2014年4月30日水曜日

キャプテン・アメリカ / ウインター・ソルジャー



様々な界隈で評判が高かったので、
前作を予習し、万全の状態で見ました。
そもそもキャプテン・アメリカという
キャラへの偏見があったんですが、前作を見たことで払拭。
かなりオモシロかったです。
アメコミものとしてはスパイダーマン2より楽しめました。
物語の設定自体がオモシロかったし、映像の迫力も凄まじかった。
そして、肉弾戦のアクションがキレキレ。
アベンジャーズのときは何で武器が盾やねん!
って思ってましたが、対人間の白兵戦では
オモシロいやん!と思い直しました。
ゴメン!キャプテン・アメリカ!
アベンジャーズの続きから始まる訳ですが、
相変わらずSIELDに務めていて再びアメリカのために戦っている。
本作はアベンジャーズの中から
ブラック・ウィドウと統括のニックが出ています。
SIELDのテロ対策の一環として、ヘリポート(?)を空に飛ばして、
犯人や疑わしき人物をすぐに殺せるシステムが完成間近。
そのシステムを用いた陰謀に気付いたアベンジャーズ組が
SIELDに追われ、逃亡者となってしまう。
陰謀を何とか阻止しようとするものの、
立ちはだかるのはウインターソルジャーと呼ばれる暗殺の達人。
さぁ世界を救うことはできるのか?という話。
冒頭の海賊によるハイジャックを制圧するシーンの段階で、
アクションのキレがハンパじゃなくて、
挨拶代わりのシーンとしては100点満点!
陰謀に最初に気付いたニックは目を付けられて死んでしまう。
最後に会ったキャプテンはUSBを託されたものの、
誰も信用するなと最後にいわれ、SIELDにも楯突いたことで、
謀反者となり、追われる立場に。
最初のSIELD内でのエレベーター内でのアクションが
良かったし、誰も信用できないこともうまく示せていました。
色々手がかりを追ってるうちに昔の訓練所に辿り着き、
陰謀の全貌を知ることになります。
前作で戦ったナチスの科学班であるヒドラには残党がいて、
これまで粛々と勢力を拡大してきた。
そして、SIELDのシステムで入手した情報から選民し、
片っ端から排除していくというナチスのホロコーストが
updateされたような計画を知る。
そこを何とか阻止しようとするんですが、
SIELDに潜入して初めに行うスピーチがとても良かった。
(準備してきたのかよ?ってツッコミ込みで)
後半は肉弾戦というよりも、さらにスケールが大きい話で、
パシフィックリムに近いアガり方でした。
鳥人間のバトルシーンとか迫力満点やったなーと
あとニックが復活してピアース長官と
対峙するシーンが超かっこよかった!
あとはウインターソルジャーとのバトルね。
そこに、その物語足してくるんや〜と思ってましたが、
終盤の漢な展開がベタながらも好みでした。
ラストにかけては次回作およびアベンジャーズへの
前フリがふんだんに盛り込まれていて、
あーそういう感じかと、それはそれでワクワクしました。
あとエンドロール前のソウルバス風の
アバンタイトルのかっこ良さは特筆すべきポイントだと思います。
前作で半笑いだったあなたにオススメ!

2014年4月29日火曜日

アメイジング・スパイダーマン2



IMAXで見てきました!
前作を見た後に、サム・ライミ版を全部見て、
サム・ライミ版のほうがストーリー的には
好きな部分が多かった中での本作。
キャラ説明を省ける部分も多かったので、
前作よりも中身があって、歯応えのある作品になっていました。
さらに映像の進化が加わっているので、とてもオモシロかった!
サム・ライミ版と比較しがちですが、
マーク・ウェブがスパイダーマンで、
どうしても描きたいものとかなくて、
単純に楽しい映画のライド性に全力かけてるのかな?
と思ったりしました。
そのライド性という点で考えると、
IMAXで見たこともありますが、
素晴らしいものになっていたよ!
前作の続きということで、高校の卒業式から物語は始まる。
スパイダーマン(ピーター)は相変わらず、
NYの街を飛び回り、 悪と戦っている。
この冒頭のビルのあいだを飛び回るシーンの段階で、
ウォー!スパイダーマンや!っていうテンションにさせてくれる。
CGの進化もあるとは思うんですが、
Spider webがあくまで空を飛ぶための、
道具のように見えるのが良くて、空中での躍動感がビンビン。
エマ・ストーンと付き合っているのは相変わらずですが、
前作で亡くなった親父の遺言が頭をよぎり続けて、
彼女と距離を置くようになる。
今回の敵は2人いて、ジェイミー・フォックス演じるエレクトロ、
デハーン演じるハリーa.k.aゴブリン
割合でいうと、8:2くらいでゴブリンは次作への前フリ程度。
エレクトロはオズコープ社の社員なんだけど、
目立たない人間の割に承認願望がめちゃくちゃ強い。
事故で電気まみれの体になった彼は、
街を破壊し、注目されることに快感を得る。
一旦は捕らえるものの、打倒スパイダーマンのもと、
デハーンと結託し、再度街を攻撃すると。
デハーンはホント素晴らしいな〜と改めて思いました。
プレイス・ビヨンド・ザ・パイン、クロニクルと、
孤独にルサンチマンを抱える役やらせたら、
右に出るものがいないと思います。
本作は前作でフリがあったスパイダーマンの秘密、
つまり、彼の父がどういう人で何をしたかも、
明らかになっていきます。
前作はあまり悩む姿がありませんでしたが、
本作は葛藤を抱えているシーンが多く、好感を持ちました。
あと、マークウェブの持つ甘酸演出もあって、
恋人⇒友人となって初めて会うシーンは最高。
エレクトロとの戦いはギミック多めでしたが、
デハーンとの戦いはあっさりめ。
その後の展開を見ると、明らかに次への前フリな訳ですが…
この戦いに待っている結末に関しては、
オレは納得してないよ!(あくまで個人的な理由)
IMAX or 3Dで見ると楽しめると思います。

