2014年6月8日日曜日

グランド・ブタペスト・ホテル



ウェス・アンダーソン監督最新作。
前作のムーンライズキングダム見たタイミングで、
過去作をほとんど見た結論として、
「あんまり好きじゃないかも…」となったんですが、
見ない訳にはいかないということで見ました。
前作は子どもが主人公で、そこに乗り切れなかった
+ギャグセンスが今イチという印象。
本作はファンシーな世界観は変わらないものの、
ギャグが逐一最高で、その部分で乗れたので楽しめました。
あとラストもこれまでの作品よりも影があって好印象。

舞台は1930年代のヨーロッパにある
グランド・ブタペスト・ホテルというホテル。
そこでロビーボーイやってたオジさんが
作家のジュード・ロウに過去を語る形式で話が語られます。
今は閑散としたこのホテルも1930年代は繁盛していた。
それは支配人をしていたグスタフの力で、
彼が全体を取り仕切り、さらには寂しい晩年を過ごす
金持ちのババアたちの相手をしていた。(ときにはSEXも含めて!)
その親しかったババアの一人が亡くなり、
遺言に有名な絵画を彼に渡すことが書かれていた。
その遺産をめぐってのドタバタコメディです。
いつもどおり見てて惚れ惚れする世界観は健在。
前から横からFixでカッチリしたカットが多いのが特徴なんですけど、
やっぱ建物や電車など閉鎖系との相性が良い、
カット割りだなーと改めて思いました。
色使いもビビッドなところはトコトンいくし、
不吉な出来事なときは極端に無機質っていう対比も鮮やかでした。
あとメンドルという店のお菓子が彼の世界観を
もっとも象徴していたように思っていて。
それが顕著なのが刑務所での差し入れの検閲シーン。
食い物の差し入れは軒並みぶった切るのに、
看守がメンドルのお菓子だけは切らないっていう、
美しいものに対する彼の美学をそこに見ました。
前述した通り、今回はギャグがとても良くて、
特に唐突に訪れる暴力がツボでした。
冒頭の遺言確認でのグーパン、
弁護士ぶっ殺すシーン、脱獄途中で遭遇する看守とのバトルしかり。
しかも、わりと容赦ないエグめの描写なのがナイス!
物語の要素要素では好きな部分が多くて、
脱獄シークエンス、山頂で執事と会うシーン、
ホテルでの誰が誰を狙ってるかよく分からない銃撃シーンetc
ただ全体の構成がバランス悪いというか、
たたみかけるように物語が終結するんですよね〜
ビターな余韻が残るのはいいんだけど、そこが気になったかな?
物語の物語という構造については町山さんの解説を読むと
色々理解が深まったので、ご参考まで⇒リンク
彼のフィルモグラフィーの中では好きな方でした。

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