2014年8月27日水曜日

Book (2014 July)


九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響

帯にもあるように、いとうせいこうさんのプッシュで気になってて、
タマフルでも紹介されたので、読みました。
関東大震災時に朝鮮人が井戸に毒を流してるというデマが流れ、
朝鮮人の方々が殺された。という話は教科書で読んだなー
という記憶があったんですが、そのレベルが想像を遥かに超えてました。
これまでジェノサイドはどこか他人事のように感じてたんですが、
此処日本でも起こった事実が様々な資料をベースに書かれています。
最近はヘイトスピーチなるものも登場し、
外交レベルだけでなく、個人間でも憎悪がまき散らされてる時代な訳ですが、
そんな今だからこそ読まれるべき作品だと思います。


だから日本はズレている (新潮新書 566)

一番好きな社会学者である古市氏の新書。
この人は好き嫌いがはっきり別れるタイプで、
もしかしたら嫌いな人が多いかもしれません。
でも、言ってることは至極真っ当だし、
若者が感じている違和感を客観的なデータと、
的確な言葉で書かれているので、そうだよなぁと思うことばかり。
この本では「おじさん」を古市さんが改めて定義しているんですが、
まさにその通り!と膝を打ったので、「若者」にオススメです。


痛みの作文

日本のラッパーANARCHYの自叙伝。
元の本は絶版しているのですが、
今回メジャーデビューのタイミングで、
CD+文庫本という形で販売されていて買いました。
映画がめちゃくちゃオモシロかったんですが、
本作も同様にオモシロかったです。
映画の方が作品としての完成度は高いと思いますが、
本では口語体で自分の生い立ちを語られており、
生々しさが本の方が強烈。
とくに暴走族を始めてから、逮捕されて、
HIPHOPに傾倒していくまでの流れが好きだったなー
自叙伝として素晴らしい作品だと思います。


鼻に挟み撃ち 他三編

いとうせいこう氏の新刊。
レトロスペクティブシリーズという形で、
過去作も毎月のようにリリースされており、
今年はせいこうさんの本を大量に読んでいます。
本作は短編集で、タイトルもその一つ。
たくさん読んできて思うのは、「小説」という構造への挑戦、
これまで読んだことない形の物語を追求する姿勢が、
素晴らしいと思うし、毎回読む度に
普段使っていない脳の部分を使うような感覚になります。
特に「鼻に挟み打ち」はエッセイでもあり、
フィクションでもあり、虚実が入り交じった独特の世界観が好きでした。
あと、御茶ノ水の聖橋付近が舞台で、
職場が近かったりするので、感情移入濃度高めでした。笑


おこりんぼさびしんぼ

山城新伍氏のエッセイです。
チョメチョメのイメージが先攻している人は多いと思うんですが、
まー無類におもしろい。題材が若山富三郎、勝新太郎という
凄まじい兄弟ってこともあるんですが、
彼の目から見た2人の姿の描写がいちいちグッとくる。
残念ながら、彼自身も亡くなってしまいましたが、
昭和芸能史に残るマスターピース!
春日太一さんの「天才 勝新太郎」と一緒に読むのがオススメです。


ヒップの極意 EMINENT HIPSTERS

ミュージシャンであるドナルド・フェイゲンのエッセイ。
本人名義はさることながら、Steely Danとしても
名盤をたくさん残してきたレジェンド。
そんな彼が過去を懐古した文章やツアー中の日記等が
彼独特のウィットに富んだ文体で書かれています。
びっくりしたのは、天邪鬼で屁理屈ばっかり言ってるところ。笑
美しいメロディの音楽が多いので、
もっと温厚かと思いきや、頑固おじいさん!って感じ。
子どもの頃からジャズバーに通ってた話や、
ラジオへの愛憎を語るところが特に好きでした。

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