2014年4月28日月曜日

クローズ EXPLODE



三池監督が担当した前二作が好きだったので見てみました。
監督が変わってるのは承知してたんですが、
ここまでツマラナくなってるとは思いませんでした…
前二作が学園内の閉鎖された
暴力ファンタジーだったのに対して、
本作は暴力表現もぬるたい上に、
それを補わなきゃいけない肝心のストーリーも
結構ひどくて、風呂敷広げっぱなしなのが否めない。
原作を読んだことがないので、それぞれの設定が
原作をなぞったものであるのなら、しょうがないのかな…
にしても、一個一個フックになりそうな設定あるのに、
生かしきれてないのがもったいないな〜と思いました。
主人公は「ごちそうさん」の朴訥な演技が良かった東出君。
彼が鈴蘭に転校生としてやってくるところから物語が始まる。
児童養護施設出身で優しい青年ではあるんだけど、
一度炸裂すると、鬼神のごとき強さを発揮する。
鈴蘭のTOP(てっぺん)は柳楽君で、ワイルド強い系。
1年として入学してくるのは早乙女君で、
ヤクザのところに引き取られた一匹狼。
少年刑務所から出てきて、
そのヤクザのもとで働いてるのが、永山君(瑛太の弟)。
東出君の鈴蘭での仲間が前髪クネ男。

これらの登場人物を中心に話は進んでいきます。
バラエティに富んでて、
それぞれのバックボーンが異なるのはいいんだけど、
組み立てがヘタクソなのか、
それぞれが独立してしまっている感じ。
早乙女×永山のくだりくらいかな?
そこも共鳴し合う要素が見えにくいかな…
サイドストーリーとしては、
やべきょうすけ周りの話があります。
この人のコメディ感は見てて楽しかった。
特に銭湯のくだりはアホで笑ったな〜
けど終盤になると、お節介オジさんにしか見えなくなってくる。
分からんでもないんだけど、いつまでもノスタルジックに
過去を美化して語ってんじゃんねーよと思ってしまいました。
前二作が戦う両方にそれぞれキャラを置いて、
戦わせるってことをしていたのに、今回は東出君側ばかりに
キャラ濃いの置いたから、最後の早乙女君のくだりが
完全に物足りない。しかも、屋上で待っている設定も
死亡遊戯な展開があって、初めておもしろくなるのに、
それが無いから食い足りないのよねー
早乙女しばきにいくで!ってところの
全員揃うシーンは上がるんだけど、どんどん尻すぼみに。
そもそも早乙女VS東出において、東出君が勝つっていうのは
体格の違いから明らかなんだから、
なんかギミック用意しろとも思いました。
あと柳楽君の使い方もっとあったんじゃないかな〜と。
前二作の山田孝之ポジションになりえたのに。
素材は揃ってるのに、調理が下手だとまずくなるのを
久々に体感した映画でした。

2014年4月24日木曜日

めまい



ヒッチコック作品を見ていこうということで。
クラシック系は時間作らないと、なかなか見れないというか。
約60年前の作品で今も残っているということは、
当然オモシロいに決まってるんだけど、
あと回しになっちゃうのよね。。
前置きはさておき、本作も例に漏れず、
めちゃくちゃ面白かった!
前半は退屈なんだけど、
後半のギンギンっぷりは凄まじかったな…

主人公は元刑事。
冒頭、刑事として屋根の上にいる犯人を追いかけてるんだけど、
そこで同僚が屋根から落ちて亡くなってしまう。
これをきっかけに高所恐怖症になり、
警官をやめたところから物語は始まります。
刑事をやめた噂を聞きつけ、
同級生の奥さんの奇行を見張って欲しいと頼まれ引き受ける。
その奥さんには、過去に若くして亡くなった女性の亡霊が
乗り移っていると友人から聞かされていて、
いざ尾行していると変な行動を取っていると。
ある日、Golden gate bridgeのふもとで、
その女性が急に海へ飛び込んだところを
元刑事が助けたところから関係がスタート。
彼は完全に奥さんに惚れ込んでしまう。
奥さんの夢に出てきたという修道院へ行き、
不安を取り除こうとするものの、彼女は
修道院の鐘のある塔を急に駆け上り、自殺してしまう。
このシーンは映画史に残るシーンで、
本作を見たことなくても、どこかで見たことあるかと思います。
(わざとピントを変え、高さ表現を行ったのは、
本作でヒッチコックが世界で初めて実施した技術らしい)
愛する女性を失った悲しみにくれているのが後半なんですが、
逆に女性の亡霊に取り憑かれてしまったかのようになるのが
オモシロかったな〜アシッド表現もナイス。
彼女の幻影を追い求め、彼女に似た女性を探し続ける姿は
フラれた男としても見れるし。
その奥さんすっかりの女性を見つけて、
髪型や服装を無理矢理変えさせるのなんて客体化の極みで、
時代というか、ヒッチコックの独占欲?みたいなものも感じたり。
そしてラストがね〜ビックリする展開で釘付けでしたね〜
やっぱりヒッチコックはオモシロい!という思いを強く次第です。

