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2016年12月29日木曜日

2016 Movie Ranking

  1. イット・フォローズ
  2. 裸足の季節
  3. オデッセイ
  4. オーバー・フェンス
  5. 海よりもまだ深く
  6. エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に
  7. シング・ストリート 未来へのうた
  8. ザ・ロブスター
  9. ボーダーライン
  10. クリーピー 偽りの隣人
  11. FAKE
  12. 永い言い訳
  13. ドント・ブリーズ
  14. グッバイ、サマー
  15. ケンとカズ
  16. コップ・カー
  17. 教授のおかしな妄想殺人
  18. 葛城事件
  19. 牡蠣工場
  20. AMY エイミー
  21. セトウツミ
  22. ズートピア
  23. コンカッション
  24. この世界の片隅に
  25. キャロル
  26. シン・ゴジラ
  27. 淵に立つ
  28. エクス・マキナ
  29. シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
  30. レヴェナント:蘇りし者
  31. ファインディング・ドリー
  32. 何者
  33. サウスポー
  34. 日本で一番悪い奴ら
  35. サウルの息子
  36. ハドソン川の奇跡
  37. リップヴァンウィンクルの花嫁
  38. ルーム
  39. 殺されたミンジュ
  40. ヴィクトリア
  41. ヘイトフル・エイト
  42. ローグワン/スター・ウォーズ・ストーリー
  43. ノック・ノック
  44. アイアムアヒーロー
  45. スポットライト 世紀のスクープ
  46. 山河ノスタルジア
  47. の・ようなもの のようなもの
  48. ヒメアノ〜ル
  49. ブルーに生まれついて
  50. 太陽
  51. デッドプール
  52. あなた、その川を渡らないで
  53. マネー・ショート
  54. 10クローバーフィールド・レーン
  55. 怒り
  56. ブリッジ・オブ・スパイ
  57. 二重生活
  58. 母と暮せば
  59. スティーブ・ジョブズ
  60. バンクシー・ダズ・ニューヨーク
  61. カルテル・ランド
  62. SCOOP!
  63. レジェンド 狂気の美学
  64. ヤング・アダルト・ニューヨーク
  65. エル・クラン
  66. アズミハルコは行方不明
  67. ザ・ウォーク
  68. 俳優 亀岡拓次
  69. ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
  70. リリーのすべて
  71. 孤高の遠吠え
  72. ミュージアム 
  73. ブラック・スキャンダル
  74. DOPE/ドープ!!!
  75. バーバリアンズ セルビアの若きまなざし
  76. ひそひそ星
  77. 不屈の男 アンブロークン
  78. スーサイド・スクアッド
  79. バッドマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生
  80. ヘイル・シーザー
  81. ふきげんな過去
  82. エージェント・ウルトラ
  83. MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間
  84. 64後編
  85. 64前編
今年は100本見ることはありませんでしたが、
その分、質が高い映画ばかりだったなーという印象です。
(ちなみに下3本はぶっちぎりのWORST3です。)
また、今年の邦画の豊作っぷりは近年稀に見る勢いで、
しかも若手監督の台頭がめざましいので、
ここ2〜3年は楽しみなところです。
年末年始の映画鑑賞の参考にしてくださいませ!

ドント・ブリーズ


<あらすじ>
親元を離れ、街から逃げ出すための資金が必要なロッキーは、
恋人のマニーと友人のアレックスとともに、
地下に大金を隠し持っていると噂される盲目の老人の家に強盗に入る。
しかし、その老人は目が見えないかわりに、
どんな音も聴き逃さない超人的な聴覚をもち、
さらには想像を絶する異常な本性を隠し持つ人物だった。
暗闇に包まれた家の中で追い詰められたロッキーたちは、
地下室にたどり着くが、そこで恐るべき光景を目の当たりにする。
映画.comより)

今年の映画納めをマイルス・アヘッドとすることに
どうしても抵抗感があって絶賛大阪帰省中ですが見ました。
無茶苦茶怖かったし超面白かったです。
レイトショーで見たのにほぼ満席で、
どこにそんな需要が?!と思ったんですが、
吊り橋効果を期待したカップルがたくさんいました。
(隣のカップルは始終キスしていた)

