2014年8月10日日曜日
どんてん生活
山下敦弘監督のデビュー作。
日本の青春映画の代表選手と言っても過言じゃないし、
favoriteな監督の一人です。
IKBのTSUTAYAで特集組まれてて、借りてみました。
話だけ切り取ると、鬱屈した話なんだけど、
全体にカラっとした仕上がりなのが印象的。
モラトリアム期という点では、
最新作であるに近いなーと思いました。
ただ本作はビックリするくらいお話が平板なので、
そこは少し退屈かなーと思います。
でも、このどうしようもない若者の姿というのは、
いつも魅力的で切ないから、ずっと見てられる。
彼のフィルモグラフィーを考えると、
見ておいて損はないと思います。
ラベル:
DVD Review
名探偵ゴッド・アイ
ジョニー・トー監督作品。
ドラッグ・ウォー 毒戦と同様、2013年に製作された本作。
彼の探偵ものといえば、MAD探偵 7人の容疑者を思い出しますが、
それにも劣らないマッドネスぶり!
いや、マッドぶりはこちらの方が上かも…
Blind Detectiveというのが英題で、
文字通り主人公は盲目の探偵。
そんな彼と身体能力は高いけど、
推理能力がまったくない女警官のバディサスペンス映画。
目が見えないので、鼻をクンクンと効かせ、
白杖をタンタンと地面に叩き付ける。
目が見えないことと探偵はもっとも遠いことのように思えるけど、
心の目で当時の状況を思い描き、犯人の逮捕を目指していきます。
全体にオフビートなコメディタッチなんだけど、
終盤は壮絶な展開になって、サスペンスとしてもオモシロかったです。
ジョニー・トーの映画はご飯が超うまそうに見えるのもよくて、
完全に中華料理の口になっています。笑
このバランスに慣れて楽しめるようになったら、
ジョニー・トーの作品にヤミツキになるんだろうなーと思います。
多作な監督ですが、少しずつでも見ていきたいところです。
ラベル:
DVD Review
私はロランス
見た人の評判が超高かったので、期待してました。
オモシロかったんだけど、3時間弱は長過ぎかな…
性を超越した愛の形を模索するという点では
アデル、ブルーは熱い色に似てると思います。
アデルの方は若い頃の話なので、
甘酸っぱい要素も多分にあったけど、
本作はオジさんがある日突然女性として生きるという話。
ゆえに重みが違うというか…
自分の性を抑圧していて、そこから解放されるオジさんと
その解放によって戸惑う彼女という対比が興味深かったなー
2014年現在では映画の舞台となっている90年代よりは
トランスセクシャルやバイセクシャルに対する接し方というか、
なんともならない部分との葛藤がね〜
映像もオモシロくて、MVみたいな演出がたくさんあります。
話自体はシンプルな男女関係の話だけど、
その演出のおかげで飽きずに見れました。
(にしてもちょっと長かったけれど…)
新たな愛の形について考えるにはうってつけの作品。
ラベル:
DVD Review
2014年8月6日水曜日
ハート・ロッカー
ずいぶん放置してましたが、やっと…
本当は昨年のゼロ・ダーク・サーティー見たタイミングで
見とくべきだったんですが、延び延びになってしまいました。
とてもオモシロかったです。
政治的な観点で考えると、
単純にオモシロいとは言いにくいんですが…
イラクでのアメリカ軍の爆弾処理班のお話で、
爆弾を次々と処理していく中で、
戦争に対する葛藤が産まれてきて…という感じ。
爆弾処理班っていうのは人を殺す訳じゃないし、
誰も傷つけずに、人を救う仕事なんだけど、
一筋縄ではいかないというのがよく分かる。
最近、日本も物騒になってきていますが、
70年近く血を流さなかった民族がいきなり最前線で戦えんの?
