2013年11月17日日曜日

夢と狂気の王国



「エンディングノート」の砂田麻美監督が
ジブリスタジオに密着したドキュメンタリーを撮ると聞き、
だいぶ前から楽しみにしていました。
エンディングノートは僕の生涯Best10レベルの作品です。
(DVDも持ってるけど、1人で見るのが怖くてまだ見れてないw)
本作はオモシロかったけど、そこまでは到らなかったかなー
エンディングノートで身を切りすぎたかも。。
とは言っても、風立ちぬが公開されたときに
しこたま放映されてたドキュメンタリーとは違う味わいで、
あらためて日本アニメを牽引してきたジブリのすごみを体感できました。
想田監督のドキュメンタリーにかなり近くて、
長期間カメラを回してて、
砂田監督がジブリスタジオを社会見学して、
見えてきたことを組み立てている作風。
(故に撮れている貴重なショットも数多くありました)

アニメ産業は日本の一大産業となっている訳で、ジブリはその大家。
派手な世界が想像されますが、日々の生活は非常に淡々としている。
ひたすら書く/描くの繰り返し。
そういった生活の中で、風立ちぬの製作への思いや
これまでのジブリのいきさつや、
その作品に対する宮崎監督の今の思いが吐露される。
半分以上が宮崎監督の話なんですが、その対照が高畑監督。
「蛍の墓」や「おもひでぽろぽろ」などClassicsを
数多く産んできた訳ですが、ここ10年近くは新作を公開してなくて
宮崎監督がスタジオを支えてきた。
でも宮崎監督をフックアップしたのは、高畑監督だった訳です。
この愛憎入り乱れる気持ちが、本人の言葉は当然ながら、
過去の映像や関係者の証言(おもに鈴木さん)で、浮き彫りに。
(それは宮崎監督だけじゃなくて、周りのスタッフも同様)

TVドキュメンタリーとなにが異なるかといえば、
宮崎監督の周りの人々が大きくフォーカスされてること。
彼らの声からあぶり出されるハヤオの一種の狂気性が興味深い。
アニメに対する異常な探究心はハンパない。
スタッフの一人が語っていたとおり、
その狂気についていけない人もいるだろうけど、
それを受け入れてでも叶えたい夢があるんだなぁと。
のんべんだらりと生きている自分に喝を入れられました…

TVドキュメンタリーでも見ましたが、
風立ちぬの次郎の声を庵野監督に決めるシーンはホントに最高。
しかも、TVドキュメンタリーでは見えなかった部分を
ちゃ〜んと映してて超痛快でした。
映画製作の手綱は金を出す人間じゃなくて、
映画をホントに作っている人なんだ!
という意味でも良いシーンでした。

この映画ではしきりにジブリスタジオの屋上のシーンが出てきますが、
それは彼のイマジネーションの源であるように思えました。
決定的だったのは引退会見直前に、砂田監督を呼んで、
会見場のホテルから見える風景を撮らせる。
そこで、「この風景を見てると、あの屋根の上から上へ移動したりさー、
電線を伝ったりして、どこまでも行けそうだよな」と言う。
ほとんどスタジオとアトリエしか行き来してない日常の中で、
あれだけイマジネーションにとんだ作品を産み出してきた
Creativity性は本気で恐れおののきました。
しかも引退会見直前ですよ…ホントのハイパーお爺さん。
そして、その屋上で鈴木さん、宮崎監督、高畑監督が
談笑しているシーンは愛おし過ぎた。
色々揉める事もあったけれど、同志なんだというチーム男子萌え。
ものづくりに携わっている人は、必見だと思います。

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