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

ドローンを使った印象的なシーンから映画はスタート。
鳥瞰の引きのショットで徐々に地上へ近づいていくと、
老人が若い女の子を引きずっているっていう…
この時点でろくでもなく楽しそうな出来事が待っているんだろうな、
と期待を抱かせてくれます。
主人公は若者3人組。その1人の親が警備会社に勤めていて、
親が思っている他人の部屋の鍵を拝借して、
足のつかないレベルで強盗して金を稼いでる若者達。
彼らが住んでいるのはデトロイトというのが、
本作を特別なものにしていると思います。
デトロイトは自動車産業の衰退が主な原因で、
街がどんどん荒廃していて廃墟もたくさん発生している街。
近年、映画で使われることが多く、
僕が覚えている範囲だとイット・フォローズロスト・リバー
ドキュメントだけどシュガーマンとか。
絶望感が街から伝わってくるし、
一度発展した街が死んでいる様が本作と相性バッチリ。
主人公達は娘を交通事故で殺された盲目のイラク帰還兵の家へ、
強盗に入る計画を立てて実行に移します。
その帰還兵には示談金として多額の現金が支払われたから。
しかも彼の住む家の周りは廃墟だらけで余裕〜
と思いながら金を探し始めるんですが、
この兵士 a.k.a 盲目オジさんがとんでもなかったんですなぁ。。
まず、家に侵入したときのシーンが素晴らしくて、
オジさんが寝ている部屋に辿り着くまで、
1回もカットを割らずに描かれていました。
まるで自分もそこでいるかのような感覚になるんですが、
さらに凄かったのは2階への移動。
階段を移動する様子を追いかけるのではなく、
おそらくドローンで一気にカメラを2階へと移動させるんですね。
冒頭のシーン然り、ドローンの使い方が巧みでした。
クリーピーでも上手く使われていましたし、
人ならざるものの視点という意味で、
ホラーと相性が良いのかもなーと思いました。
家への侵入がオジさんにバレてからが地獄絵図。
目が見えないんだけど家の中を熟知しているので、
主人公たちが追い詰められていく様子が
めちゃめちゃハラハラするんですね。
タイトルになっているドント・ブリーズ、
息をするな、ってことなんですが、
盲目なので音に非常に敏感。
息使いで居場所を特定して
襲ってくるんですねーそれが超怖い!!
若者たちはなんとかエスケープしようと模索するんですが、
観客が想像し得ることはオジさんが
全部シャットダウンしてくので、
見ている側も追い込まれる気持ちになりました。
目が見えないけど音に敏感、
という設定をフル活用した怖い展開を
テンポよく矢継ぎ早に提供してくるので息つく暇もない。
とくに怖かったしオモシロかったのは電気消しシークエンス。
盲目のオジさんにとっては365日24時間停電状態な訳ですが、
主人公たちは真っ暗な中で彷徨う。
見えない中でのエンカウントっぷりがたまらなかったです!
しかも、オジさんは物語が進むに連れて、
銃を撃つことに一切の躊躇を見せなくなるので、
どうなっちゃうの?!という気持ちがマシマシでした。
あとオジさんの償いの考え方が
めちゃくちゃラディカルで恐ろしかったです。
新幹線で橋口亮輔監督のハッシュを見ていたんですが、
本作と全く同じ設定、つまりはスポイトによる受精を描いていて、
そこがシンクロしたことに個人的にとても驚きました。
(全然意味合いが違うけど)
「これで助かる…」という場面を用意して、
そこから突き落とすという場面が繰り返されるので、
息つく暇もなくてあっという間でした。
とてもミニマルな設定でこれだけオモシロいものが作れるのは、
映画ならではだなーと思いました。
ラストの悲劇は終わらない演出もフレッシュで、
「おぉ〜怖っ!」という具合で好きでした。
今年の映画納めとして最高最高!

2016年12月24日土曜日

MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間



<あらすじ>
1970年代後半の5年間、ミュージックシーンから
完全に姿を消したマイルス・デイビスは、
慢性の腰痛に悩まされ、ドラッグや鎮痛剤の影響から、
自宅で1人すさんだ生活を送っていた。
そんなマイルスのもとに音楽レポーター、
デイブ・ブレイデンが強引におしかけてきた。
それから2日間、2人は盗まれたマイルスの最新曲のテープを
取り戻すため思わぬ追跡劇に巻き込まれる。
映画.comより)

ドン・チードル演じる、
マイルス・デイビスが主人公の映画!
ということで随分前から宣伝されていましたが、
この年末にやっと公開されました。
ただのジャズミュージシャンの映画なら分かるんですが、
マイルス・デイビスの映画でこの仕上がりか…
とガッカリした印象です。
何を求めるかに寄ると思いますが、
僕はジャズプレイヤーとしてのマイルスに
もっとフォーカスして欲しかったです。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

本作はドン・チードルが監督、脚本、主演を務めており、
はっきり言ってワンマン映画です。
実在の登場人物を描く自伝要素を持った映画の場合、
どこを切り取るかが重要だと思っています。
本作ではマイルスが活動を休止していた5年間を
描いているんですが、菊地さん曰く、
この5年でマイルスが何をやっていたかは
明確になっていないということでした。
なので、ほぼドン・チードルの想像の世界。
それゆえ、街中で銃をぶっ放しながらの
カーチェイスシーンが映画冒頭で展開されます。
シャフト等の70年代〜80年代の
ブラックスプロイテーションを彷彿とさせるもので、
それ自体はテンションが上がりました。
このカーチェイスに至るまでが
映画のメインストーリーとなります。
作りとしては活動休止中のシークエンスと
回想を交互にシャッフルして描いていくんですが、
オモシロかったのは場面の転換。
単純にカットを切り替えるだけではなくて、
目で見て楽しいエフェクトが盛り沢山。
あとは映像の質のギャップも良くて、
回想のときはフィルム撮影で味があるタッチで、
現代のときはデジタルのパキッとした映像になっていました。
あとは音楽。本作ではマイルスの実際の音源を
使用しているので映画館で彼の音楽を
大きな音で聞けるというだけで映画として
かなりプラスになっていると感じました。
このようにルックとして楽しめる部分が多かったんですが、
お話の中身、組み立てがかなりお粗末でキツかった…
まず現代シークエンスでは、
マイルスの未公開音源のテープを巡って、
ドンパチが繰り広げられるんですが、
誰が何を欲しいのか?という
動機付けが弱いなーと思いました。
活動休止中なのでトランペットを吹くことはない、
それはしょうがないとしても、
ひたすらコカイン決めまくってるだけの
ヤバい人間にしか見えない訳です。
(実際、その側面もあったのでしょうが…)
一方の回想シーンはアルバムのジャケットにもなっている、
フランシス・テイラーとの関係を中心に描かれています。
ジャズメンとミューズの関係という点で言えば、
先日見たチェット・ベイカーの自伝映画である、
ブルーに生まれついてとどうしても比べてしまう。
そして比べたことで本作の雑さが気になるんですよねー
彼女との関係でもたらされたものが
見えにくいところが良くないのかなと思います。
事実に縛られて物語が作れないということではなく、
自分の想像の世界で作り上げて、
この組み立ての悪さは監督、脚本に問題があるんだと思います。
ただ、ドン・チードルが楽しげにマイルスを演じているので、
やっぱり相当嬉しかったんだろうなと。
その喜びが最大限に爆発するのが最後のシーン。
活動休止から復活するコンサートという設定なんですが、
そのバンド編成のメンツが最強でカッコ良過ぎた!
本作の音楽監修を務めたRobert Glasperはピアノ、
ギターはGary Clark, Jr. キーボードにHerbie Hancock御大!
さらにレジェンド枠でサックスのWayne Shorter、
ドラムはバードマンでも有名なAntonio Sanchez、
ベースは紅一点のEsperanza Spaulding。
2015年に結成できる夢のオールスターセッション。
これが最後にあったのでギリギリ救われました。
vimeoにアップロードされていたので、
映画見なくてもいいからコレは見て欲しい!


