2014年2月23日日曜日

大統領の執事の涙



リー・ダニエルズ監督最新作ということで。
プレシャス、ペーパーボーイという
大好きな映画を産み出した、今もっとも気になってる監督。
楽しみにしていたんですが、
思ってたよりもパンチが弱いと言いますか…
過去作にあったエグミ成分が少なくなっていて、
感動要素が多めになっていたのが、これまでと違う印象。
Black musicが好きなので、
公民権運動のことも知ったつもりでいましたが、
今回改めて色々と勉強になったし、
オバマ大統領が誕生したことの凄みを改めて体感できました。
これまでの作品でも描いてきた黒人問題について、
本作品では正面切って描いてきた。
ゆえに上述したようなバランスになったのかも…

1930年代から2008年のオバマ大統領誕生まで駆け抜ける物語。
それをホワイトハウスで執事を勤めた、
1人の黒人の家族を通じて語られていきます。(原題はThe Butler)
子どもの頃は綿花畑で働くSlaveだった。
冒頭からその壮絶な出自が描かれるんですが、
半世紀強前の話と思えなかった…(母役のマライア・キャリー最高!)
そんな彼が給仕を生業にし、
ひょんなことからホワイトハウスで働くことになります。
アイゼンハワーやニクソン、レーガンなど、
そうそうたるメンツに仕えてきた。
彼は"House nigger"としての誇りをもち、
仕事に一生懸命取り組んでいるんですが、
息子は黒人が虐げられている状況に我慢ならない。
そして、南部の大学への進学をきっかけに、
公民権運動に参加するようになる。
当時の映像も交えながら、その運動の壮絶さを
映画内で体験することができます。
最初のカフェでの席の問題や、KKK襲撃など、
恐ろしや!というシーンのつるべ打ち。
(本作ではポイントポイントで、
当時のニュース映像などを挟むことで、説得力が増していました。)
この息子の活動はどんどん先鋭化していき、
キング牧師→ブラックパンサー入党まで。
白人に必死こいて仕えている主人公の執事は
そんな息子が鼻持ちならない。せっかく大学行かせたのに…みたいな。
ある種、普遍的な親子関係なんですが、縁切るとこまでいってしまう。
不幸は重なり、もう一人の息子はベトナム戦争で戦死。
この直線の兄弟のやり取りがグッときた。
For the country or Against the country.
なによりもグッときたのが、劇中でのキング牧師の言葉。
黒人の執事や家政婦が果たした役割について述べる。
何かを変えるときは抵抗することや、
果ては暴力までを考えがちですが、そうじゃない方法だってあると。
その時代ごとの大統領描写もオモシロくて、
黒人の公民権に対するスタンスの違いがよくわかる作りになっていました。
(ジョン・キューザックのニクソンは違和感アリアリやったけどw)
仲違いしてた親子ですが、執事の親父だって黙ってた訳ではなく、
黒人の給仕の待遇是正のために努力していた。
この2人が和解するシーンがホント良かった!
大人が本気で謝ることの重みを痛感。
visual的なパンチは弱いものの、
物語に通底するテーマは重厚な映画でした。

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