2014年4月22日火曜日

チョコレートドーナツ



水道橋博士の番組で紹介されてて、オモシロそーと思ってたら、
天下の「王様のブランチ」でLilico氏が紹介した際、
号泣してしまい、紹介がままならなかったらしい。
いかほどのブツなのか確認するため鑑賞。
確かにこれは「ウル」くるなーと思いました。
僕は泣くというよりも、
もっと複雑に様々な感情が沸き上がった感じでした。
舞台は1979年のアメリカで、主人公は1組のゲイカップル。
彼らがダウン症の子どもを引き取り、育てようとする、
身障者と同性愛者という2つのマイノリティにまつわる実話ベースの物語。
ルディという主人公の片割れはゲイバーで、
女装ショーを行って生計を立てている男。
そこへ検事のポールという男がやってきて、
2人はあっという間に付き合うようになる。
ルディの住んでる部屋の隣には、
ある家族が住んでいて、いつも爆音の音楽が流れている。
母子家庭で母親がJunky。
そこに住む子どもがダウン症のマルコ。
誰から見ても明らかにhardな状況において、
母親が薬物で逮捕される。
このままだとマルコは施設行きという中で
子ども好きなルディは何とか救おうとポールに相談。
彼は法律の知識を生かし、監督権を母親から譲り受けて
ルディ、ポール、マルコの共同生活がスタート。
別に同性愛者への差別意識がある訳じゃないんだけど、
どこか潜在的意識の部分で、
「本当に大丈夫なんかよ」って思うんだけど、
2人のマルコへの愛情は大きく、それは親子そのもの。
これまで粗雑に育てられてきたマルコは、
2人の最大限の愛を受けて、幸せな共同生活を送る。
この様子を8mmで見せてくれるんですが、その多幸感たるや。
その幸せな生活も長くは続かなくて、
ポールとルディの関係性が世間にバレて、
ポールが仕事をクビになるのと同時に、
マルコも施設に引き取られてしまう。
後半はマルコをなんとかget backしようとする話。
観客はマルコが2人のもとで心底幸せな生活を送っているのを
知ってるから、当然2人といたほうがいいよね
という気持ちになっている訳です。
しかし、時代は1979年。
ハーヴェイ・ミルクの存在があったりしますが、
まだまだ同性愛者への差別は露骨に存在する。
マルコがいかに幸せだろうが、2人が同性愛者であるという事実。
この1点ですべてがひっくり返ってしまう。
ポールの裁判所での熱い叫びには胸を打たれたな〜
なんとかマルコを引き取りたい2人は、
黒人の凄腕弁護士に弁護を依頼するものの、
母親の親権が復活され、手の打ちようがなくなってしまう。
ここでの弁護士とポールのやりとりが印象的で、
「正義なんてないんだ…」というポールに対して、
「そんなの最初からないけど、やるしかないんだよ」ってね。
後半のマルコのシーンは同性愛者云々は関係なくて、
皆が平等に持つべき人権の話。
さらに感じたのは融通のきかない社会システムの歪さ。
そして、システム自体は人間が作ったのに、
それに隷属するしかない様は悲しくもあるんだけど、
ふと自分のことを考えてみると、
思考停止してる瞬間も多いなぁと。
果たして自分の権利が犯されたときに、
ここまでできるのか?っていう気持ちになる。
でもシステム側にいると、その杓子定規は楽なんすよねー
結局それが最悪の結果を招くんですが…
あと言及すべきなのは、ルディ演じるアラン・カミングの歌。
本当にどれも素晴らしくて、特にルディが初めて
ラスベガスで歌うシーンが相当グッときたなー
泣ける!みたいな宣伝されてるけど、
もっと深く多層的に描いている作品だと思います。
東京のみですが見られる環境あれば、どうぞ!

2014年4月20日日曜日

殺人の追憶



ポン・ジュノ作品を見ていく一環。
こないだ見た「母なる証明」に近い感じの衝撃…
ポンジュノって、人間が決め付けで行うことに対して、
ホント厳しいというか真摯というか。
思い込み、憶測、一時の感情のモロさを
突きつけてくるんですなー本作もそんな感じで、
連続強姦殺人事件を追う刑事の話。
はじめは地元の刑事で捜査してるんだけど、
途中から本庁の刑事も参加して捜査を行う。
単なる強姦殺人じゃなくて、殺し方もタチ悪い。
しかも、犯人は相当な手だれで、
なかなか捕まえることができず、
手がかりさえも見つけるのがままならない。
色んな人間を引っ張ってきては、
お前が犯人やろが!と無理矢理自白させたり。
地元の刑事たちがそんなスタンスであるのに対し、
本庁の刑事は理論派。様々なことに因果を見つけ出し、
なんとか犯人にたどりつこうと画策する訳です。
そして、犯人らしき人物にやっとたどり着く。
完全に疲弊しきっている彼らは
なんとかコイツってことにして決着をつけたい。
でも、決定的な物証や目撃証言に欠けると。
一旦釈放するんですが、そいつが再犯するところを押さえようと、
尾行してるんだけど、一度見失ってしまう。
しかも、その日に捜査の過程で、
知り合った中学生が被害者に、、、
その犯人らしき人物をボコボコにし、
殺す手前でDNA鑑定の結果がアメリカから届くものの…
うわ〜というオチ。文字通り真実が闇の中に消えていく。
数年後、刑事をやめた彼が事件現場に
訪れたシーンもイヤ〜な感じでした。
「それでもボクはやってない」と
対にして見るとおもしろいかなーと思いました。

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!



サイモン・ペッグ×ニック・フロスト×エドガー・ライト!
この組み合わせで、
ショーン・オブ・ザ・デッド、ホット・ファズと産み出した
彼らが組んでオモシロくない訳が無い!ということで鑑賞。
やっぱり安定のオモシロさ、WTF!な作品でした。
ビール好きにはたまらないし、展開のスペクタルさがFRESH!
(ショーン・オブ・ザ・デッドをupadateしたような印象)
舞台はイギリスの片田舎。
高校の仲良し5人組が卒業時に、
街にあるパブ12軒を制覇しようぜ!って飲み倒したものの、
すべて回りきれなかった。
それを年取ったオジさん達が再度街に集結し、
今度こそ制覇しようぜ!と皆で飲み倒してたら、
街の様子がどこかおかしい…
そこは宇宙人にコントロールされ、
ロボットだらけの街になってた!
そこから世界を救うことが出来るのか?というSF物語。
サイモンの回想シーンから始まり、
それで物語全貌がある程度把握できるし、
落とし方が禁酒会なのも好きでしたね。
サイモンが大人になりきれない大人であるのに対して、
残り4人は大人として自立している。
旧友たちはサイモンの誘いを渋々了承し、パブ巡りがスタート。
1軒目からかましにきてて、
古くは郵便局云々の説明のフリから2軒目までのくだりは
笑ったし、その現象を「スタバ化」と呼んでるのもナイス!
粛々と巡っていくんだけど、最初ニックは酒を一切飲まないし、
サイモンのことウゼーなぐらいのスタンス。
ある店でそれがピークとなり、帰ると言い出す始末。
そこでサイモンがトイレで、ある少年と殴り合いになったところから、
物語は一気に加速する。そこで街の異変に気付き、
逃げようと考えるんだけど、バレないようにパブ巡りを続行。
ここからひたすらロボットとのバトル!バトル!
特にニックがショット5連続一気してからの
暴れ方がとにかく最高。はじめは品行方正なキャラなだけに、
弾けたときの「キター!」感がたまりません。
今回ホント素晴らしいなと思ったのはアクションのキレ!
撮影、編集のキレの良さが抜群で、息つく暇も無い。
物語が進むにつれて、それが加速していくのも良かった。
何度か街からescapeするチャンスがあるんだけど、
サイモンは12軒制覇の夢を捨てきれず、
最後のパブ、ワールズ・エンドへ。
さらにこっからトンデモ展開が待っているんですが、
このシークエンスは一番グッとくるポイント。
クレヨンしんちゃんの大人帝国の逆襲にも近いテーマでもあるし、
1つの人間論にもなってる。その人間代表が彼らっていうのが、
間抜けにも見えるし、愛おしくもある。
こっからのエンディングまでも、
「えーっ!」って何回も言っちゃうようなことばかり。
やっぱこのトリオの映画はもっと見たいと思わされる作品でした。