2016年12月20日火曜日

アズミハルコは行方不明



<あらすじ>
日本中どこにでもありそうな郊外のある街。
この街から独身OLの安曇春子(アズミハルコ)が突然姿を消した。
街じゅうに貼られたハルコの行方不明ポスターとともに、
彼女のポスターをモチーフにしたグラフィティアートが拡散されていく。
ネットでは、男だけを無差別に襲う女子高生ギャング団と
ハルコポスターのグラフィティアートとの関係性が噂されはじめて…
失踪前と失踪後、ふたつの時間軸を交錯させながら、
現代女子の生きざまを描き出す。
映画.comより)

山内マリコさんの原作は発売当時に読んで、
映画化が発表されて蒼井優のステンシルの
メインビジュアルが発表されて、
それがかっこよかったので楽しみにしていました。
全体としてどうなのかと言われると、
若干詰め込みすぎかなーと思いながらも、
ポイントポイントで見所があって楽しかったです。
男子は本作を見て襟を正さねばならぬかもですね。

※ここから盛大にネタバレして書きます。

冒頭で展開されるのは本作のキーとなるシーンから。
結果的に作品内で見せ方を変えつつ3回も流れるんですが、
繰り返したくなる気持ちも分かる美しいシーン。
とにかく蒼井優演じるアズミハルコがフォトジェニック!
今、あんなにセクシーかつアンニュイに
タバコを吸える日本の女優は彼女しかいない気がします。
このような印象的なショットがいくつかありつつも、
舞台は日本のTHE 地方都市であり、
地に足のついた地方社会物語として描かれています。
僕がフレッシュだなと思うのは本作が持つ軽やかさ。
日本の地方都市を描く場合には閉塞したものが比較的多い中で、
そこを打破していこうとしていく若者たちの姿が眩しい。
地方創生とか一億総活躍とか口では言うけど、
具体的なことが何も変わらない今の日本社会において、
一番分かりやすいのが「地方」と「女性」なのかなと。
打破の要素を構成するのが、
グラフィティとバイオレントな女子高生というのが
とても好きでしたねー
バンクシーのExit Through The Gift Shopに影響された、
若者たちが行方不明となったアズミハルコの
ステンシルを街にボムしまくって、
街、社会へと侵入していくのがカッコイイ!
(Obeyのアンドレ→ジャイアント馬場の流れが最高)
街にボムすることは犯罪なので
なかなか直接見ることはできないですが、
映画内でこれだけ景気良く見せてくれるとアガる!
あとは女子高生によるバイオレンス。
血が出たりのゴア描写は控えめなんだけど、
男たちをボコボコにする感じがたまらなかったです。
男がボコボコにされる理由は
作品内の男たちが女性のことを客体化しているから。
一番露骨なのがハルコの働く会社ですよね。
女性を完全にものとして見ていない、
「フランス」という名前だけで権威に平伏すクズ野郎たち。
こういった価値観を持った人たちはある一定の年齢層に
極端に集中していると肌感覚レベルで感じていて、
今、20代とか30代の人が社会の中心になったときに、
大きく変わるのかも。。。といつも思います。
ただ、大賀演じるユキオが女子高生の肌について
「弾くぜぇ〜」と言うシーンは好きでした。言い方が最高。
もう1人の客体化の対象が高畑充希演じる愛菜。
人肌恋しい寂しくて死んじゃうウサギ系ギャルなんですが、
男たちに裏切られ続けてしまう。
女子高生が直接的に男たちに復讐するのに対して、
年を重ねた女性たちは手をくだすことはない。
劇中のセリフにもあるように、
「優雅な生活が最高の復讐である 」として、
自分が幸せになることを最優先に考えようとするんですね。
結果として辛いことから逃げることになるかもだけど、
それでもいいじゃん、自分が幸せなら。
という2つの女性像の対比が見事だなーと思いました。
時間軸をシャッフルするのもハルコと愛菜を
分離させずに表裏一体のキャラとして見せる仕掛けとして
僕は上手く機能していると思います。
内容にいたく共感している中、
終盤の展開が相当もたついているのが残念でした 。
描き切りたい気持ちは伝わってくるんですが…
松井大悟監督の作品は初めて見たので、
他の作品も見てみたいなーと思います。

2016年12月17日土曜日

ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー



<あらすじ>
「エピソード4 新たなる希望」でレイア姫が
R2-D2に託した帝国軍の最終兵器「デス・スター」の設計図は、
いかにして反乱軍の手にもたらされたのかを明らかにする物語となり、
一匹狼のヒロイン、ジン・アーソが、
反乱軍の仲間とともに、帝国軍からデス・スターの設計図を奪う
決死のミッションに挑む姿が描かれる。
(映画.comより)

スターウォーズのスピンオフ。
エピソード4の直前を描いたものとのことで、
一体どんな塩梅なんか楽しみにしていました。
スターウォーズと聞いたときに何を思い描くのか、
それによって評価が分かれる気がします。
僕は戦争映画として本作は素晴らしい作品だと思います。
ディズニーはこうやってスターウォーズを
微分し続けるのでしょうね〜

