| Unofficial Fan Book of FKGB |
前作がかなり興味深かったので、コンビニでプリントアウトして読んだ。すでに印刷可能な期間は終了してしまったが、今回もファンならではの視点がユニークで興味深かった。
今回は、ICE BAHNの歴史と各メンバーの細かい略歴について紹介されている。特に2000年代あたりは、彼らがシーンに登場したタイミングなのだが、ネットで情報が取りづらい。それをキャッチアップするには最適の資料だった。前作から引き続き、著者の引用に関する意識の高さには頭が上がらない。インターネット普及以降、誰もがいつでも簡単に追体験できる環境において、まるで自分が見た、聞いたかのように語る人間が山ほどいる中で、どこから情報をもってきたか、きっちりクレジットされており、さながら論文のようである。特に2003年のUMBのくだりの真摯さには自戒の念をこめて胸に刻みたい。
このZINEのハイライトは「姓はICE BAHN 名はFORK」に関する考察である。FORKのフリースタイルダンジョン登場時に一躍話題になったフレーズであり、最近ではWorldwide Skippa「メタナイト」でサンプリングされたこともあり、再度脚光を浴びている。ラッパーの一つのリリックにフォーカスして、ここまで論旨を展開している文章はそうそうお目にかかれない。特に最近は楽曲のリリースが大量にあり、一ラッパーの、一リリックに注目しづらい環境において、ファンが長年考えてきたことは、自分も含めた在野の似非日本語ラップ評論家の上の上をいく愛情に溢れているのであった。フレーズの歴史と成り立ち、それが持つ本質的な意味にまでリーチしているので、こういうリリックの掘り下げ方は勉強になった。
著者が実際に足を運んだライブのセットリストも興味深い。今のICE BAHNがどんな曲をライブで披露しているのか、それは現場にいた人しか基本的には知り得ない情報であり貴重だ。しかも、その日のシチュエーションによって色んなことが起こっている(METERSやDa-Dee-Mixとのセッション、HIKIGANE SOUNDとの邂逅など)そんなライブレポを読むと「現役でライブをやっているのだなー」と、ICE BAHNのヒップホップ愛を感じるのだった。
最後にはChat GPTで作成したFORKファン向けのネイルや部屋のデコレーション案が掲載されており、ギャグなのか、マジなのかわからないものの、熱い思いは伝わってきた。紹介が遅れてしまって、著者のnoteは無料で読めるので、興味ある方はそちらも要チェック。
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