大阪に帰ってきたタイミングで、隙間の時間を見つけて鑑賞。
町山さん、ウタマルさんも押してましたので、必見と思いつつ。
いわゆる潜入捜査ものなんだけど、全体に漂うノワール感、
これまでの潜入ものと異なる展開や、
落とし方がFRESHで面白かったです。
韓国にあるヤクザ組織のボスが死んでしまって、
その跡継ぎ争いが物語の大筋。
このヤクザ組織は色んな組が吸収・合併してできたもので、
しかも会社としての事業も成功している。
ゆえに一番上の長がいなくなると、
そのときの争いが半端じゃねぇ。
893のパワーゲームは会社、ひいては社会全体の
ユニバーサルなテーマとでも言いたいかのような内容。
冒頭から血だらけのおじさんが椅子に縛られて、
ボコボコにされるシーンから始まった段階で、そのまま物語にride on。
イヌ探しなんだけど、コンクリ飲ませてドラム缶にぶち込んで、
沖に捨てるの楽しいなーとか思いつつ。
ボスの死語、跡継ぎ候補になるのは2人の893。
その存在は正反対。一人は潔癖っぽくて、とてもスマートなジュング。
もう1人はチンピラ感が全く抜けていない愛すべきチョン・チョン。
この2人の跡継ぎ争いに乗じて、組織を叩き潰そうとするのが警察。
警察側は潜入捜査官をこの組織に入れていて、
そいつはすでに幹部(理事)もう疲れてるんだけど、
この跡継ぎ争いに無理やり巻き込まれてしまう。
しかも、警察側が描いている作戦の中身を教えてもらえない。
観客も分からないから、興味の持続にもなるし、
より一層主人公の感情にのめり込める作りになっています。
893同士のパワーゲームに警察が関わるという点では、
アウトレイジに通じるものもあるかな?
それに潜入捜査の要素が加わってるんだから、オモシロイに決まってる!
こういった893もので大事になってくるのは、
それぞれのキャラクターの立ち具合。
これがしっかりできてる/できてないで面白さ、深みが全然異なってくる。
そして、本作はきっちりやり切っていました。
とくにチョンチョンの立ち振る舞い最高でしたね。
登場シーンの空港からの車移動の一連のシーンで、
背景は分からないけど、人間性をバシッと観客に分からせる。
それが色んなキャラクターでうまく行われていると思います。
潜入捜査官は、はじめ警察としての自我が存在しているんだけど、
物語が進むにつれ、それが無くなっていく。
仲間が無惨に殺されるのを見てしまうことで、
893に振り切るしか、生きるすべもないし、
そもそも潜入捜査の意味自体も見失う。
この2つのroleで悩むというのは、
潜入ものに欠かせない要素なんだけど、生き残るだけじゃなくて、
893としての仁義もその選択に影響している。
っていうのがFRESHだし、好きだな〜と思いました。
暴力描写も容赦ない感じで。銃撃シーンはほとんどないけど、
韓国特有のど突き合い、刺し合い合戦はアガるし、
血はたくさん出るし、満足しました。
敵味方含めて、犠牲者がたくさん出るんだけど、
警察側が仕掛けなかったら、こんなことは起きてないと考えると、
一番惨いのは一体誰なんだと考えさせられたり。
しかも、警察側が直接手を下すことは一切ないわけだし。
最後はバランスを振り切った主人公が、
のし上がる形で終わるんだけど、
そのあとの過去回想シーンが愛しかった。スピンオフで見たくなるくらい。
最近良い韓国映画見れてなかったので、
コレとスノピアサーきっかけで色々見返したいなぁと思う所存です。
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