※ここから盛大にネタバレして書きます。

まずは前日譚として緑美しい島での出来事から。
(クレジット見る限りはアイスランドと思われる)
主人公のジンと親が離れ離れになる経緯を描き、
本作も脈々と受け継がれるスターウォーズのテーマである、
親子物語であることを冒頭で高らかに宣言します。
いつものテーマが鳴り響くかと思いきや、
スピンオフということもあり今回はなし。
ときは流れジンは大人になり帝国軍の刑務所でムショ暮らし。
そこへ反乱軍が彼女を助けにやってきます。
なぜなら彼女の父親がデス・スターの設計者だから。
この救助で登場するのが過去作におけるR2D2の役割を果たす、
ロボットK-2SOで、僕はとても好きでした。
もともと帝国軍のロボットなんだけど、
プログラムを書き換えられている設定で、
とてもシニカルなスタンスがかわいらしい。
前半は帝国軍の支配するジェダという惑星で
フォレスト・ウィテカー演じるソウを探す様子が描かれます。
ソウは反乱軍だけどその好戦性ゆえに、
反乱軍と袂を分かちジェダで戦っている男。
このシークエンスで登場するのが、
ドニー・イェン演じるチアルート、
チアン・ウェン演じるベイズのアジア俳優コンビ。
彼らの存在が本作最大の魅力かなと思います。
そもそも本作ではフォースを操れるのは
ダースベイダーしか登場しない中、
対人アクションの魅力をすべて担うのが彼らだからです。
もう最初のアクションシーンから心を鷲掴みにされるし、
盲目という設定も座頭市のようでいいんですよね〜
さらに相方のベイズのマシンガンレーザーガンも
その速射性で敵をなぎ倒す様子がカ・イ・カ・ン©薬師丸ひろ子
このジュダでの戦いに終止符を打つのがデス・スター。
過去作ではそこまでデス・スターの暴力性は
フィーチャーされていなかったんですが、(もしくは伝わってなかった)
本作でその危険な部分が炸裂!
今の時代のCG だからこそ見せられる、
大地が引き裂かれウネりながら、
まるで津波のように押し寄せてくるシーンは圧巻でした。
ソウと出会い父の居場所を知ったジンは、
父へ会いに行くことにします。
一方で反乱軍はデス・スターを生み出した父を殺す腹づもり。
ここのシークエンスはジンと父の関係の終わり、
ジンが銀河を守るという大義へ向かうことへの動機付けで、
この後、反乱軍の拠点に戻った後の展開が素晴らしかった!
シンゴジラよろしく会議のシーンなんですが、
デススターへの恐怖から帝国軍への反撃を躊躇する人、
ここで戦わないと後がないと主張する人で議論が分かれる。
そこでジンが「希望」と反乱軍について語る点は、
NEW HOPEをすでに知っている観客からすると
こうやって「希望」のバトンパスが続いてきたのか …と
グッとこざるを得ないわけです。
しかもフォースの文脈とは関係なくと思うと泣けてくる。
とくにダーティーダズンよろしく、
悪いこともそれなりにやってきたけど
今こそ立ち上がるべきという志願兵たちの顔つきよ!
からの終盤の宇宙大戦争!でブチ上がり!
監督のエドワード・ギャレスの手腕がいかんなく発揮されていました。
空中戦、地上戦といい意味でしっちゃかめっちゃか。
敵の本拠地で少数精鋭で地上で暴れまくってからの
反乱軍の援軍が到着してからの空中戦。
僕はアジア系2人が活躍する地上での白兵戦が好きでした。
もろに戦争映画のルックスだし、
僕がすごいな!と思ったのはAT-ATの見せ方。
すでに弱点まで知ってしまってる我々からすると、
足長いカメレオンみたいな可愛い兵器。と思っていたんですが、
さすがゴジラを撮っただけあるというか、
大きさの迫力がスクリーンからビシバシ伝わってきて、
怖い存在として改めて認識させられました。
デススターの破壊力然り、
この姿勢が本作をオモシロくしているのだろうなと思います。
自分たちの大義を完遂するため、
デス・スターの設計図を発信するために全員が命を賭して戦う。
この命を賭すというのがポイントで、
マジかよというくらい死にまくるんですよね…ここも切なくて。。
散々な犠牲が払われた結果のデス・スターの設計図、
という本作の内容を踏まえると、
エピソード4の新たなる希望(New Hope)に新たな深みが増す。
そのエピソード4への橋渡しの演出も冴えていて、
レイア姫を象徴として扱うだけにとどめているし、
ダースベイダーが設計図を奪い返しにくるシーンは、
彼の無双っぷりが懐かしくもあり怖くもありつつ、
赤のライトセーバーが光るところはシビレまくった!
エピソード4のあの黄色い文字にこれだけの思いが、、、
と想像することができるようになった、
ローグワン以前/以後で異なる世界になったという意味で必見!

2016年12月2日金曜日

ブルーに生まれついて


前にBunkamuraル・シネマでポスターアートを見た時に
それがあまりにかっこ良くて楽しみにしていた作品。



チェット・ベイカーの自伝映画だったんですが、
知らないことだらけで勉強になりましたし、
ラストの余韻がとにかくたまらなかったです。

※ここから盛大にネタバレして書きます。

僕のチェット・ベイカーの印象はこの写真に尽きます。
これは写真家のウィリアム・クラクストンが撮ったもの。
(彼の写真が好きで写真集も持っています)