2014年4月19日土曜日

アクト・オブ・キリング



初めてこの映画の話を聞いたのは、
信頼する男、マツマエ氏からだったと記憶している。
そこから町山さんのプッシュやデヴィ事変もあり、話題沸騰の本作。
見終わった後、とんでもないものを見てしまった感覚と、
強烈な嫌悪感に襲われました。
分かりやすい「悪」である虐殺という行為だけではなく、
人間の持つイヤな部分がめちゃくちゃ凝縮されてる。
自分が知らない世界の現実を知ることは
興味深いんだけど、この現実は辛かったなぁ。。。

Act of killing、直訳すれば「殺し方」でしょうか。
1960年代にインドネシアで行われた大量虐殺を
映画撮影ということで加害者に再現させ、
その撮影の様子をアンワルという主人公を
メインに追ったドキュメンタリーです。
冒頭、瀧の前で歌って、踊るシーンから始まり、
この時点で不穏な雰囲気がただよいまくり。
前半はアンワルという主人公がどういう人物なのか、
および虐殺の全貌が明らかにされていきます。
まず度肝抜かれるのが、
彼が嬉々として自分の過去の行いを語る点ですよね。
当時の事務所上へ行き、
「初めは殴っててんけど〜血出るからなぁ〜」と言い、
ヒモを柱にくくりつけて、それを人の首に巻き、
「これ引っ張って殺してましたわ〜血も出ないし、楽なんすわ〜」
虐殺の対象としていたのが、共産主義者。
その選定は同じビル内の新聞社の人が決めてたとか。
(明確な思想とか特にないのが一層怖い)
この一連の流れの段階で、
こんな奴らが現実世界にいるのか…と頭クラクラ。
もし彼らの話してたことが事実だとすれば、
もっと苦しんで生きていてもいいはずなのに、
良かれと思ってやったことだから、なんの罪悪感も感じてない。
しかも、現政権が虐殺支持側っていうね。。。
彼らの経験してきたことをベースに
映画製作が進められる中で、コメディタッチのところも多く、
なかでもアンワルの舎弟のマツコデラックスに持っていかれるw
酷い現実が語られる中で、
彼の女装で映画が余計にケイオス化していくのは
笑えるようで笑えないアンビバレントな感情にさせられる。
この映画で一番イヤだなーと思ったのは、
途中で合流してくるアンワルの盟友。
「オレは苦しんで精神科にかかったりした」とか言う割に、
全く後悔の気持ちとか見れない言動が多いし、
家族とのありきたりな日常をのうのうと生きているのは
なんか全く納得できなかったな〜
特に華僑を道で出会ったら、片っ端から刺し殺してた話すんの、
ホンマに嫌悪感しかなかったです。
後半にかけては、アンワルが映画内で被害者役を
演じさせられるシークエンス。
本作はここがかなりの見所だと思います。
自分の人形が首チョンパされたり、尋問されたり。
序所に被害者への謝罪の気持ちが芽生え始める。
さらに予告編でも使われていたおおがかりな大虐殺の再現シーン。
ここの地獄っぷりはホントに目を覆いたくなる。
あまりの衝撃で演じていた子どもは泣きじゃくるし、
おばあさんはショックで動けなくなったり。
再現でこんだけ酷いんだったら、実際は…と考えると、
身の毛もよだつ思いになる。
そして、本作の恐ろしいところはここから。
バランスの取り方が非常にグレーで、
アンワルが被害者の気持ちを理解し、
反省し始めるのかと思いきや、そうでもないんじゃない?
と思わせる言動がちらほら見え隠れする。
どういうことかと言えば、カメラの存在を意識して、
「こういうこと言った方がドラマになるんじゃね?」
というスタンスを取っているように見えたんです。
僕は上記のように思いましたが、
見る人によって解釈が別れる余白の残し方をしてると思います。
とにもかくにも必見の映画だと思います。

2014年4月18日金曜日

アデル、ブルーは熱い色



カンヌ映画祭でパルムドールを獲得し、
監督だけではなく、主演の2人にも史上初めて贈られた
という何かと話題の本作。
3時間という上映時間に尻込みしてましたが、
「映画館で見るっきゃない!」と思い立ち、鑑賞しました。
とんでもなくエロティックでありながら、
思春期におけるイニシエーションを描ききり、
しかも、それがレズビアンやバイセクシャルという
社会的マイノリティを題材としている。
まさに2014年、この今を体現する映画でございました。
久々に映画の持つパワーを浴びたといいましょうか。
やっぱ僕が好きなのは、人間の機微や
この世界に普遍的に横たわっている事実を描いた作品かも?
と改めて感じたりもしました。

