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二〇二一年フェイスブック生存記録 /中原昌也 |
中原昌也の新刊が出てることを知り、日記がKindle unlimited に入っていたので読んだ。(2ヶ月無料なので久しぶりに入ったけど、雑誌以外はゴミしかない) 基本、映画、音楽日記の様相を呈しているが、その中で垣間見える日常や論考が興味深かった。
2021年といえば、まだまだコロナ禍真っ只中ということもあって、イベント以外のソーシャルな関係はほとんど見られない。その代わりに毎日のように見ている映画や音楽関する感想以上批評未満のような内容がひたすら続いていた。映画も音楽もメジャーなものはほとんどなく、彼の趣味嗜好が炸裂しているだけなのだが、その博覧強記っぷりは知らなくても読んでいるだけで楽しい。「ネットで調べればなんでもわかる」と知識をアウトソーシングすることは簡単だが、知識が肉体と精神に宿り、立板に水のように放たれる様がかっこいい、と世代的に感じたのであった。しかし、本人の言い分は以下の通り、かっけー!
何かに造詣が深い人、になんざまったくなりとうない!! 昼間から真っ当な仕事もしないで、映画だの音楽だの小説だの美術にうつつを抜かしているのは、ランダムに色々接して、訳がわかんなくなるためなんだよ! 何かに詳しくなるためじゃぜんぜんない。寧ろ、混乱したいだけ。
前の晩に見た夢の描写が多く、夢日記の側面もある。人の夢ほど、つまらない話はないわけだが、それが中原昌也になると、まるで小説のスケッチのように見えるのだから不思議だ。本著を読むことを寝る前のルーティンにしていたのだが、格段に夢を見る確率が上がって怖かった。
病気の予兆は本著からもところどころ感じられるが、いきなり半身不随になるなんて本当に信じられない。健康の重要性を痛感しつつ、新刊も早々に読みたい。
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