じゃあ音楽家の彼の印象は?といえば、
お洒落なカフェでかかっている軟弱なジャズという
偏見に満ちたものでした …
しかし、本作を見ることでそんな印象は吹き飛んで、
ジャズを愛する最高に最低なジャズミュージシャンなんだ
ということを知れてよかったです。(行間読み取ってね)
本作を見た後にチェット・ベイカー聞きながら、
渋谷の街を歩いたときの余韻がたまらなかったです。
映画としての作りは自伝映画としては
結構大胆な作りになっていました。
大きく分けて2点あって、
1つ目は特定の時代のみを描いている点です。
具体的には196 6年と1955年の2つを描いていて、
2つの時代が良い時代/悪い時代という
合わせ鏡のようになっているのが巧み。
無理して彼の全体の歴史を圧縮して
映画に詰め込むという形ではなく
無理していないところに好感を持ちました。
2つ目は映画の導入の部分。
映画内で映画を撮っているというシーンがあり、
しかも、その映画内の映画も
チェット・ベイカーの自伝という、
複雑なメタ構造を取り入れています。
はじめは回想シーンだと思っていたことが
実は映画内の演技だったということなんですが、
終盤への伏線となっていて、
じわじわ後になって効いてくるのがこれまた巧みだし、
ここでのNYのBIRDMANでの演奏シーンが
モノクロで超かっこ良くて心が掴まれてしまいました。
チェット・ベイカーは薬物中毒でヘロインの静脈注射に依存。
ヘロイン買ったお金を踏み倒したために、
プッシャーにボコボコにされてしまい、
歯を折られて頬も骨折してしまいます。
彼はトランペッターなので生きて行く上で致命傷だし、
しかも薬物に手を出してからは周りの信用もなく、
孤立無援の中、映画で共演した女性に恋に落ちる。
彼女はチェットのことを見捨てることなく、
薬物を断たせて何とかトランペッターとして
再起させようと懸命に彼のことを支え続けます。
一番辛かったのはピザ屋でBGMとして演奏し始めた時。
チェットが演奏しているにも関わらず、
一向に見向きせず喋りまくる学生集団はいるし、
「君、日曜日にいつも来てるの?もっと練習してね」
と他のメンバーに言われる始末。
栄枯盛衰を意地悪く見せられると辛いけど好きなところ。
ひたすら練習を繰り返して彼は自分の音色を
取り戻していき何とか生活を組み立てていきます。
ただ、 多くの観客は彼のトランペットの音が
今どのレベルにあるのか、回復した?下手なまま?
というのが分からないのが難しいところ。
下手な時はもっと露骨にミスったりしたほうが
分かりやすかったかもなーと思いました。
(音の違いが分からないあくまで個人的な話)
あと、本作では彼の本物の音源は使われていなくて、
David Braidという人が劇伴を担当しています。
曲は同じでもアップデートされていて、
古めかしい感じがなかったの僕は好きでした。
本当のファンの人はけしからん!と思うのかもですが…
主演のイーサン・ホークはしっかり歌うし、
トランペットも吹いているところに役者魂を見ました。
(男の僕から見ても惚れ惚れするかっこ良さ)
長々書いてきましたが本作はラスト、
ヘロインを断ちクリーンになった彼が
憧れの地であるNYへback againするシーンが最高最高!
そもそも彼はLAのジャズプレイヤーかつ白人で、
ジャズの世界において彼はマイノリティな立場。
ゆえにマイルスを筆頭にしたNYで活躍する、
黒人Jazzプレイヤーへの憧憬が強いんですね。
なんとか彼らに認められたい、
彼らと同じフィールドに再び戻りたい、
そんな気持ちが呼び起こす究極の選択が待ち受けている。
すべてを失ったとしても力を得たいという欲望は
まるでロバート・ジョンソンが
十字路で魂を売り渡すかのごとく。
愛する彼女へ自分の選択を伝えるのが
歌というのがこれまた痺れる展開でたまりませんでした。
次の曲であるBorn to be blueを紹介、
曲が流れ始めてタイトルどーん!で完全にサムアップ!
またクレジットのフォントの青が綺麗な色なんだよなー
音楽とドラッグは21世紀の今でも
切っても切り離せない関係にあると思うし、
僕はASKAに本作を見て欲しいと思います。

2016年11月27日日曜日

この世界の片隅に



<あらすじ>
昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に
18歳で嫁いできた女性すずは、
戦争によって様々なものが欠乏する中で、
家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。
しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は
空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。
映画.comより)

最近はめっきり劇場に行けてなく、
いろいろ見たい作品が溜まっている状況なんですが、
何としてもこれは!ということで見てきました。
方々で絶賛の嵐が吹き荒れているので、
もはや僕がどうこういう話じゃないですが、
本当に素晴らしい映画を見たなという感動がありました。
日常と非日常の狭間で翻弄される人生。
当たり前のように享受しているものが、
ある日突然無くなってしまうこともあるけれど、
それでも生きていかねばならないのである。
という至極真っ当な話を2016年の今見ることが
とても必要な気がしました。

