過ぎやしませんか?
と始めは思ってたんですが、
物語が進むにつれて納得できる作りになっていました。
以前に未婚のプロ、ジェーン・スー氏のラジオで、
「しんどいことや辛いことを言わないとキツい」
っていう話があったんですが、それを思い出しました。
誰かに聞いて欲しい!という気持ちはあっても、
身近な友人や家族には話しにくいこともあると思います。
けれど、後腐れがない赤の他人に聞いてもらうと、
心が休まる、そんな瞬間があるのでは?というねー
(これがラジオでのメール相談とかの良さだと思うんですが)
鉢子も桜庭も言いにくい人生の苦難をお互い抱えているからこそ、
反発がありながらも2人で箱根を旅行するんだなぁと思いました。
さらに赤の他人同士が腹を割って話をしてしまう、
非日常的な箱根という空間の魅力も味わえる。
その非日常の行き着く先で、2人の思いが炸裂するのが、
ヨーロピアンなラブホっていう、
日本の地方都市のどこにでもありそうな場所なのが
タナダユキ監督らしいな〜と思いました。
(ラブホでの大島優子の顔芸が最高最高!)
シリアスだけど笑っちゃうという2面性を
主演2人が見事に演じて切っているからこそ、
シンプルな話だけど楽しめるようになっていましたね。
役柄上と同様、大倉孝之が大島優子の良さを
引き出しているように思います。ツンデレいい!
あと個人的には後悔の話がグッときて、
「する後悔」と「しない後悔」の両方の側面が
描かれているのがいいなーと思いました。
(桜庭を通じて描かれる映画を作ることの話もオモシロかったです)
非日常の箱根から帰還した先に待つ新宿の街並み。
それぞれが別の人生を再び歩み始める、
さっぱり感も好みでしたし、
2人のスタンスが微妙に異なるのも興味深かったです。
優子好きの人には大推薦の作品!

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