と迫力ある戦争映画を見る度に思います。
冒頭に「戦争はドラッグだ」という台詞からの、
あの落とし方だと、完全にそれを強化するような作り。
と思いきや、色んな解釈があるんですなー
宇多丸師匠 vs 町山さんの論評は、
この映画見た人は必聴だと思います。
ラベル:
DVD Review
エスケープ・フロム・トゥモロー
アメリカのディズニーランドで無許可撮影した、
ダークファンタジーという超楽しそうな触れ込みに
惹かれて見てきました。
白黒映画ということや、前半が少し退屈で何だかなー
と思っていたんですが、中盤からラストまでは
目が離せない展開でオチも最高!って感じでした。
フロリダのディズニーワールドで撮影されてるんですが、
実はまだ心が腐ってない小学生の頃、一度訪れたことがあって、
そこで弟が迷子になり、
ひたすら日本語で自分の名前を泣き叫んでいたことをレミニス。
その一方で、東京ディズニーランドは行ったことないっていう…
本格派ぶりたいほど浅はかではなくて、
それもこれも天邪鬼の塊と化している僕にとって、
ディズニーファシズムみたいのが気持ち悪いなぁって。
(従業員のことをキャストと呼んだりするところとか)
ディズニー映画は大好きなんですけどね。
そんな大人のボンクラに向けた、
ディズニーの楽しみ方指南って感じで楽しく見ました。
主人公はジムというお父さん。
奥さん、息子、娘の4人でディズニーに遊びに来ている。
その朝に突然仕事をクビになり、遊んでる場合じゃないけど、
夢の国へと現実逃避。家族サービスのつもりで向かったけど、
園内で楽しそうなフランス人女子2人に心惹かれる。
どこにいても2人が視界に入ってしまい、
途中からは2人を追いかけて園内をかけ回る。
吉田恵輔監督初期作に代表されるように、
男の僅かな可能性にかける悲しいサガは何回見てもオモシロい。
しかも、合間合間にジムのくだらない妄想も挟まれるしね。
ただ、これといって何もないから前半は少し退屈。
ワンチャンスにかける気持ちが実を結び、
フランス人とは別の人妻とのSEXにこぎ着ける。
この辺から妄想と現実との区別がつかなくなってくる。
ジムにとっての現実はろくでもないもので、
仕事はクビになったし、奥さんとは仲悪いし、
息子はスペースサンダーマウンテン乗ってゲロ吐くし、
娘はケガさせられるし。
少しでもそんな現実を忘れさせてくれるかもしれないのが、
ディズニーランドで楽しそうに遊ぶ女子2人。
この構造はなるほど!と思いました。
確かにディズニーで楽しく遊んでる女子を
愛でるというのは間違いじゃないぜ!
中盤からはEpcotに移動。 (巨大なゴルフボールみたいなやつね)
ここから悪夢の連続で、フランス人女子に声かけられるものの、
ぎりぎり残っていた理性でなんとか断る。
そこで顔に水をかけられて、これがラストへの悲劇の始まり。
娘は誘拐されるし、Epcotの下にある秘密組織に拉致されたり。
誘拐は白雪姫オマージュで、特に好きだったのが拉致のくだり。
お前の妄想力を測定するって言って、
変な機械に縛り付けられるんですが、その結果、
「オメースゲーよ!ウォルトもここまでじゃなかったよ!」
っていう皮肉たっぷりな演出が最高。
悪夢が終わったかと思いきや、更なる地獄の猫インフル!!
身の毛もよだつ症状を発症する…
あまりにもデカ過ぎる妄想とescapeの代償。
そして、ラストの展開がウオーって感じで度肝抜かれた。
夢の国に行くことで、日常から離脱し、
新たな人生を生きるってことか…
色んな解釈が生まれそうなオチだし、
全体の寓話性がディズニーっぽい。
逞しい想像力を身につけ、
オモシロくない世の中をオモシロきにして生きたいものです。
ラベル:
Movie Review_2014
2014年8月5日火曜日
怪しい彼女
韓国での大ヒットの噂を聞きつけて。
なんといっても主演がサニーで好演してたシム・ウギョンで、
監督がトガニのファン・ドンヒョク。
トガニが凄惨な実話ベースだったのに対して本作はコメディ。
これらの要素があいまったら、どうなるんだ…
という怖いもの見たさの気持ちと共に鑑賞しました。
オフビートなコメディとしてしっかり笑わせてくれるし、
ラストはきっちり泣かされるしで、映画見たな!
という感触を久々に味わいました。
銀座のみゆき座で見たんですが、韓流ブームの熱は根強く、
劇場はいっぱいだったし、全体のアットホームさもナイス!
1人のおばあさんが主人公。
早くに夫を亡くし、息子を立派な大学教授に育て孫もいる。
典型的なおばあちゃんで小言が多く、息子の嫁には厳しい。
その嫁がストレスによる病で倒れてしまう。
おばあちゃんを施設に入れてしまおうかと話になる中で、
ある写真館で写真(遺影)を撮ったところ、
ぴちぴちの20歳に若返っとるやないか!
もともと歌が上手かったこともあり、
孫のバンドとともに歌手への道を突き進みつつ、
プロデューサーとの恋など、
2回目の青春を謳歌するも…という話。
前半はおばあちゃんの背景説明で、
ホント「うるせーなー!」って感じ。笑
ずっとしゃべってるし、小言ばっかり。
(大根と煮魚のくだりは最たる例)
このババアがシム・ウギョンになるというね…
中身そのままで、あの見た目というギャップがとにかく最高!