※ここから盛大にネタバレして書きます。

冒頭、なんの前触れもなく唐突に始まる物語。
主人公すずの幼少期から描かれるわけですが、
最初にすず役である能年玲奈 a.k.a のん の声を
聞いた瞬間に完全におじさんな私は涙腺ゆるゆる状態。
もともとあまちゃんにハマり、
ロケ地の岩手県久慈に行くほど彼女の佇まいに
ヤラれちゃってたことを改めて思い出しました。
すずさんはボンヤリ天然系なキャラで、
それが能年玲奈自身のキャラと合うというか、
声のイイ意味でのユルさが良かったなーと。
予告編の段階ではいわゆる日常系な印象で、
前半はその印象の通りただ生活している姿を
淡々と描いていました。
劇的なことは何も起こらないけれど、
人が生活する様がこれだけ豊かなことなのかと
画で納得させられる力はスクリーンで見てこそ
伝わるものがあります。
水彩画のような柔らかいタッチの情景の中を
アニメーションが動いていく快感がたまらない。
ジブリのかぐや姫を見たときと同じ感動があって、
画が物語を成立させるための材料ではなく、
物語に積極的に寄与している。
それはすずの好きなことが画を描くことだからだと思います。
アニメーションの原点と言わんばかりに、
出先でのエピソードを画と共に語ったりするし、
幼なじみの代わりに画を描くシーンも、
画の中の画というメタな作りも新鮮でオモシロかったです。
僕が本作が凄いな!と思ったのは物語のテンポ。
描いていることは何気ない生活の断片の繋ぎ合わせであり、
シーンの1つ1つは落ち着いた時の流れなんだけど、
シーンからシーンへの時間の飛び方がとても大胆。
前半はかなりの情報量があって少し追いつかないくらい。
人が自分の中で過去を回想するときのタイムライン感。
人生の流れはこのぐらいの早さで過ぎ去っていくよなーと。
後半は戦争の空気がだんだんと忍び込んできます。
物語が始まってから昭和の年号で時間が
カウントダウンされていて
僕達はすでにいつ頃に何が起こるのか?ということを
ある程度知っていても、
前半の牧歌的な生活空間が失われていく様は辛かった、、
しかし、その一方で本作が特別であるのは、
悲惨だと思われたあの時代にも
笑う瞬間はあったということを描いている点かと思います。
物語全体を通してかなりギャグをトバしているシーンが多く、
すずが旦那とキスしたあとのお姉さんが
部屋の隅っこでいじけるシーンが好きでした。
すず一家が住んでいるのは広島の呉の山の方なので、
直接ヒドい空襲に襲われはしないものの、
命があるか/ないかは紙一重であるという様子が
随所に見られて不安な気持ちになります。
その不安が高まって結果的に最悪の事態が発生するんですが、
ここの表現のラディカルさに衝撃…
客観ではなく究極の主観というか、すずが覚えている記憶を
そのまま映像化したようなシーンでした。
右手を失ってしまうし、姉の子どもを亡くしてしまう、
というダブルパンチの悲劇。
印象的だったのは「良かった」という言葉。
一体誰にとって何が「良かった」のか?
慰めの言葉なんだろうけど当事者にとって、
実は一番残酷な言葉になってしまうことに気付かされました。
終盤の記号的な空襲とすずの顔の対比がとても印象的で、
考えることは何も無く只ひたすら逃げることしかできない。
そんな中で広島へと落とされる原爆。
映画内で正面切って原爆のキノコ雲を見たのは初めての経験でした。
あと玉音放送を聞いたあとのすずのリアクションが新鮮で、
従来であれば戦争終わって良かったね…
ものが多いと思うんですが、すずの場合は怒りの感情が発露する。
最後の1人まで戦うじゃなかったのか?
中途半端な気持ちで戦争してんじゃねーよ!と。
そこにはかろうじて自分で納得させていた、
失った右手への思いが爆発していました。
ラストの孤児のくだりから、家の鳥瞰のカットまでは、
完全に涙腺が決壊してしまった。
(とくにお姉さんが亡くなった娘の服を見繕うところ)
永遠のゼロを賛美するヒマあったらコレ見ろよ!
と大きな声で言いたくなる戦争映画。

2016年11月13日日曜日

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK



<あらすじ>

元アメリカ軍のエリート秘密捜査官ジャック・リーチャーは、
現在はたったひとりで街から街へと放浪の旅を続けている。
ある日、ケンカ騒ぎの末に保安官に連行されそうになったリーチャーは、
この騒動が何者かによって仕組まれたものだと気づく。
元同僚のターナー少佐に会うため軍を訪れると、
ターナーはスパイ容疑をかけられ逮捕されていた。
ターナーを救い出したリーチャーは、
軍内部に不審な動きがあることを知り、
真相を探り出そうとするが……。
映画.comより)

ブルーレイで見た前作のアウトローが無類にオモシロくて、
今回こそは劇場で …と意気込み十分で見てきました。
前作ほどではないにせよ、
プログラムピクチャーとして十分楽しめました。
コーラでも飲みながら映画でも見るか、
と思ったときには是非これを見て欲しいです。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

テキサスのダイナーの前に横たわる男たち。
警察が駆けつけると犯人はまだダイナーにいると。
そこにいるのは勿論ジャック・リーチャー。
いきなり最強っぷりを発揮するかと思いきや、
抑えめに宣告するだけだし、
そこからのタイトルの出方もめちゃくちゃ地味。
でも、この地味な展開こそが僕がアウトローを
好きになった理由の1つだったかもと思い出してました。
バカっぽいアクション映画の見た目をしながらも、
実は映画としての格調が高いというか。
つまり上品なんだと思います。
とくに今回は娘かもしれないという
非常に微妙なニュアンスの女の子が登場。
娘かもしれないというのは軍側に娘の母親から
「ジャックの奥さんなんだけど金払ってよね!」
という申し立てがあったため。
娘を持った最強なやーつ、
この設定を聞いて映画好きの紳士淑女はピンとくるはず。
そう、96時間です!なんでそこに寄せる必要が!
と思わずにはいられないわけですが、
前作で最強だった彼に弱みができることで、
新たな展開となっていました。
ジャックの完全無敵っぷりを見たい人にとっては、
少し物足りなく感じるかもしれません。
守る存在ができた彼の人間の部分にフォーカスしているので。
人間の根源は家族であると言わんばかりに、
バディを組むのが女性少佐というのもあって、
娘、女性少佐、ジャックの3人が
疑似家族となる設定がオモシロいんですよねー
娘をかくまう場所として選ぶのが少佐の母校。
母親が元ジャンキーで決して恵まれた家庭で
育ったわけではない彼女を無理くり、
ハイソな学校に押し込むというのが笑える。
しかも、そこでたくましさを発揮しちゃう娘が最高最高!
最高に笑ったのは飯買ってきたジャックへの対応。
飯買って帰って来たら、女の子2人がガールズトークに
花を咲かしているんですが、
娘が飯だけ受け取ってすぐにドア閉める。
からのベッドで孤独に飯を食うジャックのショット。
笑かし方を分かってるなぁという絶妙な間の編集でした。
あと、娘が人質になるに決まってるじゃん!
という鬼丁寧な前フリも最早笑えてくるレベル。
さらにここから単独で動くと言う
ジャックへの怒りを炸裂させる少佐とジャックの喧嘩も最高で、
完全に家族内で巻き起こる喧嘩にしか見えない!
けれど揉めてる内容は国家レベルの問題っていう、
このギャップが好きでした。
アクションは安定したトム・クルーズのクオリティ。
いきなり窓ガラス越しに殴るのとかフレッシュだったし、
調理場でのどつき合い、刑務所からの脱獄、
飛行機内での一撃など見所はたくさん用意されています。
どのシーンも茶目っ気を用意してくれていて、
黒いセダンだらけの駐車場は笑ったし、
バスでのジャックと少佐の2ショットの表情は、
卒業オマージュか?と思ったり(勘ぐりすぎ?)
今回は登場人物たちが走るシーンがとても多くて、
それによって映画に躍動感が生まれていると思います。
前半の刑務所からエスケープ後、
公園を爆走するのとかギャグかな?と思わせる一方で、
ニューオーリンズの空港のシーンでの、
室内の敵側と屋外のジャック側のダッシュシーンは壮観。
ただ、前作の採石場での銃撃戦レベルのアクションは
見られなかったのが少し残念なところ。
いい意味でも悪い意味でもコンパクトにまとまりすぎたかなと。
ラストのハロウィンバトルでは
きっちりと前述したフリが回収されるんですが、
そこの見せ方が下手な再現ドラマみたいな感じで、
ホントにもったいないなーと思いました。
(観客みんながアレが炸裂する!と期待している訳なので)
エンディングの血の繋がりではない、
本当の絆なのであるというのが少し無理くりかなと思ったり、、
しかし!ラストのヒッチハイクする彼の姿でサムアップ!
またいつの日かジャックと会えることを期待しています。

