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| へべれけ人生③ |
文学フリマはほぼ目的買いだった中、数少ないセレンディピティ的に購入したZINE。実は著者の方とブースが隣で、こういう機会も文学フリマの出ることの面白さの一つだ。現在、①〜④までシリーズで刊行されているうちの3作目。郊外への転居&子どもの誕生により、外で飲む機会はかなり減っている中で、お酒を嗜むシチュエーションはもっぱら家なのでピッタリな一冊だった。
雑誌のような作りで巻頭に特集が用意されており、他にもエッセイ、短歌、日記とすべてお酒と食事にまつわる内容となっている。前述のとおり、特集は家飲み。「家で何をつまみに飲むか?」飲みの場で友人と話したとしても、ざっくりした内容にしかならないし、覚えてもない。しかし、本著では詳しく書かれていて、それが興味深い。ゆで卵、焼きなすといったミニマリスト的つまみアプローチや、文章から垣間見える著者の背景も含めてグイグイ読めるし、グイグイ飲める。なかでも「セブンで豪遊」は著者がセブンイレブンで愛好するおつまみが書かれており参考になった。(ジェネリックあみじゃが、酔っ払った帰り道によく買う。)
私は最近、ジャスミン焼酎『茉莉花』にハマっている。缶で飲んだときに美味しかった記憶がある中で近所のドラッグストアでボトルを発見。なんとなく買ってみたら、かなり調子がいい。ソーダ水で割ってもいいし、ジャスミン茶で割っても美味しい。歳を重ねる中で、重たいお酒でべろべろになるほど飲みたい気持ちもないので、自分で濃度調整できて、いい感じの着地を探すことができる万能選手である。
缶チューハイは群雄割拠だが、最近はサントリーの「-196℃シリーズ」をよく飲む。パッケージが新しくなった水色のやつ。フルーツの味がかなり濃厚で、ジュース的感覚でサクッと飲めるのがよい。あとは『本搾り』のライム味。これは中原昌也の日記を読んだときに知って飲んで、あまりのおいしさに毎日飲んでいるときがあった。モヒート方向のライムのお酒として抜群の出来。近所のドラッグストアに常置されていることもあり、安定したスタメンだ。こんな自己開示を誘発するほど、家飲みの話って実は語りしろがあるのだな〜と読んで気付かされた。
個人的には酒場の話はエッセイのテーマとしてピッタリだと思う。本著でも忘れられないシリーズとして二つのお店が取り上げられていて、どちらの話もおいしそうだった。タコスが美味しい焼き鳥屋、黒田はいつか必ず行きたいし、吉本ばなな「キッチン」から導き出されるカツ丼エッセイは、同じ本でも切り口次第で色んな読み方があることを教えてくれた。他のシリーズも含めてお酒好きな方にはおすすめのZINE。

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