主人公のアデルは高校生。
文学好きな、ごく普通の女の子なんだけど、
街で偶然、青髪のエマを見かけ、恋に落ちてしまう。
女の子を好きになるという感情を消化しきれないまま、
男の子と付き合ってみるけど、どうしてもエマのことが忘れられない。
意を決して、レズバーに行ってみると、そこにはエマの姿が。
そこからお互いが引かれ合い、付き合うようになる。
付き合う前後の幸せMAXの状態から
奈落の底に落ちるまでをしっかり時間かけて見せつけられる。
(ブルーバレンタインみたいな感じ。)
最初はアデルの日常および2人が出会い、
恋仲になるまでを相当時間かけて描いてるんですけど、
ここを細かく、丁寧に描くことで、
なかなか共感を抱きにくいレズビアンやバイセクシャルへ
感情移入しやすくなってました。
その高校のシークエンスで、
クラスメイトと成り行きでキスして、
後日「あなたはそういうことなのよね…」
と迫るトイレのシーンがあまりにも辛過ぎて…
これがあるから、アデルとエマがいい関係になったときの
多幸感が倍増しています。
孤独に自分のよく分からない感情と向き合ってた
彼女が解放される気持ち良さね。
付き合う直前、直後の甘酸シーンのつるべ打ちには悶絶しまくり。
ベンチでアデルの顔をデッサンするシーン、
公園で寝転がってるシーン、逆光でのキスシーンetc...
からのぉ〜「解放」という言葉をまさしく体現する
超絶ペッティングシーン!
あまりに明け透けで、なおかつ超長い。
見た人間全員が衝撃を受けるのは間違いないです。
このスクリーンからほとばしる愛は映画館で体感できて良かった。
レズビアンが主人公なので、周りからの見方と、
社会における自分のスタンスのことも、しっかり描かれていました。
エマが5つくらい年上で、レズビアンであることに誇りを持ち、
何の恥じらいも無いのに対して、
アデルは家族や友人、仕事場では隠しながら生きている。
 まだ踏ん切りが付かない感じで、
友人とのいざこざ、家族にエマを紹介するのも、あくまで友人。
家族紹介シーンはマジで息が詰まったなーあの親の保守感も抜群。
対社会的には保守なスタンスをとるアデルなんだけど、
エマへの気持ちが揺らいでる訳ではなく、
アデルはエマのことがめっちゃ好きなんすよね。
ゆえに独占欲が強くてっていう…キュン死。
そして、その欲が後半悪い方向に向かっていく。
後半からは年月が経ち、2人とも働いてて、
同姓中なんだけど、出会ったときの熱はもうなく、
徐々にすれ違う中で、2人の歯車が狂い始める。
特にエマの誕生日会のシーンが相当グッときたなー
エマは画家で、周りにもアーティスティックな人が多い。
この誕生日会の準備から片付けまで、
アデルが全部やるし、パーティーのあいだも
献身的に働き続ける訳です。
この行動がエマのことを思ってとかじゃなくて、
自分を忙しくすることで、
彼女が他の女といるのを気にしないようにするため
っていうこの切なさよ!
これを表現するカメラワークがまた絶妙で。
誰か越しに撮ったり、2人を同じショットにおさめながら、
アデルがすげー気にしてるのを見せるのとか。
あと、すげー鬼畜やなと思ったのが終盤です。
アデルの仕事は学校の先生で、彼女自身は子どもが好き。
でも、エマと一緒にいて2人の子どもが産まれることは
生物学的にあり得ない訳です。
ゆえにアデルの出来心から始まる一連の悲劇が
あまりにも不憫で辛かった…
ラストシーンは一応ビターな中に少しの甘みがあって、
少しはバランス取れてました。
3時間と長いけど、映画館で見て良かった作品でした。

2014年4月16日水曜日

リベンジ・マッチ



スタローン×デニーロでボクシング映画!
まさか21世紀に見れると思いもしなかった、
とんでもない組み合わせをスクリーンで目撃させていただきました。
想像以上のことは特に何も起こらないんだけど、
しっかりとベタをやりきる「ボケ」の姿勢が好きでした。
ヨボヨボの2大スターがリングで殴り合ってるのは、
やっぱりグッとくるな〜とも思いましたし。
スタローンはロッキー、デニーロはレイジング・ブルという
クラシックボクシング映画の主演を演じたがゆえに、
この組み合わせとなっているんですが、
それぞれの設定を取り入れていましたし、
「でも、やるんだよ!」精神に溢れている。
 スタローン演じるレーザーとデニーロ演じるキッドは
好敵手で、80年代に2回戦って1勝1敗。
決着をつけるまえにレーザーが引退してしまう。
30年後になってTVで2人の戦いが特集されたことを
きっかけにゲーム化の話が浮上。
ゲーム用にモーションキャプチャーする現場で、
2人は久々に再会し、そこでいきなり大乱闘!
それがネット上で話題となり、再戦マッチを行うことになる。
その試合までをコミカルかつ体温高めで描いている映画。
昔は有名とはいえ、あきらかなロートル2人の試合なんて
誰も興味がない。そこで宣伝のために行う色んなギミックが
どれもおもしろかったな〜
試合だけじゃなくてもカラダ張りまくり。
とくにUFCの試合のくだりは、
監督のボクシング愛が伝わってきましたw
レーザーにはロッキーでいうところの、
エイドリアン的な元彼女がいるんだけど、
それはキッドの元彼女でもあり、
彼女自身はキッドの子どもを産んでいるという複雑な関係。
(しかも、その子どもがキッドのトレーナーになる。)
ロッキーオマージュという点で言えば他には、
彼のトレーナーはロートルのおじいさんだったり、
生卵飲んだり、ランニングシーン多めだったり。
たまにメタな視点入れてくるのは、
分かってても笑っちゃう。
とくに卵飲むシーンでの「まだ飲むのかよ…」が最高。
一方でレイジングブルオマージュでは、
コメディアンとして自分の経営するバーで漫談してるのとか、
どうしようもなく自堕落な人間である点とかかな?
お金あるけど、彼の周りには誰もいない感じ。
トータルバランスで見ると、ロッキーよりな仕上がりでした。
(レイジング・ブルは写実的なんで、そっちに振れて
スタローンってなると違和感あるからかな?と邪推。)
当然クライマックスは2人の試合になる訳ですが、
観客全員が見る前に思う、
「スタローンとデニーロの体格なら、スタローン圧勝やん!」
というところにもきちんと、
配慮がなされているのは良かったと思います。
60overのオッサン同士だから、
もっと酷いボクシングシーンになるかな?と思ってましたが、
なんかオッサン同士が己のプライドかけて、
必死で殴り合っているのを見ると込み上げるものがありました。
ただ、この勝敗のバランスというか、ある種の美談的なところは
少しあざといかな〜とも思いました。
DVDで見てもしょうがないので、
映画館で半笑いで見たらいいと思います。

2014年4月15日火曜日

バーン・アフター・リーディング



これもある本のための予習として。
ジョージ・クルーニーやブラピ、マルコビッチなど
有名俳優が多数出演しています。
コーエン兄弟が監督ってことは見終わったあとに知りました。
タイトルのBurn After reading は機密文書に書かれる一言。
機密に関わった人間のどたばたコメディといった感じ。
そこにコーエン兄弟の毒牙が加わってる。
国務省の機密データにまつわる話がメインで、
サイドで流れるのが各主人公の持つ嘘や秘密の話。
はじめは、それぞれが関係なく進行してるんだけど、
後半にかけて、ゆるやかにfade inしてきて、
それぞれに悲劇が訪れる物語構成は落語みたいでした。
特にジョージ・クルーニーの役がアホで好きだったな〜
おそらく彼が一番秘密や嘘に振り回されているのもあるけど。
あとはマルコビッチね。
冒頭から完全にかましにきてて、
怒ったときに汚い言葉をゆっくりと言い聞かせるのが
ホントに好きだし、何度も見れるのが楽しい。
情報に振り回される人間の滑稽さが身にしみました。