2016年11月12日土曜日

ミュージアム



<あらすじ>
雨の日だけに起こる猟奇殺人事件を追う刑事の沢村久志。
犯行現場に残された謎のメモや、見つけられることを
前提としたかのような死体から、
カエルのマスクを被った犯人像が浮かび上がる。
通称・カエル男と呼ばれるようになった犯人を
追い詰めていく沢村だったが、
カエル男の仕組んだ残酷な罠にはまり、
絶望的な状況に追い込まれてしまう。
映画.comより)

セブンを思わせる予告編を見て気になったので見てきました。

過去のシリアルキラー映画を彷彿とさせる要素が
たくさん詰め込まれていて楽しかったです。
ただ、説明過多っぷりが目について
残念な気持ちにもなりました …
ネタバレするとアレな映画なので、
これから見る人はそっと閉じてください。。。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

過去の回想を思わせる夢から始まり、
家族がいたと思わせる部屋が荒れ放題の状態の中、
その夢から目覚めた男が本作の主人公である沢村。
彼は刑事で呼び出しに応じて事件現場へ向かうところで
監視カメラのようなショットともにタイトルが出る。
こんな意味深な前振りがありつつ、
しかも最初の事件からして女性が犬に食い殺されたいう、
なかなかのハードっぷりで期待が高まっていく。
これがシリアルキラーの一連の犯行の始まりとなり、
事件自体のギミックが手がこんでいるのオモシロい点なんですが、
それに加えて死体の造形の作り込みがかなり攻めてる!
素晴らしい美術の仕事だと思いますし、
その死体を逃げずにしっかりと画面に収めているのが最高。
なぜなら本作は「殺人現場」というものを1つのアートと捉えて、
犯行を繰り返すタイプのシリアルキラーだから。
メジャーな邦画でここを手抜かずにやり切ることって、
おそらく大変なんだろうけど最後まで徹底していました。
(「大変」というのは観客側の勝手な妄想で余計なお世話かもですが)
くだらなくて最高だなぁと思ったのは2つめの犯行。
お母さんの痛みを知りましょうの刑。
アニメ好き、実家暮らしの引きこもり、デブ。
という極度にデフォルメされたオタク像に辟易するかもしれませんが、
カエルの犯人が侵入してくるところが好きでした。
ドアがガチャガチャなって必死に「いますよ~」と大声で叫ぶのが、
とても気持ちがわかるというか。。
子どもの頃、幽霊怖くて似たようなことをやってたのを思い出しました。
ただし、前述したとおり僕が本作でとても残念な気持ちになった、
説明過多な感じがこの辺りから気になり始めてしまった …
「まさかドア裏なんて…」っていうことは、
観客の多くが思っているから言わなくていいですよと。
被害者のあいだに共通点が見つかり、
それがある事件の裁判官もしくは裁判員を務めたというもの。
そこに沢村の奥さんも参加していたことで、
彼が取り乱し始めて事件が良からぬ方向へと進んでいきます。
この取り乱し方がまた叫びまくりの暴れまくりの
紋切型な邦画でよく見るタイプのやつでテンションが下がる。
直情型の人間であることが前フリであれば、
あの感じも飲み込みやすいんですけど、
いきなり「ウォー!なんだよ!」できたのでビックリしました。
あと沢村の心情を説明するナレーションが
合間合間に挟まれるのも本当にノイズ。
本作の小栗旬は相当気合入っているのがスクリーンから伝わってくるし、
彼の所作を見て感情の機微は伝わってくるはず。
観客をバカと思っているか、俳優のことを信じてないか、
どちらかとしか思えなかったです。
小栗旬の演技も見所ですが何よりも最高だったのは
妻夫木聡が演じる霧島というシリアルキラーでした。
今まで見た中で一番MADな妻夫木くん。
しかも、そのマッドネスが相当ぶっ飛んでいて、
見た目の特殊メイクの作り込み、illnessを感じる話し方、
どれを取っても素晴らしかったです。
最初に予告で名前を見たときに「えー?」と思う人もいるかもですが、
その想像を遥かに超えてくるので安心してください。
個人的に感じた一番の見所はカーチェイスのシーンですかね。
細い路地で競り合うのがカッコよく撮られていたし、
衝撃のカークラッシュは迫力ありまくり。
トラックによるカーサンドイッチ攻撃もオモシロかった!
前半はセブン的な展開だとすれば、
後半はソウを思わせる密室スリラー。
ただのモノマネやん!と言ってしまえばそれまでなんだけど、
その心意気を買いたいし、マネキンの気持ち悪さ、
さらにスウィーニー・トッドを思わせる、
人肉ハンバーガー展開もオモシロかったです。
後輩にドヤ顔で語っていたことが
自分の身に振りかかってくるんだからたまんない。
終盤のカレー味のウンコか、ウンコ味のカレーか?という、
究極の選択のところは俳優陣の迫力が炸裂してて、
全員のうめき声が爆音でコダマするのは圧巻。
結果的に家族全員が助かったー、良かったねとなって、
「あーずいぶん丸まったなー」とか思っていたら、
想像を超える悪夢の展開が …
個人的には沢村が病院で訪れたときに
光線過敏症の特性について説明されていた方が、
さらにゾッとするような気持ちになったかも。
大友監督は日本アクション映画を担う人だと思っているので、
次の作品も楽しみにしたいです。
(先日公開された脳の映画は見ていないけど。。。)