年代ギャップものを1人で体現する演技力は完全に脱帽。
言葉はもちろん顔面力とでも言うべきか、
たたずまいまでもババア。最たる特徴が歌ね。
物語を進行させる上でも非常に重要な要素なのですが、
本人が歌ってて、なおかつめちゃくちゃイイ!
バラードからアッパーチューンまで乗りこなす。
彼女の演技を目撃するだけでも見る価値あり。
もの凄く当たり前なんですが、
どんなジジイ、ババアにも青春は存在する訳です。
しかし、物理的な時間で考えると、一方通行でもう戻れない。
その反面、精神的な部分はどうなんだという話で、
心はいつだって戻れるというreplay性が作品を通じて伝わってくる。
この年齢になると色々考えさせられました。
正直、ギャグはドヤ感強いので、興醒めするかも。
ただ、映画全体がキッチュでポップだし、
きっちり映画文法に乗っ取った上でのギャグなので楽しかったです。
終盤の息子とのやり取りは泣くに決まってるやろがい!
女性にとっての結婚や出産は予定していた人生を
ときには狂わせてしまうものかもしれません。
だけど、最後の選択が物語るのは、
これまで生きてきた人生に誇りを持ち、
1回しかない人生を肯定するという至極真っ当な結論な訳です。
そんなメッセージを受け取って、号泣メーン!でした。
ベタな部分も多いけど、素晴らしい映画だと思います!
ラベル:
Movie Review_2014
2014年8月4日月曜日
思い出のマーニー
ジブリは予告編が本当に素晴らしくて、風立ちぬと同様に予告編で涙。
安定の板垣恵一氏works。超楽しみにしながら見てきました。
これまでのジブリ感は希薄なので、
その点を期待しちゃうと損するけど、
じわーっとくる感じが僕は好きだなぁって感じ。
甘酸っぱい女の子が経験するひと夏の不思議な体験を通じた成長物語。
年をとる共にこういった青春物語を客観視 a.k.a 神の視点で
楽しめるようになったため、この手の話にはめっぽう弱い。
最終的には女の子の成長譚としてHappy endingなんだけど、
全体のトーンは暗めなのが特徴的。
こっちの方が今の時代の空気と合ってるし、
好きなんだけど、乗り切れない人はいるのかもしれません。
(ジブリという看板に期待している人は特に)
アンナという女子高生が主人公。
彼女は幼い頃に両親を亡くしていて、
養女として札幌で育てられてきた。
他人と関わるのが苦手で、それは里親でさえも同様。
持病の喘息療養のために、釧路の湿地帯エリアに住む親戚のところへ
夏休みの期間限定で居候することになります。
その湿地帯にたたずむ古い洋屋敷に心惹かれる。
そして、そこに住むマーニーと仲良くなるものの…という話。
アンナは引っ込み思案で、
親がいないという自分の出自に苦しみつつ日々生きてる。
一方で里親は過度に彼女に干渉してくる。
孤独と調和の狭間で揺れる彼女の気持ちに
冒頭からめちゃくちゃ感情移入してしまいました…
そんな彼女が夢に見たマーニーが現実に現れ、
退屈と思われた避暑地での生活も楽しくなってくるし、
アンナ自身の心境にも変化が出てくる。
中盤以降は夢か現かという形で物語は進んでいくんですが、
前半は徹底的に現。太っちょブタや短冊への願いに象徴されるように、
とことん閉じているアンナ。
良かれと思って干渉してくる人の暴力性に共感しまくり。
マーニーとの出会いから楽しい夏の思い出が始まっていきます。
その世界は一切の男性成分が排除されていて、
ある種のズーレー的な要素さえ感じさせるぐらい。
ラストまで見ると、この距離近さは意図的なものだったのね〜
と腑には落ちましたが、見てる間はジブリもここまできたのか…と、
あらぬ感慨に浸っていました。笑
他人と違うことの辛さや良さを2人のそれぞれの立場を持って
描いていくのが良かったな〜結局のところ無い物ねだりで、
100%満たされている人なんていなくて、それぞれが事情を抱える中で、
足りない部分を埋めていくしかないよな〜とか思ったり。
後半にかけてはマーニーの存在の真偽を解き明かす方向にシフト。
東京からきたサヤカ、マーニーの日記、絵描きのおばさんなどなど。
この映画ネタバレしたら本当に楽しめないので、
ここには書きませんが、終盤までの展開が音を立てるかの如く、
現実にシフトしていくのは結構ビックリ。
ちょっと説明的すぎるかなーとは思ったけど、
アンナの一皮むけた姿とエンディング曲でALL OK!!
駿がいなくなった分、多様な作品生まれるかもしれないし、
そんなジブリの今後も楽しみになりました。必見だと思います。
ラベル:
Movie Review_2014
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