2014年4月13日日曜日

マイノリティ・レポート



ある本を読むための予習として。

トム・クルーズ主演のスピルバーグ監督作品。
技術が発展し、殺人事件が起こる前に
予知ができるようになった2054年が舞台。
殺人事件もなくなり、平和な世の中が訪れている世界。
網膜識別で世の中は完璧に制御され、
体感したいと思ったことを何でもバーチャルに体感できたり。
そんな最先端の世界において、
犯罪予知システムを用いた警察で、
刑事として働くのがトム・クルーズ。
そのシステムの予知結果として、
トムが犯人として浮かび上がってきて…というクライムSF。
まず、この世界設定ギミックの数々がすげー面白い。
犯罪予知もそうだし、上述した管理社会のシステムも。
予知には3人の予言者がモルモットのごとく、
管理されてて、その犠牲の物悲しさがある。
はじめはそのシステムを運用する側にいた
トムクルーズが逆に追い込まれていくのは、
技術に人間がコントロールされていくことを示している。
追い込まれたトムがシステムをかいくぐりながら、
真実までたどり着く過程がオモシロかったです。
管理されてキレイキレイになる社会でいいのかどうか、
考えさせられる作品でございました。

2014年4月12日土曜日

sexymotherfucker


Sexymotherfucker by Keisuke Yamada on Mixcloud

久々にmixをアップしました。

DL LINK⇒ https://www.mediafire.com/?c0797egsg3...

peko君のbrand new mix のSEX TAPEにinspired.
最近よく聞いてるSoulection, HW&W 多めです。
FREE DLの曲ばかりなので、好みのやつは探してみてください。
sexymotherfucker !!

ローン・サバイバー



タマフルの課題作品になり、
最近戦争もの見てないなーと思い鑑賞。
やっぱ戦争ものは生死ギリギリの物語だから、
見てる間、嫌が応にもアドレナリン出まくり。
ずっと口空けながら、見てましたw
戦争サバイバルものとしてのライド性が抜群。
それに加えて、フレッシュなアクションや、
先の見えない展開にずっとハラハラしてました。

レッドウイング作戦と呼ばれる実際に行われた
アフガニスタンでのアメリカのoperationの話。
作戦を端的に説明すると、
タリバン一派によるアメリカ兵殺害の首謀者をぶっ殺す作戦。
先攻部隊として4人の斥候が送られる。
そして、彼らは現地住民と山間部でまさかの遭遇。
住民たちを一旦捕らえるものの、解放してしまう。
それが運のつきで、タリバンのやつらが
逆に彼らをぶっ殺しに襲撃してくるというお話です。
冒頭でアメリカの軍隊学校の壮絶なトレーニング映像が流れる。
彼らは過酷なトレーニングに耐え、
たくましく育ち、仲間たちと強い絆で結ばれている。
(王将の新入社員研修の動画をレミニス)
これがあるから、相当強いんだろうなーと思うものの、
いざ戦闘が始まったら、スナイパー銃(?)で粛々と殺してはいくんだけど、
地の利、数の利を得ているタリバン一派に圧倒されていく。
戦闘が始まるまで相当抑制されている分、
ウォールバーグが言うところの「タイムカード」をきった瞬間から
始まる地獄絵図は辛いものがあるし、
銃声がこだまする、あの空間にいるかの如く感じる。
本作で一番FRESHだと感じたアクションは崖から転げ落ちるシーン。
計2回あるんだけど、「痛い!」っていうのが
スクリーンからビシバシと伝わってきました。
ベルリンファイルの突起ぶっつけに匹敵する痛み表現。
サバイバルものでお約束の一旦希望を見せといて、
絶望の淵に叩き込むシーンも
スケールがすげーでかいから、絶望感もマシマシ!
命からがら山間銃撃戦から逃れた後の展開も衝撃。
言葉の通じない状況で、生死をさまよう地獄。
(ナイフのくだりは笑ってしまったけどw)
謎やなーと思ってたところが最後に字幕で説明された
瞬間は鳥肌立ちました。
「えっ!そんな理由で、あそこまでやんの…」っていう。
これが実際に起こった話なんだから凄まじい。
事実だと強調するかのごとく、
David Bowieの「HEROES」のカバーが流れながら、
実際にレッドウイング作戦に携わった人の写真が映し出される。
ライド性重視の映画なので、是非映画館で!

2014年4月10日木曜日

Book (March 2014)

天才 勝新太郎
「あかんやつら」の炎はまだ消えてへんで!
ということで、同著者の春日太一さんの著作。
タイトルとおり、勝新太郎の俳優、
さらには演出家としての側面にフォーカスした本です。
春日さんの本の素晴らしさは、史実なんだけど、
文体が物語的なので読みやすいし、グイグイ引き込まれる。
今まで中村玉緒の旦那、コカインをパンツに隠してた人。
といった印象でしたし、そういった人は多いんじゃないですか?
ホントさーせん!ってコレ読んで思いました。
俳優としての経歴や豪傑伝説も凄まじいんだけど、
監督、脚本、演出の話が衝撃過ぎた。。。
座頭市シリーズ見てみたいなぁと思います。

Tokyo Wonderland―And Other Essays on Life in America and Japan

近所の古書店で購入。初めて洋書を読みました。
(中学生レベルの非常にeasyな英語です)
いわゆるカルチャーギャップもので、
アメリカ人から見た日本という話は当然のことながら、
それを踏まえたアメリカ論もオモシロかったです。
表紙がかわいいのでオススメです。

ディア・ドクター×西川美和

ブックオフにて救出。
西川美和さんは映画監督で、
ディア・ドクタディア・ドクター×西川美和ーという作品のガイド本。
インタビューや画コンテ、脚本を収録。
監督のインタビューでは、
本作の話だけではなく、
彼女の映画作り全般に関する話もあって楽しかったです。
なんといっても主演の笑福亭鶴瓶のロングインタビュー
これがもう凄まじくオモシロい!
とんでもない人間力に溢れている人だと
改めて認識したし、「家族に乾杯」を見る目が変わりましたw
本読んでから、映画見直すと新たに思うところあったり。
映画見た人には超オススメ。