2016年11月6日日曜日

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に



リチャード・リンクレイター監督が
1980年代の大学野球部を舞台に描いた青春群像劇。
大学野球部の仲間たちが、
新学期が始まるまでの3日間に織り成す人間模様を
懐かしの80'sサウンドに乗せて描き出す。
映画.comより)

リチャード・リンクレイター監督最新作。
前作の6才のボクが、大人になるまで
人生ベスト10に入る大好きな作品だったので、
今回も楽しみにしていました。
極めて過去作のバッド・チューニング的な世界でありながらも、
アップデートされている印象を持ちました。
今を生きる若者に見て欲しい作品。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。

The KNACKの「My Sharona」が
車のカセットデッキから高らかに鳴り響き、
主人公である新入生のジェイクがレコードケースを抱え、
意気揚々と野球部の寮へやってくるところから物語は始まる。
車に乗っている彼の視点が女の子のお尻ばっかり
見ているというショットからして何をか言わんや、
イイ感じの下世話感が伝わって来てアガる。
6才〜比較的センシティブな若者像だったのに対して、
本作で描かれるのは体育会系のいわゆるジョックス。
寮に到着して本作の登場人物を初対面ということを活かして、
手際良くキャラ説明するのが上手いなぁと思いました。
ジェイクが到着したのは入学3日前で、
ここから野球部の面々と共に学校が始まるまで
ハメを外し倒すのを見守るという作りになっています。
その中心にあるのが80'sの音楽です。
先日紹介した西寺豪太さんの著書および、
タマフルへのゲスト出演において、
80'sとは何ぞやという話が深く解釈されていましたが、
本作はリンクレイターなりの80's解釈といってもいいと思います。
登場人物は野球部の部員で特別音楽にこだわりがあるのは、
一部の人間に限られていて享楽的に音楽を楽しむ人の方が多いんですね。
この設定があるので特定の音楽ジャンルに限られることなく、
ディスコ、ロック、カントリー、パンク、
そしてヒップホップとジャンルを横断した幅広い選曲が
可能になっていてオモシロかったです。
初日に先輩の車でフォックスという酒場まで、
車で移動する際に皆で大合唱する、
THE SUGARHILL GANGの"Rapper's Delight"がとにかく最高最高!
ディスコやライブハウス、カントリークラブ等で
とにかく音楽を楽しんでいる姿勢が眩しくて、
こんな風に無邪気に音楽を楽しむ心を忘れたくないなーと思いました。
一方で完全に体育会系のノリがずっと続くので、
端から見て笑うことはできるものの、
「こんなにイケてなかったなぁ大学生活」と思わずにはいられない。
そんな気持ちにさせてくれるのは俳優陣、
登場人物のキャラクターの豊かさに起因するのではと思います。
いわゆるハリウッド俳優は1人もいないんだけど、
キャラ立ちがハンパなくて皆濃いんですよね。
体育会ノリで常に勝ち負けを意識している様はオモシロいし、
強烈な同族意識も懐かしく感じました。
無茶苦茶やっている中でも、急に核心を付くようなセリフを
忍ばせてくるのでリンクレイターは好きなんですよね。
単純なジョックスのパーティー物語で終わらない。
全キャラクターがとても愛しいんですが、
僕が好きだったのはフィン。
彼は茶目っ気とメンターとしての矜持を持ち合わせた
理想の先輩像だなぁと思うんですよね。
(演劇部のダンスパーティー行く前のくだり爆笑した)
心が痛くなるのはマリファナ大好きなウィロビーの話。
いつまでも大人になりきれない僕みたいな人間には、
仲間たちが容赦なく笑いとばす声が
心に重くのしかかってしまった…
ウィロビーはTVドラマのトワイライト・ゾーンを
コレクトしている設定があるんですが、
ここに込められた意味がIMDBに書かれていて、
それまたグッとくる。。
名前がすでに暗示しているという話→リンク
野球部の話なのに野球のシーンが
かなり少ないのもかなり思い切った作りでしょう。
監督のインタビューでスポ根物語を描くつもりはなかった、
と言っていましたし、僕がなるほどなーと思ったのは、
「野球部でも世間と同じ比率でセンシティブな人はいる」
というジェイクが劇中で放つセリフでした。
リンクレイター節が炸裂するのは、
ジェイクが運命の恋人と関係を深めていく後半で、
これはビフォアシリーズから脈絡と続く十八番。
特に今回は甘酸濃度がかなり高め。
電話のシーンが特に好きだったなぁ。
いとうせいこうの我々の恋愛でも描かれていた、
むかしの恋愛への憧憬とでも言うべきか。
ラストシーンが彼らにとって
始まりのシーンになる訳ですが、
先生が黒板に書く言葉、そして居眠りする。
これぞCollege Lifeの始まり!と言いたくなる、
最高の終わり方!超眩しかった。
からのエンディングロールでの"Rapper's Delight"に
出演メンバーがライミングしていくところで完全にサムアップ!
6才〜以上に好き嫌い別れそうですが、
80's音楽と無限大の可能性を秘めた青春は
最高の組み合わせだなと思いました。
本作の続きはビフォアサンライズになる、
リンクレイターユニバース総決算の作品。