フェルマーの最終定理
友人に薦められて、クラシックシリーズ。
数学のおもしろさ、ロマンに満ちた名著でした。
僕が専攻していた化学や物理は
自然現象を実験を繰り返すことで、
この事象は概ね以下の数式で説明されるだろうという論法。
それに対して、数学の厳密性たるや。
高校のときは数学が一番得意だったから、
血湧き肉踊る思いで読み進めてました。
フェルマーの最終定理は一見easyなんだけど、
解が「無い」 ことの証明だから難しい。
(「有る」ことの証明は1つ見つければよい)
しかも、歴代の数学者たちの残してきた
数々の足跡をいかし、証明までたどりつく過程は
サンプリングベースのHIPHOP的な考え方なのもアガる!
点と点が線になっていくところも丁寧に書かれているのも
良かったな〜過去の数学者のパンチラインぶりにも脱帽。
相当平易な文章で書かれてるので、数学分からなくても、
騙されたと思って読んでみて欲しいです。

仁義なき日本沈没: 東宝VS.東映の戦後サバイバル
これも春日太一さんの本。
タイトルとおり、「仁義なき戦い」に至るまでの東映と
「日本沈没」に至るまでの東宝の話。
東映の方は「あかんやつら」のダイジェスト版。
東宝の方は初めて知ることばかりでオモシロかったです。
同じ日本の映画会社でも全く性質が違うことが知れる
史実本として素晴らしいので、
「あかんやつら」を躊躇している人にオススメ。

殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件
新潮45シリーズとは別ですが、
新潮社から出ている実録犯罪もの。
冤罪で有名となった足利事件を含む、
連続幼女誘拐殺人の真犯人を探す話。
本当に恐ろしい話しか載ってなくて、
日本の警察、司法の酷い面がよく分かる。
先日死刑が撤回された袴田事件も証拠ねつ造が
問題になってましたが、 ある筋書きに合わせるかの如く、
裁判、取り調べが進行していくのは
誰もが冤罪被害になり得る可能性があることを指し示している。
読み進めていくうちに真実が見えてくる快感は
不謹慎かもしれませんが、やみつきになる。

未刊行小説集
いとうせいこう氏の著作読もうキャンペーン。
過去に点在していた短編を集めたものです。
それぞれのストーリーに色があって楽しいし、
現在出ている著作の下敷きになったんだろうなという話も多く、
分量は多いものの、すいすい読めました。
自我のなさそうな映画の主人公が、
繊細で、もし内面の葛藤があったらシリーズが超好き。
例えばインディ・ジョーンズ、13日の金曜日など。
ベンジーという犬映画の短編では、
犬の自我を描いていて、これが本当に最高でした。
また、長編の「歌を忘れてカナリアに」は
もろに「ワールズ・エンド・ガーデン」な仕上がりなのと、
スペインのカナリア島が舞台だったので、旅行に行きたくなったよ!

2014年4月9日水曜日

おとなの恋には嘘がある



シネマカリテのFOX SEARCHLIGHTシリーズ第3弾。
2つめの「ザ・イースト」がとても好きだったので、見てみました。
タイトル通り、なかなかビターな味わいで。
離婚したあとで見たら、とんでもなく沁みそうな作品でした。
いい歳の大人の恋愛模様なんだけど、愛しさに満ちていました。
主人公は50歳くらいの独身女性。バツイチで高3の娘と2人暮らし。
彼女は訪問マッサージを仕事にしていて、
面倒な客(男女問わず)に不満を抱えつつも粛々と仕事に励む毎日。
そんな彼女があるパーティーで出会った
fatな男性と恋に落ちるラブコメディです。
この男性もバツイチで同い年の娘がいます。
似た境遇の2人は話も合うし、すぐに仲良くなり付き合うことに。
かたや同じパーティーで出会った詩人の女性がいて、
その人にマッサージを頼まれて、
仕事で何度も訪れるうちに仲良くなっていく。
この詩人は家は広いし、超お洒落。
セルライトなしボディのPerfect woman.
(ちなみに、この女性もバツイチ)
人のことを好きになるのは、
皆それぞれ重視するところ(見た目、性格、趣味etc)が
あると思うけど、この映画はまさにそのポイントの話。
若いころなら見た目とかでイケたかもしれないけれど、
本作に登場するのはバツイチの人達ばかり。
ポイントがシビアだし、
過去の失敗を踏まえて、選ぼうとする訳です。
ゆえに慎重で、なるべくイヤなことがないような、
つまり、お互いの擦り合わせが無いような
パートナーを探し求めている。 
本作では話や価値観が合うってことに重きを置いていて、
その点はとても納得しました。
また、ある展開を用いて、
その人の中身を事前に把握できるという状況に
主人公は遭遇する。把握すればするほど、
これまでは好きだったから気にならなかったことも
嫌になってくるのとかホント意地悪やな〜と思いましたw
しかも、それが日常のふとしたことなんだから。
あと、誰かにとっては最悪な人でも、
誰かにとっては最高な人なんだという、
日常では忘れがちな事実を
真っ正面から突きつけられるのもグッときました。
(この展開が産む最後のシーンは今年No.1レベルの気まずさ)
言いたいことは言って、お互いの差異を受け入れていく。
他人に対する想像力は、人間誰しも必要やなーと思った映画でした。

2014年4月6日日曜日

ザ・タワー 超高層ビル火災



高橋洋次氏がタマフルにて、
昨年の10位に選出していた本作。
今年のはじめにタワーリング・インフェルノを見て、
どのぐらいの仕上がりかなーと思ってたら、
とんでもなくオモシロかった!
割と細かい設定も含めて、
タワーリング・インフェルノを踏襲しつつ、
最先端のVFXを駆使してるんだから、
オモシロいに決まっているんだよ!
ブルーレイで見たけど、映画館で見たかったと後悔…
この映画は韓国のなんだけど、
日本で「タワーリング・インフェルノをリメイクしよう!」
ってならないよね。
その辺も韓国の映画への愛を感じるなーと。
最近の日本のディザスターものを考えると、
日本の海猿とかどんな感じなんかな〜と逆に興味沸きました。

超高層ツインタワーがあって、そのうちの片方に
ヘリが激突して火災が発生し、生き延びれるかという話。
前半は割とコメディタッチでアホなシーンも多いし、
多幸感ありまくり。相当ベタめなんだけど、
この感じがあるから、後半のDisasterの地獄性が引き立ってくる。
後半のDisasterはタワーリング・インフェルノを
かなりトレースしてるんだけど、
それがVFXで脚色されたことで、迫力マシマシ!
タワーリング・インフェルノだと
はじめは大丈夫な空気が流れてるんだけど、
この映画では火災が起こってからアクセル全開。
阿鼻叫喚の地獄絵図が始終展開されます。
(悪いやつはすぐに死ぬのもナイスでしたw)
2つのタワーをつなぐ橋のシークエンスが
ハラハラ度合いMAXだったな〜
ツインタワーであることを生かした設定、
おそらく911の要素なんだろうけど、それもFRESH.
次々にリミットが設定されて、
襲いかかってくるから息つく暇なし。
普段あんまりDisasterもの見ないけど、
やっぱオモシロいよね〜と思った映画でした。

レイジング・ブル



今春公開のスタローン×デニーロの
リベンジマッチの予習として見ました。
(スタローンはロッキー、デニーロはレイジング・ブル )
タクシードライバー以降、
デニーロ×スコセッシのがっぷり四つに組んだ形。
ボクシング映画なんだけど、スコセッシの型である
栄枯盛衰の物語となっておりました。
主人公はジェイクというボクサー
アホみたいに強いんだけど、
プライドが高く、強情な男がゆえに政治が下手。
ジョー・ペシ演じる弟のジョーイがプロモーターで、
2人でタッグを組み、世界戦を目指していく。
ジェイクのキャラクターがあまりにも強烈過ぎる!
もういいよ…っていうくらいの被害妄想っぷりや、
結婚してたんだけど、
14歳くらいのビッキーに入れ込んだり。
(結局2人は結婚する。)
ジョーイも負けず劣らず強烈で、
レストランで爆ギレするシーンは最高最高だと思うよ。
この2人のバディムービーとして十分に楽しめました。

ジェイクの生活は無茶苦茶なんだけど、試合に出ると強い。
試合に出まくって負け無しなんだけど、
ベルトに挑戦させてもらえない。
それは有力者の顔に泥を塗るようなことばかりしてるから。
このままじゃダメだってことで、有力者の言いなりになり、
八百長で負けるんだけど、試合後に泣くシーンが良かったなー
全編モノクロなのも特徴で、1980年の作品だから、
WETな質感といいましょうか。
白黒苦手だけど、気になりませんでした。
結果的には世界王者になるものの、
その後、凋落していく姿が描かれているのもポイント。
日本でもボクサーがTVタレントになるの流行ってますが、
この映画見て、もの悲しい気持ちになりました。
(生きていく上ではどうしようもないのは承知の上)
容赦ない世界の現実と
激しい暴力の組み合わせなので、オススメです!

2014年4月5日土曜日

LEGO®ムービー



映画の日で何見ようかなーと思ってたところ、
タマフルで課題作品に上がってたし、
伊藤聡さんが激押ししてたので、見てみました。
21ジャンプストリートと同監督・同脚本家ってことも知り、
俄然楽しみにしてた訳ですが、めちゃくちゃオモシロかった!
満員の新宿ピカデリーで見たことも相乗効果となり、
映画館で見れてよかったなーと思いました。
そもそも、子どもの頃、レゴジャンキーだった僕にとっては
アレが動くだけでも高まりまくり。
懐かし光景でもあり、大人となった今見るレゴへの距離感とか
全部込みで描かれていて、もう最高っ!といった印象。
ほぼ全編レゴブロックで映画が構成されているのに驚愕。
街とかは分かるけど、山、海などの自然もすべてレゴ!
単純にVisualでアガるのも然ることながら、
大人が見てグッとくるストーリー構成なのも秀逸でした。
Only one or One of themの話なんだけど、
その落とし方にヤラれてしまったよ…

主人公はエメットという男の子。
ブロックシティと呼ばれる街に隅、建設従業員として働いている。
その街では個性なんて一切必要がなく、
マニュアル通りに皆同じように生活していれば、
ALL OK!という世界。
楽しく生きていた彼が、ひょんなきっかけで
世界を救う奇跡のパーツをgetしてしまい、
「選ばれしもの」と崇められることに。
それに応えようともがきつつ、
世界を滅ぼそうとする悪の敵と戦うという話です。
冒頭でブロックシティを含めて彼の日常が描かれるんだけど、
かわいいレゴの見た目とは裏腹に強烈に風刺的。
完全に社会の歯車と化していて、
すべてとは言わないけど、サラリーマンとして働いていると、
どこかしら心あたりのある日常が展開されている訳です。
(クソ値段高いコーヒーのくだり、最高)
一方でマニュアル化された世界からのescapeを企むのが、
マスタビルダーと呼ばれる人達。
彼らは様々なブロックを組み合わせ、
独創的なものを生み出すことに長けている。
彼らを差し置いて、「選ばれしもの」に、
たまたまなってしまったエメットの葛藤が興味深い。
この映画の素晴らしいところはバランス感覚で、
やっぱりCreativeでOnly oneであることが、
今の世の中では重宝されるし、憧れの的でもある。
それへのカウンターというか、
one of themなんだけど、
そのシステマティック性の良さもあるじゃん! っていう。

終始ギャグとばしまくりなのも特徴で、そこも見所。
レゴの世界をメタ視点で見たとき、
つまり、レゴ目線と人間目線の差異笑かしてくるシークエンスは
問答無用にオモシロい!(除光液のくだりがハイライト)
この仕掛けがラストに効いてくるんですわ…
もともとレゴ世界のファンタジーとして捉えていた観客を
一気に現実に引き戻し、考えさせる作りは見事過ぎて、
「うぉぉ!」と叫んでしまうくらい。
ルールを決め、世界に秩序をもたらすことも大事だし、
でも、それだけでは片付かない。
無秩序性=個性の面白みを殺しちゃ、元も子もないでしょ
という落とし前の付け方よ! 
そして、それがレゴブロックの基本理念であり、
遊び方の話にもなっているんだから恐ろしい。
絶対劇場で色んな人と空間を共有しながら見るべき映画!